【コラム】2025年レバラン期間に見るインドネシア経済の動向

インドネシアでは、断食明けの「レバラン」期間に長期休暇があり、例年この時期には消費活動が活発化します。今年のレバラン期間の消費はどうだったのでしょうか。

本コラムでは、貨幣流通、移動、燃料、ホテル稼働率などを通じて、今年のレバラン期間のインドネシア経済の様子を読み解きます。

目次

2025年のレバラン期間の消費

東ジャワ商工会議所のアディク・ドウィ・プトラント総裁によると、2025年のインドネシアにおけるレバラン期間中の貨幣流通量は137.97ルピアで前年より12.28%減少となりました。

この減少は、国内経済のデフレが影響しているとされています。

通常、レバラン期間中は、食品、交通、国内旅行、小売、娯楽など多方面での消費が急増しますが、2025年はそれほどの伸びは見られませんでした。

その背景には、各業界におけるレイオフ(一時的な解雇)に雇用不安があり、消費を抑

える人が増えたと考えられます。

参考WEBサイト:https://rri.co.id/bisnis/1434001/perputaran-uang-lebaran-2025-turun-daya-beli-melemah

2025年のレバラン期間の帰省者数と交通手段

日本の年末年始と同様に、インドネシアではレバランの帰省文化が根強く、毎年多くの人が故郷に帰ります。

2025年のレバランの帰省者数は、約1億6,980万人で前年と比較し4.67%減少しました。

特にジャカルタ近郊のジャボベタベック地域や西ジャワ州出身者の帰省が多く全体の60.73%を占めています。

一方、公共交通機関の利用者数は前年より11.68%増加し、2,762万人に達しました。

利用割合は以下の通りです

  • 電車:30%
  • 船舶:21%
  • 飛行機:20%
  • バスなどの陸路:20%

公共交通機関の中で、帰省に電車を利用する割合が多いことがわかります。

参考WEBサイト:https://www.cnbcindonesia.com/news/20250423142057-4-628144/data-resmi-pemudik-lebaran-tahun-2025-turun-nyaris-5#:~:text=Jumlah%20pemudik%20di%20Lebaran%202025,mencapai%20162%2C2%20juta%20orang.

レバラン期間中の燃料消費量の減少

2025年のレバラン期間中の燃料消費量は前年と比較して減少しました。

減少した要因のひとつとして、電気自動車の増加が挙げられています。

2025年のレバラン期間中における、電気自動車(EV)充電スタンドの利用件数は、前年と比較し4.9倍増加しました。

また、電力の消費量も前年と比較して5.8倍増加しています。

また、帰省者数の減少も、燃料消費量減少の要因として挙げられます。

帰省者数の減少により車の利用率も減り、結果ガソリンの消費が減少したと考えられます。

参考WEBサイト:https://lestari.kompas.com/read/2025/04/11/170000686/konsumsi-bbm-lebaran-2025-turun-dari-2024-kesdm–kendaraan-listrik-naik

レバラン期間における買い物

通常レバラン前になると、レバランの準備に備えてショッピングセンターが賑わいますが、今年は例年ほど混雑しませんでした。

一方、オンラインショッピングは、前年より15〜20%取引額が増加したと予想されています。

また、ラマダンのサフール(断食中、日の出前に食べる食事)の時間帯においては、TokopediaとTikTok Shopの取引が10倍に急増しました。

ラマダン期間中は、様々なプロモーションが行われているため、レバランの準備や日用品の購入のため、利用が増加したと予想されます。

参考WEBサイト:http://cnbcindonesia.com/news/20250325075225-4-621407/kondisi-ekonomi-ri-jelang-lebaran-2025-warga-ri-ogah-belanja#:~:text=Realita%20di%20lapangan%2C%20yang%20menunjukkan,ini%20cenderung%20defensif%2C%22%20tegasnya.
https://supplychainindonesia.com/prediksi-peningkatan-transaksi-e-commerce-meningkat-15-20-persen-menjelang-lebaran-2025/

ホテルの稼働率低下と観光業への影響

2025年のレバラン休暇中、インドネシアの各州のホテル稼働率は予想目標に達することができず、多くのホテルは前年より客室稼働率が大幅に減少しました。

国内の観光地として人気のあるジョグジャカルタにおいても、2025年4月1日〜2日のイドゥルフィトリ(断食明け大祭)の期間、ホテルの平均稼働率は、わずか60%でした。

また、イドゥルフィトリ以降の4月2日〜5日の稼働率は50%となりました。

同じく観光地として人気のあるバリにおいても、レバラン期間中のホテル稼働率は50〜55%にとどまり、目標である80〜85%には届きませんでした。

稼働率低下の要因としては、人々の購買力の低下が大きく影響しています。

参考WEBサイト:https://travel.kompas.com/read/2025/04/04/105650927/okupansi-hotel-di-daerah-wisata-turun-saat-libur-lebaran-2025-apa-sebabnya?page=all

レバラン後の経済動向と課題

全体を通して、2025年のレバランは例年に比べ経済活動が鈍く、レバラン後にはインドネシア銀行が国内デフレの発生を報告しています。

一部分野では消費が伸びているものの、失業率の上昇や実質賃金の低迷により、国民の購買力は低下傾向にあります。

今後は、政府による構造改革や経済対策の強化が求められるでしょう。

今回のコラムでは、2025年のレバラン期間におけるインドネシア経済の動向をご紹介しました。

レバラン時期の消費傾向を把握することは、インドネシア全体の経済状況や国民の購買力の変化を読み解く手がかりとなります。

弊社インドネシア総研では、現地市場の動向調査からビジネス展開のご支援まで、幅広いサービスを提供しております。

インドネシア市場へのご関心やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

関連コラム

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次