【コラム】インドネシアのラマダン2025

イスラム教徒が約90%を占めるインドネシアにおいて、イスラム教徒が断食を行うラマダンは、非常に重要な宗教行事です。
今回のコラムでは、インドネシアにおけるラマダンの特徴や影響についてご紹介します。
イスラム教のラマダン(断食)とは
ラマダンは、イスラム暦(ヒジュラ暦)の9番目の月に行われる30日間の断食期間です。
イスラム暦は太陰暦のため、毎年11日ほど前倒しになり、一般的な西暦で数えると年ごとに異なる時期に実施されます。
ラマダンが終わると、「レバラン」と呼ばれる断食明けの祝祭があり、家族や親戚とともにお祝いをします。日本のお正月のように、新たな一年の始まりを迎える重要な期間です。
ラマダンの目的は、信仰心を清め、神(アッラー)に近づくことにあります。これはイスラム教の「五行(信仰の五つの柱)」の一つであり、イスラム教徒にとって非常に重要な宗教的義務です。
ラマダン期間中は、日の出から日没までの間、飲食だけでなく、喫煙や性行為も禁止されています。また、怒りや争いを避け、自己を律することが求められます。
2025年のラマダン日程
2025年のラマダンは、2月28日(金)から3月30日(日)まで実施されます。
その後、3月31日(月)と4月1日(火)に「レバラン(断食明け大祭)」が行われます。
また、前後に政府により有給休暇の取得が奨励されるため、3月28日(金)から4月7日(月)までの最大11連休の大型休暇となります。
インドネシアのラマダンの挨拶
ラマダンが始まると、インドネシアのイスラム教徒は「Ramadan Mubarak(良いラマダンを)」という挨拶を交わします。
また、レバラン当日には、1年間の過ちを謝罪し、心身を清める意味を込めてインドネシア語で「Mohon maaf lahir dan batin.(すべての罪をお許しください。)」
という言葉を伝えます。これは、友人、家族、職場の同僚や先輩・後輩など、広く人々と交わされる大切な挨拶です。
インドネシアのラマダンの特徴
インドネシアのイスラム教徒にとって、ラマダンは家族と過ごす大切な時間です。
ラマダン月の始まりには、先祖の墓参りをしたり、親戚と集まり食事を共にすることで、お祝いをします。
また、ラマダン期間中は、日没後の食事会(Buka Puasa)も家族や親しい友人と過ごすのが一般的です。
なお、インドネシアでは、ラマダンからレバランにかけて一年で最も消費活動が活発になる時期です。
この期間、多くの企業や店舗は、消費者向けに「プロモ(Promo)」と呼ばれる割引や特別キャンペーンを実施し、販促を行っています。
参考WEBサイト:https://www.statista.com/topics/10803/ramadan-in-indonesia/#topicOverview
ラマダンを迎えるための伝統
インドネシアには、ラマダンを迎えるための独自の伝統を持つ地域があります。
Nyorong(ニョロン)
ジャカルタの先住民族 ブタウィ族 に伝わるラマダン前の伝統行事で、家族の中で最も年長者に食べ物を贈る習慣です。
Cucurak(チュチュラック)
西ジャワ州 に伝わる伝統で、親戚が集まり、床に座ってバナナの葉に包まれたご飯を共に食べます。
Padusan(パドゥサン)
ジャワ島 に伝わる行事で、「Padus」はジャワ語で「入浴」を意味します。
川や池で沐浴を行い、身体と魂を清め、過去の過ちを振り返り内省するための儀式です。
Marpangir(マルパンギル)
北スマトラ に伝わる伝統で、パンダンの葉やレモングラスの葉などのハーブを使い、沐浴を行います。
Malamang(マラマン)
西スマトラ州 の ミナンカバウ族 に伝わる伝統料理で、「レマン」と呼ばれるもち米とココナッツミルクを使った料理を作ります。
このように、インドネシア各地には地域ごとに特色あるラマダンの伝統文化が存在します。
参考WEBサイト:https://kemenparekraf.go.id/ragam-parekraf/8-tradisi-menyambut-ramadan-di-indonesia-yang-penuh-makna
ラマダン期間中の学校のスケジュール
以下は、今年のラマダン期間中の学校のスケジュールです。
インドネシア政府の公式発表によると、今年のラマダン休暇は2月27日(木)〜3月5日(水)の7日間とされており、この期間は学校が休みとなります。
休暇明けの3月6日(木)〜3月25日(月)は学校が再開されますが、授業時間はラマダンに合わせて短縮されます。
イドゥル・フィトリ(断食明け大祭)が近づく3月26日(火)〜28日(木)と4月2日(火)〜8日(月)も休校となり、学校の再開は4月9日(水)です。
一方、一般の労働者の休日は3月31日(日)〜4月7日(日)の8日間(祝日・土日を含む)のため、学生の方が休みが長いことがわかります。
今回のコラムでは、インドネシアにおけるラマダンについてご紹介しました。
ラマダンは、インドネシアのイスラム教徒にとって非常に重要な宗教行事ですが、宗教に関わらずレバランの長期休暇によってインドネシア全体の経済活動が活発になる時期でもあります。
そのため、インドネシア市場へ進出する際には、その年のラマダンとレバランの日程を把握することが非常に重要と言えます。
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