インドネシア国内宝飾産業の需要と生産拡大- 世界的な金価格の上昇による影響とは

今、国際的に金市場が動いています。世界各地で地政学リスクが高まり、通貨の不安定さも指摘されています。こうした状況のなかで、資産としての金の価値が改めて注目されています。
その結果、国際市場では金価格が上昇傾向にあります。2025年以降、金価格は過去最高水準に接近する局面も見られ、市場の変動は大きくなっています。
この動きは日本市場にも波及しています。国内の金小売価格は、2024年初めには1万円台だったものが、2026年には一時、1グラム3万円に迫る水準に達する場面も見られました。価格の上昇だけでなく、短期間で大きく上下する激しい値動きも観測されています。
金は単なる装飾品の素材ではありません。資産であり、金融商品であり、そして産業原料でもあります。価格が上がれば市場が動きます。投資が動き、消費も動きます。
本稿では、世界的な金価格の上昇がインドネシアの宝飾産業にどのような変化をもたらしているのかを整理し、それに対する政府の政策対応について解説します。
金の国際市場動向
現在、金価格は上昇傾向にあります。この背景には、世界的なインフレ圧力の高まりや、各国中央銀行による金購入の増加があります。安全資産としての金への資金流入が続いていることが、価格上昇の一因とされています。
2025年以降、金価格は過去最高水準に接近する局面もあり、市場の変動は非常に大きくなっています。
宝飾産業への影響
こうした金価格の上昇は、宝飾産業にも直接的な影響を与えます。原材料としての金の価値が上がれば、製品価格も上昇し、市場規模の拡大や輸出額の増加につながるためです。
金は資産であると同時に消費財の素材でもあります。そのため価格動向は宝飾産業の動きと密接に結びついています。
宝飾産業は成長しているか?
インドネシアの宝飾産業は近年、大きく成長しています。インドネシア産業省によれば、2025年の宝飾品・貴金属の輸出額は 91億ドルに達しました。これは 前年比65.54%増という非常に高い伸びです。
金価格の上昇は宝飾品の価値そのものを押し上げます。輸出市場では高価格帯製品の需要が増え、国内市場でも金製品への関心が高まります。その結果、宝飾産業全体の生産と輸出が拡大する構図が生まれています。

品質の確保と金の純度
しかし、成長する市場には課題もあります。それが 品質と信頼性 です。金製品の価値はデザインだけで決まるわけではありません。最も重要なのは 金の純度(kadar emas) です。
純度の検査が不十分であれば、製品の信頼性は損なわれます。国際市場での競争力も低下します。輸出拡大を目指す国にとって、品質保証の仕組みを整備することは不可欠です。
検査制度の強化
こうした背景のもと、インドネシア政府は金製品の品質保証制度の強化を進めています。産業省(Kemenperin)は宝飾製品の検査制度を強化するため、技能試験(Uji Profisiensi) の導入を推進しています。この制度では同じ試料を複数の試験室が同時に検査し、その結果を比較します。この方法により検査結果の信頼性を高め、試験機関の能力を客観的に評価することが可能になります。
検査によって分かること
この仕組みによって
- 検査精度の向上
- 検査結果の信頼性確保
- 検査機関の能力評価
が可能になります。
制度の運営は 産業サービス政策標準化庁(BSKJI) のもとで行われ、実施機関は 工芸・バティック産業標準化サービスセンター(BBSPJIKB) です。この金分野の技能試験は、インドネシアでは初めての制度とされています。
日本への影響
こうした制度整備は、インドネシア市場と取引関係を持つ日本企業にとっても重要です。インドネシアの宝飾産業は今後さらに輸出志向を強めると考えられます。品質検査制度の整備は、国際市場への参入を後押しする可能性があります。
企業が取るべき対応策
日本企業にとって考えられる対応は次の通りです。
- インドネシア製宝飾品の品質基準の理解
- 検査制度や認証制度の把握
- サプライチェーンの透明性の確認
金市場は資源市場であると同時に製造業の市場でもあります。世界の金価格の動きは宝飾産業の構造そのものを変えます。そしてその変化は、東南アジアの産業政策にも波及しています。
まとめ
インドネシアの金産業は、いま転換点に立っています。
日本とインドネシアに拠点を持つ弊社では、インドネシアの政策動向や産業構造に関する調査・コンサルティングを行っております。特に、産業政策や投資環境など、日本企業の事業環境に影響を与える政府政策の分析を通じて、インドネシア市場における事業機会やリスクの把握を支援しております。
本コラムで取り挙げましたように、近年、インドネシア政府は産業高度化や国内産業の競争力強化を重要政策として掲げており、鉱物資源、貴金属、宝飾産業などの分野においても制度や市場環境は大きく変化しています。弊社では、こうした政策動向を継続的に調査し、日本企業がインドネシア市場に参入する際に必要となる制度理解や事業環境の分析を提供しております。
また、中央政府機関、地方政府、大学、研究機関、企業などとのネットワークを活用し、現地ヒアリングやフィールド調査に基づく一次情報を重視した調査を行っております。政策文書や公開資料の分析に加え、現地関係者への聞き取りを通じて、日本企業が把握しにくい政策運用の実態や市場動向についても情報提供を行っています。
さらに、資源産業、製造業、インフラ、エネルギーなど幅広い分野において、日本企業とインドネシア側パートナーとの連携支援や事業機会の探索に関するサポートも行っております。政策分析と現地ネットワークを組み合わせることで、インドネシア市場における実務的なビジネス展開を支援しています。
インドネシアの産業政策や資源市場、宝飾産業などに関する調査、現地情報の収集、事業機会の探索にご関心がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
インドネシアビジネスに役立つレポートのダウンロードはこちらから。
https://www.indonesiasoken.com/buy-report/
出典:インドネシア語資料
- KabarBursa
‟Ekspor Perhiasan RI Melejit, Kemenperin Perkuat Uji Emas“
https://www.kabarbursa.com/makro/ekspor-perhiasan-ri-melejit-kemenperin-perkuat-uji-emas(アクセス日:2026年3月10日) - Dialeksis
‟Jaga Mutu Emas Nasional, Kemenperin Dorong Laboratorium Ikut Uji Profisiensi”
https://dialeksis.com/ekonomi/jaga-mutu-emas-nasional-kemenperin-dorong-laboratorium-ikut-uji-profisiensi(アクセス日:2026年3月10日) - ANTARA
‟Kemenperin memperkuat standar mutu emas menjaga produk perhiasan RI”
https://jogja.antaranews.com/berita/811711/kemenperin-memperkuat-standar-mutu-emas-menjaga-produk-perhiasan-ri(アクセス日:2026年3月10日)
国際資料
World Gold Council https://www.gold.org(アクセス日:2026年3月10日)
日本語資料
- SBI証券
https://go.sbisec.co.jp/media/report/investment_recipe/investment_recipe_260206.html
(アクセス日:2026年3月10日) - 野村證券
https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/0602/
(アクセス日:2026年3月10日)



