【コラム】インドネシアの美味しいデザート10選
世界中の料理や食文化を紹介する美食サイト「Taste Atlas」は、11月15日にインドネシアのデザート・トップ10を更新しました。本コラムでは、同サイトで紹介されたインドネシアを代表する10のデザートについてご紹介いたします。
ピサン・ゴレン(pisang goreng)
ピサン・ゴレンとはバナナのフリットのことで、インドネシアではよく見かける家庭的なおやつです。バリでは「godoh biu」、ジャワでは「gedhang goreng」などと別名で呼ばれることもあります。スライスしたバナナに衣をつけ黄金色になるまで揚げるのが一般的ですが、地域によっては丸揚げなど違う形で出てくることもあります。路上の屋台などで手軽に買うことができる庶民の伝統おやつで、インドネシア語で揚げ物を指す「gorengan」に分類されます。
ダダル・グルン(dadar gulung)
ダダル・グルンとは、ココナッツシュレッドを表面にまぶした米粉のクレープです。伝統的なレシピでは、クレープ生地には鮮やかな緑色と独特で爽やかな香りをつけるためにパンダンリーフが使われますが、最近では緑色の食紅で代用したものも見られます。ダダル・グルンの主な中身はココナッツシュレッド、シナモン、パームシュガーのため、ほんのりした甘さとスパイスの香りが特徴的です。同様なデザートはインドネシアのみならず、マレーシアやシンガポール、スリランカなど熱帯の国々で多くの人に好まれています。
クレポン(klepon)
クレポンとは、もちもちとした米粉の生地でパームシュガーのフィリングを包み、丸く成型して表面にココナッツシュレッドをまぶしたものです。ダダル・グルンと同様に、生地にパンダンやドラセナ(dracaena)の葉を使用しているため、眼を引く緑色が特徴的なデザートです。クレポンはジャワを起源としていますが、スラウェシ、スマトラ、マレーシアの一部では「onde-onde」や「buah melaka」などとも呼ばれています。一方、ジャワで「onde-onde」と言うと一般的には中国の餅菓子「jin deui」のことを指します。
クエ・プトゥ(kue putu)
クエ・プトゥは、もち粉にパンダンの葉で味と色をつけたものを伝統的な竹筒に入れて蒸し、すりおろしたココナッツをまぶした餅菓子です。中心にはパームシュガーを入れるのが一般的で、一口齧ると熱で溶けた中のお砂糖がとろっと溢れ出て来るのが特徴です。インドネシアでは通常路上の屋台や市場・デパートのお菓子売り場等で売られています。クエ・プトゥと同じような緑色のお菓子は、マレーシアやフィリピン、ブルネイ等の周辺国にもあり、『プトリ・マンディ(putri mandi)』『プト・ブンボン(Puto bumbong)』などと呼ばれています。巷では、クエ・プトゥはインドの伝統菓子である「puttu」から派生したものであるとも言われています。
エス・テルール(es teler)
エス・テルールは、直訳すると「冷たい卵」ですが、実際はジャックフルーツ、アボカド、ココナッツ、コンデンスミルク、シロップがトッピングされたかき氷のことです。1960年代にジャワで発祥したとされ、地域によってはゼリーや他の果物がのったものも見られます。トッピングのフルーツは一口サイズにカットされており、ハワイで有名なアサイーボウルのようにボウル型の器でサーブされ、スプーンで食べるのが一般的です。
クエ・ラピス(kue lapis)
クエ・ラピスはインドネシアだけでなく、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、南米スリナム共和国などでも人気のある伝統的なデザートです。このケーキは米粉、サゴでん粉、砂糖、塩、ココナッツミルク、赤・緑・ピンクの食紅等を混ぜ合わせた生地を重ねて蒸したものです。食べる際は完全に冷ますことで、もちもちした食感を出すことが出来ます。カラフルな縞模様の見た目と、香ばしく甘い味がクセになるケーキです。
ラピス・レギット(lapis legit)
ラピス・レギットは、オランダ料理の影響を受けたと言われるインドネシアの伝統菓子です。材料には卵黄、砂糖、小麦粉、バター、メース、ナツメグ、クローブ、シナモンなどのスパイスが使われています。一層ずつ別々に焼き上げ、18層から30層重ねるのが一般的です。ラピス・レギットは、ヨーロッパでよく見られるバウムクーヘンのように芯を回しながら生地を重ねて焼き上げる『Spit Cake(スピットケーキ)』が元となっている様ですが、インドネシアでは主に四角いフライパンが用いられています。
コラック(kolak)
コラックはパンダンリーフで味付けされた甘いココナッツミルクに、バナナ、サツマイモ、キャッサバ(芋)、カボチャ、ジャックフルーツ、タピオカなどを入れたデザートです。入れるフルーツや野菜は好みや季節によって変わります。冷やしても、温めても美味しくいただける素朴なデザートで、主にラマダンの時期に多く見かけますが、一年を通じて楽しまれています。
グトゥック(getuk)
グトゥックは、蒸して潰したキャッサバから作られています。もちもちとしたキャッサバの生地にお砂糖を加え、ココナッツシュレッドを添えるのが一般的です。田舎で見られる伝統的でシンプルなバージョンは、食紅を使わずパームシュガーを加えるため、茶色い見た目になります。モダンなバージョンはフードプロセッサーでキャッサバを粉状にし、色鮮やかな食紅やパンダンリーフ等が加えられ、見た目も美しく綺麗に小さく成型されています。キャッサバの他にも、タロ芋やバナナ、サツマイモをベースに作られたものもあるようです。
ワジク(wajik)
ワジク、またはワジド(wajid)は古くからジャワに伝わるインドネシアの餅菓子です。一般的な材料は餅米、パームシュガー、ココナッツミルク、パンダンリーフ、塩とシンプルです。餅米はココナッツミルクと一緒に蒸されるため、一口齧るとまろやかでほんのりした甘さが感じられるようになっています。パンダンリーフは色付けに使われるのではなく、パームシュガーとココナッツミルクで茶色になるまで煮詰められます。最後に全てを混ぜ合わせ、型に流して数分間焼き上げます。食べるときはひし形にカットしてサーブするのが一般的です。
まとめ
今回のコラムでは、インドネシアを代表する10のデザートについてご紹介いたしましたが、皆様召し上がったことのあるものはございましたでしょうか。熱帯インドネシアでは、ココナッツや、パンダン、お米、キャッサバといった土地のものを使ったデザートがやはり多く見られますね。これらのデザートは手作りまたは自然由来のごく少ない材料で作られているため、日持ちしないものが多いです。是非、インドネシアにいる間にお楽しみください。また、弊社インドネシア総合研究所はインドネシアのジャカルタ、バリにもオフィスがございます。現地で何かお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせ・お立ち寄りくださいませ。