インドネシアでポルトガル語教育?:インドネシアにおける外国語教育改革とビジネスへの示唆

インドネシア政府は学校教育における外国語の拡充を進めており、英語に加え、中国語、日本語、韓国語、アラビア語など、複数の外国語をカリキュラムに導入している学校が多く存在します。
その中で、インドネシアのプラボウォ大統領は新たに「ポルトガル語を学校で学ぶ外国語として追加する」と明言しました。
本コラムでは、インドネシアの外国語教育の現状と、ポルトガル語導入の背景・課題についてご紹介します。
参考WEBサイト:metroTV公式サイト「インドネシアの若い世代はカリキュラムに外国語を取り入れグローバルへの対応の準備ができている」
インドネシアの学校における第二外国語
インドネシアの公用語はインドネシア語です。
日本と異なり、学校の外国語教育は 第一外国語(英語)+第二外国語 の二段構成となっています。
第一外国語(英語):中学校から必須科目(地域によっては小学校から導入)
第二外国語:日本語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、アラビア語から選択し、高校から開始(学校によっては小・中学校から実施)
また、インドネシアは世界有数の日本語学習者人口を持ち、2021年度調査では以下の人数の生徒が日本語を学習しています。
- 初等教育:6,786人
- 中等教育:642,605人
- 高等教育:27,454人
一方で、ポルトガル語はインドネシアの学校ではまだ導入されていないのが現状です。
参考WEBサイト:国際交流基金公式サイト「インドネシア(2023 年度)」
プラボウォ大統領が学校でポルトガル語を教えることを明言
2025年10月23日、プラボウォ大統領はブラジル大統領との会談で、両国の関係強化の象徴として 学校教育にポルトガル語を導入する と表明しました。
ブラジルは人口約2億人を擁し、南米最大のポルトガル語圏国家です。
ポルトガル語は南米で広く使用されており、経済連携強化において重要な位置づけとされています。
大統領は関係省庁に対し、ポルトガル語教育の開始を指示しており、今後カリキュラム導入が予想されています。
参考WEBサイト:detiknews公式サイト「プラボウォ大統領がインドネシアの学校でポルトガル語を教えることを決定」
インドネシアとポルトガルの歴史
ポルトガル人は1512年に現在のマルク諸島へ到達し、香辛料貿易とキリスト教布教を進めました。
1605年にオランダへ支配が移るまで、東部インドネシアに滞在していたため、当時の住民がポルトガル語を理解していた地域も存在します。
現在もインドネシア語や地方言語にはポルトガル語由来の語彙が残っています。
また、東ティモールは長くポルトガル領であった歴史から、現在も テトゥン語とポルトガル語 が公用語となっています。
参考WEBサイト:外務省公式サイト「東ティモール民主共和国」
KOPMAS公式サイト「ポルトガル人によるインドネシアへの来訪」
インドネシアの学校におけるポルトガル語導入による課題

インドネシアの学校でポルトガル語の授業を導入するうえで、インドネシア国内では以下の課題が指摘されています。
- ポルトガル語話者が国内に非常に少ない
- ポルトガル語を専門的に教えられる教員はインドネシア国内で「5人未満」
- 国際共通語である英語を教えていない学校も多く、優先順位が低い
- インドネシア語の読み書きに苦労する生徒もおり、学生への負担が大きい
上記より、教育現場では、人材不足と教育現実とのギャップが懸念されていることがわかります。
参考WEBサイト:BBC NEWS公式サイト「学校でのポルトガル教育-インドネシアにはポルトガル教師が5人未満」
PERGERAKAN INDONESIA公式サイト「プラボウォ大統領の指示により、学校でポルトガル語が教えられることになるのか?」
インドネシアの多国籍企業で求められている外国語
以下は、インドネシアの多国籍企業で求められている外国語5つとその理由です。
英語
国際共通語として必須。採用時にはTOEFL/IELTSを求められることも多い。
中国語
インドネシア最大の貿易相手国。製造業・テック・EC企業で需要が高い。
日本語
自動車産業・製造業など日系企業との取引が多く、高収入を狙う上でも人気。
韓国語
K-POP・ゲーム・クリエイティブ業界、スタートアップ企業で需要上昇。
ドイツ語
ドイツの奨学金制度でドイツ語能力が求められるケースが多い。
現時点で多国籍企業におけるポルトガル語需要は多くないと言えます。
参考WEBサイト:LINGUA LEARN公式サイト「インドネシアの多国籍企業で求められる5つの外国語」
今回のコラムでは、インドネシアの学校におけるポルトガル語導入方針と、同国の外国語教育の現状について整理しました。
インドネシア政府がブラジルや南米との将来的な経済連携を視野に入れてポルトガル語教育を推進する一方で、現時点では学校現場の実施体制や企業側の語学ニーズとの間にギャップが存在することも明らかになりました。
今後、インドネシアにおける外国語教育の拡充は人材育成や国際競争力の向上にも直結する重要なテーマとなるため、教育政策の動向を継続的に追うことが求められます。
また、企業側にとっては、将来的な投資地域・協業先の変化を見据えた中長期的な戦略づくりが必要となるでしょう。
インドネシアにおいて新たな制度や仕組み、教育モデル、人材育成スキームを導入する際には、企業単独でのBtoC・BtoB展開よりも、インドネシアの政府機関や公的機関との連携(BtoG)を起点とするアプローチが有効です。政策方針や制度設計と整合した形で事業を構築することで、社会的受容性や持続性を高めることができるためです。
弊社インドネシア総合研究所は、これまでに培ってきたインドネシア政府関係者、地方自治体、国公私立大学、地場企業とのネットワークを活かし、日本企業とインドネシア政府をつなぐ橋渡し役を担うことが可能です。人材育成・教育・制度導入を起点に、官民連携(BtoG)を見据えたインドネシア展開を検討される企業にとって、構想段階から実装までを伴走支援できる体制を整えています。
インドネシア市場でのビジネス展開をご検討の際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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【コラム】インドネシアの学校における日本語教育事情
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