【コラム】インドネシアにおける海洋保護について 

インドネシアは海洋国で、豊富な海洋資源に恵まれています。しかし、インドネシアの経済発展とともに海洋汚染が大きな問題となっています。

川や海へのゴミの廃棄や、工場などから排出される汚染物質が海に流されることで、水質が悪化し、海洋生命体、人体へ悪影響を及ぼしています。

今回のコラムでは、インドネシアにおける海洋汚染と海洋保護についてご紹介します。

目次

インドネシアの海洋汚染の原因

インドネシアの海洋汚染は経済発展とともに悪化しています。

プラスチック ゴミの排出量は世界各国と比較しても非常に多く、海洋汚染に大きな影響を及ぼしています。

以下は、インドネシアの海洋汚染の主な原因です。

海洋プラスチックごみ

インドネシアは、海洋プラスチックごみが世界で2番目に多い国です。

インドネシアのマカッサルの市場で行われた調査によると、調査の対象となった魚の23%の胃にプラスチックが含まれていたことがわかっています。

プラスチックの廃棄はインドネシアの海洋汚染の主な原因のひとつと言えます。

参考WEBサイト:https://indonesiabaik.id/infografis/indonesia-darurat-sampah-plastik

重金属汚染

重金属汚染も海洋汚染の原因のひとつとして挙げられます。

重金属汚染は、鉱山を採取する際に出てくる鉱山廃棄物の川や海への排出が原因で起こります。

インドネシアでは、重金属により汚染されている地域がいくつかあり、中部ジャワの北海岸、ロンボク島、スンバワ島、南カリマンタンのセブク島、パプア島などが汚染されている地域のひとつとして挙げられます。

重金属汚染によって、水質だけでなく魚の生態系にも悪影響を及ぼしています。

油流出による汚染

船舶の活動や、海洋採掘、海上事故などによる石油などの油流出も、海洋汚染の原因のひとつです。

2019年にカラワン海から西ジャワ州のブカシまでの海域で、石油・ガスの事故が発生し、石油が流出した結果、流出された地域における魚や海老が大量死しました。

また、このことにより、魚の餌となるプランクトンの増殖が阻止されるなどの悪影響を及ぼしました。

参考WEBサイト:https://lautsehat.id/kompetisea-2/nadiasp/pencemaran-perairan-laut-indonesia-dampak-dan-cara-menanggulangi/

インドネシア海域の海洋汚染によって引き起こされる影響

インドネシアでは上述のような原因により、海洋汚染が進行していることがわかりました。

海洋汚染によって引き起こされる影響としてはどのようなものがあるのでしょうか。

以下は、海洋汚染によって引き起こされる影響です。

  • 海洋生物の生命への影響
  • 地下水の水質への影響
  • 人々の健康への影響
  • 環境美への影響

海洋汚染が深刻化すると、海洋生物への影響だけではなく、人体への影響も引き起こすことになります。

海洋汚染の深刻化は、インドネシアの人々ひいては国の経済を脅かしかねないため、国全体で取り組むべき問題であると言えます。

インドネシア政府による海洋保護の対応

インドネシアの海洋水産省(KKP)は、このような海洋汚染の問題を解決するために、海洋保護の取り組みを行っており、2045年までに国家海洋保護区を30%拡大することを目標に定めています。

以下は、インドネシアにおける国家海洋保護区の面積の推移です。

出典:Good Stats Luasをkawasan konservasi perairan laut Indonesia dari tahun ke tahunを基に弊社作成(2024年3月17日)
https://goodstats.id/article/pemerintah-indonesia-targetkan-perluasan-kawasan-konservasi-perairan-laut-30-pada-2045-JP4lw

上図より、国家海洋保護区の面積は2015年以来増加し続けていることがわかります。

またインドネシアでは、海洋保護区を管理する管轄や、管理対象の海洋生物の状況によって種類分けしており以下8種類の保護区に分けられます。

  • 地域海洋保全地区(KKPD)
  • 国立海洋公園(TNL)
  • 国立水生公園(TNP)
  • 観光水生公園(TWP)
  • 観光海洋自然公園(TWA)
  • 水域自然保護区
  • 海洋自然保護区
  • 海洋野生動物保護区

国立海洋公園や国立水生公園などの国管轄の地域は、海洋水産大臣によって管理されており、地域海洋保全地区は、県レベルで管理されています。

12海里を超える水域にあったり、州をまたぐ海域に位置していたり、国家戦略地域である場合などは、国管轄となります。

0〜12海里の水域内で国管轄の条件に当てはまらない場合は、地域での管轄となります。

また、公園として保護区を指定する場合は、生物多様性、魚の保護、保存、利用を目的としており、保護区として指定されている場合は、希少な生物の保護を目的としています。

インドネシア政府は、このように区分けをし、保護することでそれぞれの環境の海洋生物、海洋環境を守るよう努力しています。

海洋保護については、日本政府も協力をしています。

主に、海洋プラスチックごみについて、日本側でモニタリング協力を行い、今後も海洋プラスチック削減のための取り組みを行う予定です。

インドネシアの海洋保護問題は、インドネシアだけではなく日本や世界にも影響を及ぼす問題であると言えます。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2022/04/20/ada-8-jenis-kawasan-konservasi-perairan-di-ri-ini-yang-terluas
https://lautsehat.id/ekonomi-hijau/lautsehat/kawasan-konservasi-laut-di-indonesia
https://goodstats.id/article/pemerintah-indonesia-targetkan-perluasan-kawasan-konservasi-perairan-laut-30-pada-2045-JP4lw
https://www.env.go.jp/press/press_01948.html

今回のコラムでは、インドネシアにおける海洋保護についてご紹介しました。

今後も、インドネシアの綺麗な海を維持するために、海洋保護についてインドネシアの人々が関心を持ち、少しでもプラスチックゴミを削減することが急務であると言えます。

そのためには、政府だけではなく、民間規模でも協力していく必要があるのではないでしょうか。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。また、ジャカルタ州環境省とのネットワークもございます。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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