【コラム】インドネシアを悩ませるプラスチックごみ問題

毎年世界では、3億トン以上ものプラスチックごみが排出されていると言われています。

プラスチックは我々の日常において日々あらゆる場面で利用されており大変便利ですが、我々の環境にとって大変な脅威となっている、と最近のニュースでも繰り返し伝えられていますね。

基本的に、プラスチックには生分解性がないため、完全分解には20年から100年も要します。

ここまで分解に時間がかかると管理も非常に困難になり、埋め立て地への投棄を続けることは理想的な方法とは言えないでしょう。

適切な廃棄物の管理・処理方法がなければ、プラスチックは環境にとって大きな脅威となります。

プラスチックごみの問題は、全世界が関心を寄せる事項となっており、インドネシアも例外ではありません。

今回のコラムでは、インドネシアにおけるプラスチックごみ問題について取り上げます。

 

インドネシアの現状

現在、インドネシアは世界で2番目にプラスチックごみの排出量が2番目に多い国となっています。その量は約320万トンで、海洋汚染や河川汚染が深刻な状況です。

出典:Sciencemag.org, Plastic waste inputs from land into the oceanより弊社作成(閲覧:2019年5月13日) https://www.iswa.org/fileadmin/user_upload/Calendar_2011_03_AMERICANA/Science-2015-Jambeck-768-71__2_.pdf

 

ごみの処理方法

多くの人が、プラスチックごみを削減する方法はリサイクルだと考えるでしょう。では、なぜインドネシアではプラスチックのリサイクルが浸透していないのでしょうか?

残念ながら、リサイクル施設の導入も容易なことではないのです。

インドネシアではまだまだ、廃棄物の適切な処理方法、プラスチックの賢明な利用方法、プラスチックの有害さなどへの意識が全体的に低い状態であり、結果的にプラスチックごみはリサイクルされないままごみ処理場に投棄されどんどん積み上げられているのです。

それでは、現在、インドネシアにおいてプラスチックごみはどのように回収・処理されているのでしょうか?

インドネシアの廃棄物処理は、まず個人や集落のゴミ捨て場から廃棄物を回収するところから始まります。

ゴミ捨て場からの輸送方法は①スカベンジャーによるもの、と②大型のゴミ収集車によるものの2種類あります。回収の頻度はそれぞれ、大型のゴミ収集車は少なくとも週に1回、スカベンジャーはほぼ毎日廃棄物回収に訪れます。基本的にごみ収集車はゴミを回収するだけですが、スカベンジャーたちは廃棄物収集の傍らリサイクル価値があるペットボトルなどを探します。

回収された廃棄物は最終処分場に送られます。最終処分場ではごみの種類の分別などは行われず、ただ単に投棄が行われるのみです。スカベンジャーは回収した廃棄物を一時的なゴミ収集場に持ち込み、その後最終処分場に運ばれます。

出典: Sistem Informasi Pengelolaan Sampah Nasional 2015,Direktorat Pengelolaan Sampah Direktorat Jenderal Pengelolaan Sampah, Limbah, dan B3 Kementerian Lingkungan Hidup dan Kehutanan Jakarta(環境林業省管轄危険有害物質管理局並びに廃棄物局による
2015年度インドネシア国廃棄物処理に関する情報システム)より
弊社作成(閲覧:2019年5月13日)

 

2015年のインドネシア環境省の調査によると、ジャカルタで排出された廃棄物のうち69%は埋め立てられています。

ジャカルタ州環境局によると、最終処分場の容量は減ってきており、残り1,000万トン程度しか残っておらず、このままでは2021年に限界を迎えるのではないかと予測されています。ジャカルタからは毎日約7,400トンもの廃棄物が運ばれてきており、廃棄物の処理については何らかの対応が急務となります。

出典: インドネシア環境省、Pemetintah Luncurkan Gerakan Indonesia Bersih
(インドネシア政府、
インドネシアをよりクリーンにするための運動を開始)より弊社作成(閲覧:2019年5月17日)
https://dataalam.menlhk.go.id/berita/2019/02/21/pemerintah-luncurkan-gerakan-indonesia-bersih

ジャカルタ州環境局によると、西ジャワ州にある最終処分場の容量が残り1,000万トンとなっており、ジャカルタでは1日約7,400トンのごみが排出されているため2021年にはその処分場も限界を迎えるだろうと予測されています。

この廃棄物処理場の容量不足の問題は、ゴミの不法投棄を招いています。管理の行き届いていない埋立て地には不法投棄が相次いでおり、これでは環境問題に取り組んでいるとは全く言えません。

 

今後の課題と取り組み

この問題について、インドネシア政府は2025年までにインドネシアの海洋プラスチックを70%削減することを掲げています。しかし、プラスチックごみの削減は容易なことではなく様々な困難が生じるでしょう。

過去のコラムでご紹介いたしましたが、インドネシアではスーパーマーケットや店舗でのレジ袋の導入を徐々に規制しています。

https://www.indonesiasoken.com/news/column-rejibukuronoteikyohaishi/

レジ袋の規制により、インドネシアのプラスチックごみ問題にどのような影響がもたらされるのか注目が集まっています。

また、インドネシアではレジ袋の規制だけでなく、紙や海藻などの生分解性のある素材で製造された容器やストローの開発が進められています。

こちらはインドネシアで作られている海藻でできたストローです。

嗅いでみるとほのかにバニラの甘い香りがしました。最終的に食べることもできるそうです。このようなエコな商品が一般的に使用されるようになると環境にも少しずつ影響を与えることができるでしょう。

 

海藻でできたストロー

弊社は、ジャカルタ州の環境局ともネットワークがございます。

調査や現地のご視察など、ご興味がある方はお気軽にお問合せください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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