【コラム】ラマダン(断食)の目的とは

今年インドネシアでは、3月22日(火)から4月21日(金)がラマダン期間となり、インドネシアのイスラム教徒の人々は断食を行います。
今回のコラムでは、イスラム教徒のラマダン(断食)の目的について、ご紹介していきます。

ラマダン(断食)とは

ラマダンはイスラム教徒の義務のひとつで、ラマダン期間の約1ヶ月間、日の出から日の入りまでの時間飲食を断ちます。
また、飲食だけでなく、悪口、嘘、揉め事、欲望、性行為も断ち、ラマダン期間中は普段以上に良い振る舞いをすることが推奨されています。

ラマダン中の過ごし方

ラマダン期間中は、日の出から日の入りまでの間、飲食を断つため、普段より早く起き、日の出前に家族でご飯を食べます。
これを「サフール」と呼びます。そして、サフールを終えると、日の出前のお祈りを行います。

日中は普段通りに生活を行いますが、いつもよりは活発には動きません。
また、日中にもお昼のお祈り(ズフル)、午後のお祈り(アサル)の2回お祈りがあります。

日の出から、飲食を断ち、次に飲食ができるのは、日没後です。
日没後、「イフタール」という軽食を取り、日没後のお祈り(マグリブ)を終えると、再度食事を取ります。
夜ご飯を食べ終えると就寝し、また日の出前に起床する、という生活を送ります。

ラマダン期間中は、イスラム教徒が多い地域の飲食店は日中殆ど開いておらず、店頭に布がかけられているのをよく目にします。
反対に、夜になるといつもは早く閉めるお店が深夜まで営業していたり、街に露天が並んだり、お祭りのような雰囲気になります。

ラマダンの目的

ラマダンの最も重要な目的は、神様に近づき、自身の信仰心を清めることです。
ラマダン期間中は、欲を捨て、身も心も一番綺麗にした状態で、神様への献身と奉仕に没頭します。

また、ラマダンに入る前には、1年間の過ちを謝り、身も心も清めるという習慣があり、インドネシア語で「Mohon maaf lahir dan batin.(すべての罪をお許しください。)」という言葉と共に、友人、家族、先輩、後輩に挨拶をします。
また、両親に挨拶をするために、ラマダン前に実家に帰省するという習慣もありますが、遠方で帰省できない場合は、電話やチャットで挨拶をするようです。

参考WEBサイト:https://www.jccme.or.jp/11/pdf/2019-09/know-1906.pdf

上述の目的の他に、ラマダンにはその他の目的もいくつか存在します。

恵まれない人の気持ちを理解する
ラマダンの期間を通して、生活が困窮し、食事ができない人の気持ちを理解し、その様な人たちを助ける気持ちを忘れないようにすることも、ラマダンの目的です。

自立心を育てる
ラマダンを円滑に行うには、自分自身の欲望を抑える必要があり、またお祈りの時間の管理も必要になります。
その様なことを通して、他人に依存することなく自立した精神を育てることも目的の一つです。

健康維持
ラマダンの期間中は、通常より食べる量が減り、体の中の不純物を出す手助けにもなります。
ラマダンの期間を通して、1年間の体内にたまった毒素を出し、健康維持にも繋げていきます。

相互扶助の精神の強化
イスラム教徒の連帯感を高め、互いが助け合うことも、目的として教えられています。
ラマダン期間中、恵まれない人々に食べ物や飲み物を分け合う、という行為はよく行われています。

道徳的精神を身につける
ラマダン期間中は、食べ物や飲み物を我慢するだけではなく、嘘をつくことや、揉め事を起こすことも禁止されています。
その様な行いを抑制し、自分自身を見つめ直すことで道徳的精神を身につけることも、ラマダンの目的です。

このようにラマダンは、ただ飲食を経つという事だけではなく、様々な目的があるということがわかります。

参考WEBサイト:https://an-nur.ac.id/memahami-makna-dan-tujuan-dari-ibadah-puasa-ramadhan-beserta-dalilnya/

ラマダンは心も体も浄化し、神様の元で1年の振り返りを行う、イスラム教徒にとって非常に重要な期間であります。
そのため、ビジネスの商談等で渡航される場合は、できればラマダン期間を避けた方が賢明かもしれません。

ラマダン期間中に渡航する場合は、匂いのする食事を現地の修行中の人の目の前で食べないようにするなど、イスラム教徒の人を尊重し、思いやりを持った行動をとることが必要であると言えます。

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