【コラム】インドネシアで注目されている「ごみ銀行」と環境意識の高まり

2017年のインドネシアのごみの量は約6,700万トンでした。

ジャカルタだけでも1日約7,000トンものごみが出ており、ごみ処理が深刻な問題となっており、その処理方法についてはジャカルタ州政府も頭を悩ませているようです。

バリのビーチや海がごみで汚染されている、と言ったニュースも目にするようになりました。

そして、その問題を解決する方法として注目されているのが「ごみ銀行」です。

今回のコラムでは、ごみ銀行についてご紹介します。

 

ごみ銀行の仕組みと由来

「ごみ銀行」は、「銀行」という名前がついていますが、預けるのはお金ではなくごみです。

ごみ銀行のコンセプトは「リサイクル」。

収集されたごみは業者に売却され、そこで販売された金額がごみを持ち込んだ人の通帳に分配されるという仕組みです。

ごみ銀行にも、通常の銀行のように通帳があり、ごみを持ち込んだ履歴は通帳に記録されます。

その通帳を利用して現金を引き出すことができるというわけです。

また、回収されたごみは有機廃棄物と非有機廃棄物の2つのカテゴリに分類されます。

食べ残しや枝木、落ち葉などの有機廃棄物は堆肥に加工されます。

非有機廃棄物は、プラスチック、紙、ボトル、金属などです。

おおよその価格の相場をご紹介します。

プラスチックの袋は1キロ当たり1,000ルピア程度、プラスチックボトルは1キロ当たり2,500ルピア程度, プラスチックカップは1キロ当たり3,000ルピア程度です。

ごみ銀行は2008年2月にジョグジャカルタで初めて設立されました。

これは世界で初めてのごみ銀行で、ジョグジャカルタの保健工科大学公衆衛生学部の講師であるバンバン・スウェルダ氏が始めた取り組みです。

周囲環境を清潔にすること、それを促進することを大きな目的としています。

 

インドネシア全国のごみ銀行の数

2016年時点でインドネシア国内のごみ銀行は2,480か所でしたが、2017年には合計5,244か所になりました。

従業員数は合計で約160,000人にものぼり、そのうち約49%が女性で主に主婦をしている方だそうです。

下記はインドネシア各州のごみ銀行の数です。

出典:http://ditejenppi.melkhk.go.id, 2017年

また、ごみ銀行の収益は1.01億ルピア(2015年)、1.14億ルピア(2016年)、1.48億ルピア(2017年)と徐々に増加しています。

全5,244のごみ銀行における前年からの廃棄物削減率は、2015年はわずか0.01%でしたが、2016年は0.14%、2017年には1.7%と徐々に増加しています。

 

ごみを通して考えるインドネシアの環境意識

削減率は上昇しているものの、まだごみを分別する世帯の割合も少なく、ごみの量自体はまだまだ多いのが現状です。

インドネシア中央統計庁によると、インドネシアにおいてごみを分別する世帯の割合は、下記の通りとなっています。

 

スラバヤでも今年4月より、「ペットボトルごみを市バス乗車券と引き換える」という取り組みが始まりました。

少しずつインドネシア国内でも環境への意識が高まりつつありますが、問題解決には更なる取り組みが必要でしょう。

インドネシア国内のごみの量の削減量についてはまだまだ改善の余地があります。しかし、インドネシアのごみ銀行の数から見ても、その機運は確実に高まっています。

今後、ごみを適切に分別し、ごみを経済的価値のある何かに生まれ変わらせる取り組みを更に活発に行うことができると期待されています。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-5302-1260

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