【コラム】インドネシアの鑑賞魚ビジネス

インドネシアでは、全世界の観賞用淡水魚1,100種のうち約400種が生息しており、観賞魚の輸出額で世界第2位に位置しています。

また、2023年の輸出額は3,906万ドルに達し、前年から7.2%増加しました。

インドネシア政府も観賞魚ビジネスを支援し、経済の柱としてさらなる成長を見込んでいます。

今回のコラムでは、インドネシアにおける鑑賞魚ビジネスについてご紹介します。

目次

世界の鑑賞魚ビジネス

世界の鑑賞魚市場は、2022年に3億5,050万ドルに達し、市場成長率は2.63%となりました。

世界的にみても鑑賞魚市場は成長している市場であることがわかります。

また、鑑賞魚市場で取引されている魚のうち、淡水魚が約77%、海水魚が約23%を占めています。

世界的に鑑賞魚の輸入が多いのは、1位がアメリカで9,170万ドル、2位がEU諸国で8,900万ドル、ASEAN諸国(3,410万ドル)、中国(2,340万ドル)と続きます。

インドネシアの鑑賞魚の輸出額

インドネシアの海洋水産省(KKP)によると、インドネシアは2023年時点で日本に次ぐ世界第2位の鑑賞魚輸出国となっています。

3~4年前は上位5位以内に入っていましたが、着実に順位を上げて現在は2位に上り詰めました。

2023年の鑑賞魚の輸出額は3,906万ドルに達し、2022年の3,643万ドルから7.2%増加しています。

また、インドネシアで飼育されている鑑賞魚の総数は4,522匹で、そのうち1,400匹が淡水魚です。

参考WEBサイト:https://www.antaranews.com/berita/4139886/kkp-indonesia-negara-eksportir-ikan-hias-kedua-terbesar-di-dunia

インドネシアから輸出されている鑑賞魚の種類

インドネシアは、日本に次ぐ世界第2位の鑑賞魚輸出国であり、輸出先は日本、香港、アメリカ、ベトナム、中国です。

独特な模様や色彩が国際的に評価されています。

以下は、インドネシアから輸出されている人気の鑑賞魚の種類です。

アロワナ

1億年以上前から存在する古代魚です。

インドネシア原産のアロワナ、カリマンタンアロワナ、ノーザンバラムンディは世界的にも人気のある品種です。

ボティア

ボティアは、主にインドネシアのカリマンタン島やスマトラ島の淡水に生息しています。

日本ではカクレクマノミとして知られています。

フランス、デンマーク、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、日本など様々な国に輸出されています。

ベタ

ベタは、東南アジア全体に多くの種類が生息していますが、その中でインドネシア原産のベタチャンノイデスが多くの観光魚愛好家に好まれています。

また、世界で生息する73種類のベタのうち、52種類がインドネシアの水域に生息しています。

参考WEBサイト:https://entrepreneur.bisnis.com/read/20201105/263/1313978/prospek-bisnis-ikan-hias-musiman-atau-akan-bertahan

レインボーフィッシュ

レインボーフィッシュは、主にスラウェシ島やパプア州の海域に生息しています。

種類によって色彩が異なり、水族館での観賞魚に適しています。

チャンナフィッシュ

インドネシアには、数種類のチャンナフィッシュが存在しています。

そのうち、レッドスネークヘッド(Channa micropeltes)、ロイヤルトーマン(Channa marulioides)の2種類が特に人気があります。

チャンナフィッシュは、主にスマトラ島、ジャワ島、カリマンタン島など、インドネシアの西部地域を中心に生息しています。

上記の中でも、一番人気が高いのは「アロワナ」です。

アロワナは、年間約800万ドルの収入をインドネシアにもたらしており、インドネシアにおける外貨獲得に貢献しています。

参考WEBサイト:https://platinumadisentosa.com/5-ikan-hias-asli-indonesia-yang-diekspor-ke-luar-negeri/
https://www.antaranews.com/berita/3796038/kkp-ungkap-ikan-arwana-sumbangkan-devisa-8-juta-dolar-as-per-tahun

パンデミック期に大きな利益をあげる

観賞用魚のビジネスは、新型コロナウイルスのパンデミック中も非常に好調でした。

特に、オンラインでの販売が活性化したことで、鑑賞魚ビジネスの人気が高まりました。

広大な土地を必要とせず、食用の魚と比較して、販売価格が高いことで、収益をあげる速度が早く、パンデミック期に特に注目されました。

参考WEBサイト:https://gokepri.com/bisnis-ikan-hias-cepat-balik-modal-bikin-kantong-tebal/

観賞魚ビジネスにおけるインドネシア政府の対応

インドネシアの海洋水産省(KKP)は、インドネシアの鑑賞魚ビジネスの競争力を高めるため以下のような取り組みを行なっています。

Jesika Mobileシステムの導入

Jesika Mobileというシステムを利用することで、鑑賞魚ビジネスを行う事業者は鑑賞魚の流通に必要な認証手続きのために、空港へ出向く必要がなくなりました。

インドネシア鯉・金魚センターの建設

2021年3月には、インドネシアの西ジャワ州チビノンにあるチビノン鑑賞魚飼育センター内に、鯉・金魚センターを建設しました。

鑑賞魚飼育に必要な資材や物資の支援

新型コロナウイルスのパンデミック中の2020年には、鑑賞魚を飼育するために必要な、魚のエサや水槽、水や電気設備などの養殖施設など全てまとめた鑑賞魚養殖支援パッケージ50個を各地域に配布しています。また、2021年にも150個配布しました。

参考WEBサイト:https://umkm.kompas.com/read/2022/10/11/095300883/pemerintah-permudah-umkm-berbisnis-ikan-hias
https://www.antaranews.com/berita/2030263/menteri-trenggono-resmikan-pusat-koi-dan-maskoki-nusantara-di-cibinong
https://ekonomi.bisnis.com/read/20210110/99/1340889/ikan-hias-jadi-andalan-bantuan-sarpras-budi-daya-2021-ditambah

今回のコラムでは、インドネシアにおける鑑賞魚ビジネスについてご紹介しました。

世界で2位の鑑賞魚輸出国を誇るインドネシアにおいて、鑑賞魚ビジネスは政府も取り組みを強化する経済の柱となるビジネスといえます。

日本は現在、鑑賞魚の輸出で世界1位を誇っていますが、インドネシアの成長が続けば、シェアを脅かされる可能性があるため注視が必要です。

また、1位の輸出額を誇っているからこそ、日本企業にとってインドネシア市場への参入は新たなビジネスチャンスと言えるでしょう。

日本の強みを生かし、現地の需要や文化に対応した製品・サービスを提供することで、両国にとって利益のあるパートナーシップを築くことが期待できるのではないでしょうか。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野の進出のサポートを行なっております。

また、インドネシア人材の教育や受け入れに関しても様々なサポート実績がございます。

インドネシアでのビジネスについてご興味がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

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