【コラム】インドネシアのZ世代とミレニアル世代のSNSでの行動傾向と読書傾向

インドネシアでは、人口の70.72%が生産年齢(15歳~64歳)で人口ボーナスを享受しており、2045年には人口黄金期を迎えるとされています。現在、インドネシアではZ世代(1997年~2012年生まれ)が最大人口であり、総人口の27.94%を占めています。その次に多いのがミレニアル世代(1981年~1996年生まれ)で25.87%を占めています。このように人口の大部分を占めるZ世代やミレニアル世代などの若年層の価値観、行動などを理解することはインドネシアの今後を予測するうえで非常に重要です。今回のコラムでは、インターネットでアクティブなZ世代、ミレニアル世代のSNSでの行動傾向や読書傾向をご紹介いたします。

参照:https://ppukab.bps.go.id/indicator/12/80/1/penduduk-menurut-kelompok-umur-dan-jenis-kelamin.html

目次

インドネシアのZ世代・ミレニアル世代の調査手法

本コラムで使用しているZ世代およびミレニアル世代のデータは以下の方法により集計されました。

調査主体 :弊社提携パートナーの調査会社Advisia
調査期間 :2023年5月29日~7月9日
回答者の居住地:インドネシアの10都市(ジャカルタ、バンドン、スマラン、ジョグジャカルタ、スラバヤ、デンパサール、バレンバン、メダン、バリクパパン、マカッサル)
標本抽出法:ランダムサンプリング
回答者数:Z世代が602人、ミレニアル世代が560人(うち30人ずつに定性的インタビュー調査実施)
※一部の項目については弊社が51人と51人ずつに追加調査実施

Z世代、ミレニアル世代のオンライン接続時間

(出典:弊社報告書より作成)
(出典:弊社報告書より作成)

Z世代、ミレニアル世代ともに、インターネットの利用時間は1~6時間と回答した人が大半を占め、毎日多くの時間をSNSやインターネットの閲覧・投稿に費やしていることが分かります。Z世代はデジタルネイティブと呼ばれるような世代で、オフラインとオンラインの境界があいまいな感覚を持っています。Z世代にとってインターネットとは自己を承認してもらえる場でもあり、地理的な制約を超えたつながりを構築するための、生活に不可欠な手段となっています。ミレニアル世代はZ世代のようなデジタルネイティブとまではいかないですが、オンライン上の活動が盛んな世代です。特に新型コロナウイルス流行時にはオンラインでの活動が活発化しました。

ミレニアル世代はInstagramを好み、Z世代はTikTokへ移行

(出典:弊社報告書より作成)
(出典:弊社報告書より作成)

各SNS別の利用者をみてみましょう。Z世代および、ミレニアル世代ともにInstagramの利用者が多くを占めることは分かります。Z世代においては、ミレニアル世代と比較するとTikTokの利用者が多いことも特徴的です。簡潔な動画の中に多くの情報が詰まったコンテンツは、視覚重視のZ世代の価値観と一致しているため、TikTokはZ世代の若者の心をつかみました。また、Z世代のTikTokへの移行は、一見完璧なビジュアルの投稿への疲れでもあると読みとることができます。ミレニアル世代においては、Instagramが依然として圧倒的に人気であり、TikTokのユーザーはZ世代と比較すると限定的です。

ただし、女性の方が男性よりもややTikTokに関心を示しているようです。メッセージアプリに関しては、Z世代およびミレニアル世代ともにほとんどの人がWhatsappを公私ともに用いており、DiscordやLINE、Telegramなどはほとんど用いられていません。インドネシアの公的機関もWhatsappを用いたチャットボットを提供するなど、多目的なコミュニケーションができるメッセージアプリとしてWhatsappは機能しています。

Z世代、ミレニアル世代ともにプライバシー保護意識の課題が残る

インドネシアではデータ漏洩が数多く報告されていますが、若年層の間では、依然として個人情報の保護の意識が希薄であることが問題となっています。Z世代の89%、ミレニアル世代の88%が個人情報保護の現状に満足していると回答しており、セキュリティやデータ漏洩への不安をあまり感じていないようです。個人情報の漏洩による組織的なデータの悪用や個人への攻撃などの危険性を考えると、若年層の教育や啓発が今後重要な課題となってくるでしょう。2022年10月にはインドネシアでは個人データ保護法が可決され、個人情報保護へ一歩前進しました。今後の状況改善を注視していくことが重要です。

Z世代、ミレニアル世代ともに電子書籍が普及

(出典:弊社報告書より作成)
(出典:弊社報告書より作成)

若年層の読書媒体ですが、Z世代およびミレニアル世代ともにオンラインニュースを利用する人が多くなっています。朝のニュースを素早くチェックするためにオンラインニュースを便利と感じる人が多いようです。また、Z世代の場合は年齢的に学業や就職の年齢であることから、余暇を読書に充てられる人が少なく、素早く必要な情報だけをピックアップできるオンラインニュースを好む傾向があるようです。また、Z世代およびミレニアル世代の両方において電子書籍が人気で、特にZ世代の中の若年層の間では電子書籍がさらに人気です。電子書籍は、一般の書籍よりも安価であるため、今までよりも多くの人々に読書の機会をもたらしましたが、海賊版などを利用するなど知的財産権に関する課題はまだ残されています。

今回のコラムではZ世代、ミレニアル世代のオンライン上での行動傾向や読書媒体に関してお伝えいたしました。若年層のオンラインでの行動を知ることで、あらたな事業や市場開拓のきっかけにもなります。

弊社では、インドネシアの社会や制度などに関して独自に大規模な調査を実施し、インドネシアのリアルタイムの情報を入手し、お届けすることが可能です。インドネシアでの事業をお考えの方はぜひ弊社までお問い合わせくださいませ。

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