【アルビー日記】インドネシアで活躍する母校タルナ・ヌサンタラ高校卒業生
こんにちは。インドネシア総研のアルビーです。
今年インドネシアでは大統領選が行われ、10月にはプラボウォ政権が誕生します。
インドネシアではジャカルタからヌサンタラへの首都移転も計画されており、今まで以上にインドネシアの同行が気になる方も多いのではないでしょうか。
私は2000年に来日、2011年にインドネシア総研を設立し、長くインドネシアと日本を見てまいりました。インドネシア初の高速鉄道開業において、日本が中国に敗れてしまったことは記憶に新しいと思いますが、最近はインドネシアと日本をつなぐ強力なパイプ役がいないと感じています。
以前は、東京農工大学出身で投資庁長官や鉱物エネルギー省大臣など要職を務めたギナンジャール・カルタサスミタ氏や、中央大学出身でパナソニック・ゴーベルグループの元会長、そしてジョコウィ政権で貿易相も務めたラフマット・ゴーベル氏という存在もいましたが、今現在はこのような強いパイプ役となる存在はいません。
高速鉄道開業においても、ギナンジャール氏のような強力なパイプ役がいれば結果が違っていたかもしれません。
ジョコウィ大統領の側近はルフット氏という中国寄りの方なので、高速鉄道開業においても日本とのパイプ役がいなかったことで根回しができなかったのです。
ここで少し私の経歴をご紹介いたしたいと思います。
私はインドネシア・中部ジャワ州にあるタルナ・ヌサンタラ高校(SMA Taruna Nusantara )という国軍付属高校出身です。私は7期生にあたりますが、6期生の先輩から防衛大学に多く進学し始め、卒業生の4割が士官学校や警察学校に進学しています。卒業生の多くが軍、警察、政府要人となっており、実際プラボウォ次期大統領側近として、第5期生や第6期生の先輩、そして第7期生の同期たちが活躍しています。
実はインドネシアでは最近、タルナ・ヌサンタラ高校の卒業生がプラボウォの戦略的ポストや国営企業のポストに就くことができるようにプラボウォ氏が道を切り開き始め、話題になっているのです。
弊社ジャカルタオフィスにも、タルナ・ヌサンタラ高校の後輩が数名在籍しています。
タルナ・ヌサンタラ高校のWEBサイト
Instagramアカウント
https://www.instagram.com/sma.tarunanusantara
インドネシアで活躍する、タルナ・ヌサンタラ高校卒業生を何人かご紹介したいと思います。
Agus Harimurti Yudhoyono氏
タルナ・ヌサンタラ高校の先輩で有名な人は、第5期生のAgus Harimurti Yudhoyono(通称AHY)でしょう。現在、農業・空間計画大臣に就任しています。彼はユドヨノ前大統領の長男でもあります。そして、AHYの側近もタルナ・ヌサンタラ高校の第5期生なのです。
Agus Harimurti Yudhoyono氏のInstagram
https://www.instagram.com/agusyudhoyono
Simon Aolysius Mantiri氏
Simon氏は、インドネシア国営石油会社プルタミナ(PT.Pertamina)の会長です。アホック元ジャカルタ州知事の次にプルタミナの会長に就任しました。プルタミナは国営会社ですので、会長に就任するということは政治的な意味も含んでいます。Simon氏はタルナ・ヌサンタラ高校の第6期の先輩です。43歳という若さでプルタミナの会長に就任しました。日本でこのような企業の会長に、40代の若い人材が就任するというのはなかなか考えられないのではないでしょうか。
Sugiono氏
Sugiono氏はプラボウォ次期大統領の側近です。彼はタルナ・ヌサンタラ高校の第5期生の先輩です。
Sugiono氏のInstagram
https://www.instagram.com/sugiono_56/channel/?hl=ja
Oki Muraza氏
Oki氏はプルタミナの現シニアバイスプレジデントです。サウジアラビアの大学で教鞭をとっていた経歴もあります。第4期の先輩です。Oki氏はスタンフォード大学から「世界的に影響力のある科学者」と認められており、石油・ガス業界では広く名が知れた存在です。プラボウォ次期政権では、エネルギー鉱物資源省副大臣のポストに就くのではないかと噂されています。
Oki Muraza氏のInstagram
https://www.instagram.com/okimuraza
Rudy Saladin氏
Rudy氏は陸軍士官学校出身で、現在は東ジャワ州の陸軍駐屯地にて地方軍司令官を務めています。ジョコウィ大統領の元補佐官でもあります。少し上の第2期の先輩です。
Guinandra Jatikusumo氏
彼は第18期の後輩にあたります。インドネシアの財閥CT Corp創始者Chairul Tanjung氏のご令嬢Putri Tanjungさんと結婚しました。
Putri TanjungさんのInstagram
https://www.instagram.com/putri_tanjung
https://www.instagram.com/p/CwW_kKqLbh1/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
今回ご紹介したのはごく一部の卒業生で、数多くの先輩・後輩がインドネシアの様々な業界で活躍しています。
上述の通り、プラボウォがタルナ・ヌサンタラ卒業生を登用しているため、今までプラボウォが所属するグリンドラ党と民主党が一緒に活動することはありませでしたが、最近タルナ・ヌサンタラ高校の卒業生らが交流し、団結し始めています。
プラボウォが3月に当選したときにはまだインドネシアは国としては中国寄りでしたが、私はプラボウォ就任後は次は日本に来ると思っています。
インドネシアではスハルト自体に汚職が蔓延し、依然として課題となっています。
スハルトの妻シティ・ヘディアティはTien夫人と呼ばれていましたが、それを文字って、“Mrs Tien Percent(=Mrs Ten Percent)”や”Madame Ten Percent”と呼ばれていました。
これは、夫人がスハルト政権時に絶大な権力を持ち、国内のあらゆる大規模プロジェクトに10%の収益を要求した、という話が由来です。
賄賂はもちろん禁じられる行為ではありますが、根回しと賄賂は全く異なるものです。
日本では、“コンプライアンス重視=根回しもダメ”というイメージがなんとなくあると思いますが、それではインドネシアと日本をつなぐ強力なパイプが育たなくなってしまいます。私は、2014-2024年は、インドネシアと日本をつなぐ強力なパイプ役がいない空白の10年だと思っています。質の高い非公式なやりとりができなかったと感じています。
先ほど述べた通り、今後インドネシアは少しずつ日本寄りになり、日本にとって大きなチャンスが到来すると思います。このような機会において、どのようにインドネシア政府と連携するかを検討していくことは非常に重要だと考えています。政策が有利にはたらくように関係づくりをしていくことが大切です。
ガバメント・リレーションズという言葉がありますが、アメリカや中国の会社はうまくインドネシアと関係維持をしています。日本は成果物主義なので、直近の日本はこの関係維持がうまくできていないですね。
このように、様々なネットワークを活用してインドネシアに進出していくことが可能です。
ただブローカー、マッチングだけではなく、お互いwin-winの関係になっていくことが大切です。
インドネシアは国内産業保護のために様々な規制がなされていますが、インドネシアとうまく関係づくりをしないと、日本側のお困りごとがインドネシア側に伝わらないので、様々な分野において規制がなされてしまいます。
弊社はガバメント・リレーションズのお手伝いをさせていただくことが可能です。
ぜひお気軽にお問合せください。