【アルビー日記】2024年インドネシア大統領選の速報と分析~プラボウォ氏が勝利宣言へ~

2月14日、インドネシア大統領選挙が行われました。

正式な開票結果は約1か月先の発表となりますが、非公式集計で当選に必要な過半数を獲得したとして、プラボウォ国防相が事実上の勝利宣言を行いました。

インドネシア大統領選挙は、プラボウォ国防相、アニス前ジャカルタ州知事、ガンジャル前中部ジャワ州知事の3人が立候補していました。

インドネシアの大統領選挙では、1回目の投票で候補者が過半数となる50%を獲得できなかった場合、2回目の投票が行われます。過去の大統領選挙では1回目で接戦となり、2回目の投票に持ち越すことが多かったのですが、今回はプラボウォ氏が他2名を大きく引き離し、1回目での当選確定となりました。

非公式集計の結果によりますと、メディアによって少々の変動はあるものの、アニス氏が25%程度、プラボウォ氏が58%程度、ガンジャル氏が17%程度という結果になっています。

インドネシアでは、大統領は憲法で3選が禁止されているため、現在2期目のジョコウィ大統領は今回は出馬していません。ジョコウィ大統領は現在も支持率約80%と高い支持率を誇っており、コロナ規制緩和や貧困層への支援、インフラ開発などが高く評価されてきました。今回の大統領選挙では、高い支持率を誇るジョコウィ政権の政策の継続か改革かが主な争点とされていました。

出展:Kompas.comより

インドネシアの調査機関Indo Barometerの創設者兼トップであるMuhammad Qodari氏は、今回の大統領選挙はジョコウィ派か反ジョコウィ派かで分かれており、最も「ジョコウィらしいことを言う」候補者が当選すると発言していました。

アニス前ジャカルタ州知事は反ジョコウィ派であり、度々集会などでジョコウィ大統領を批判してきました。

一方、プラボウォ氏は現政府の国防相ということもあり、ジョコウィ大統領の政策を継続する候補として注目されてきました。しかし、プラボウォ氏は今回の候補の中で72歳と最も高齢で、若い層に支持されているイメージはありませんでしたので、インドネシアの若年層を取り込むためにも、ジョコウィ大統領の長男であるギブラン氏(36歳、現スラカルタ市長)を副大統領に擁立しました。また、プラボウォ氏はTikTokでダンスをする動画を投稿したり、マスコットキャラを作るなど、若年層にもリーチする取り組みを行ってきました。

ガンジャル元中部ジャワ州知事は、ジョコウィ大統領と同じく最大与党の闘争民主党の所属であり、新型コロナウイルスの患者数を抑えた実績などから幅広い層からの支持を得ていました。当初はジョコウィ大統領からの支持を受けており、またガンジャル氏は白髪なので知的で聡明なイメージももたれていました。しかし、ガンジャル氏はジョコウィ大統領よりも、闘争民主党党首であるメガワティ氏に従順であること(メガワティは度々集会などでジョコウィを否定するような発言を行っていました)、また副大統領候補に擁立した現政治・治安担当調整大臣府長であるマフッド氏が、大統領討論会でジョコウィ大統領の批判を行ってしまったことなどから、支持率が低下してしまいました。

先に述べた「ジョコウィ大統領らしい発言をした人が当選する」というコダリ氏の発言の通り、今回の大統領選挙ではジョコウィに最も近いプラボウォ氏が当選しました。また、コダリ氏は、現在のジョコウィ大統領の支持率と、大統領候補者のジョコウィ派の獲得票率が同じくらいの割合になるだろうと述べており、実際にプラボウォ氏(約58%)とガンジャル氏(約17%)の獲得票率を足すと約75%になり、ジョコウィ大統領の支持率80%に非常に近い数字になりました。

インドネシアでは、大統領就任式から100日以内の大統領の行動が非常に重要視されており、次期政権にアプローチし、提携するチャンスにもなります。大統領選の際、各候補者はそれぞれ公約を掲げていますが、実効性のあるものかどうかまでは必ずしも精査されているとは限りませんので、次期政権は大統領就任式より100日以内に何かしらの実績を残すために各界様々な政策提言などを受け付けます。

プラボウォ氏は現在、学童向けの無料の給食+牛乳提供プログラムを掲げて注目を集めています。予算は約470兆ルピアに達するとも推定されております。インドネシア政府は「Gold Indonesia 2045」というビジョンを掲げており、これは人口ボーナスが続くのが2040~2050年ごろであることを踏まえ、2045年までに人口ボーナス期を最大限活用して十分な雇用の創出と質の向上、社会インフラを向上させるというという内容です。インドネシアでは、2045年までに良い人材が育つためには子供たちへの十分な栄養の提供も必要と言われており、プラボウォ氏の給食と牛乳政策にも注目が集まっています。

その他、国の政策として行われる大規模農園「フード・エステート(食糧農園)」についても積極的に推し進めていく意向です。

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