【コラム】インドネシアの最新メイクアップトレンド2024年版
インドネシアでは、昨今SNSの普及により様々な国の流行を取り入れた服装やヘアスタイル、ライフスタイルが若者の人気を集めています。メイクアップもその一つです。
特に、K-Popアイドル風のメイクや、中国のTikTok「抖音(Douyin/ドウイン)」インフルエンサー風のメイクトレンドは、インドネシアの若い女性を中心に常に注目されています。今回のコラムでは、インドネシアで2024年に流行が予想されているメイクアップのトレンドについて、その背景を踏まえながら詳しくご紹介いたします。
「美の基準」の変化
日本や韓国と同じように、インドネシアをはじめとする東南アジア諸国において、従来雪のような白い肌は美しさの絶対的な基準とされ、様々な美白製品が販売されてきました。一方、美白への高い憧れは時にはリスクを伴うことも多く、有害な成分を使用した美白製品による健康被害等の事例が度々報告されてきました。
しかし時代の変化と共に美の基準も変化し、近年では全ての肌の色を美しいとする考え方が世界的に脚光を浴び始め、絶対的な美白信仰は以前と比較すると薄れつつあります。元々褐色系の肌をした人が多いインドネシアにおいても同様で、現在では個々の肌色に合わせ、肌への負担も少なく素肌を自然に美しく見せることができる化粧品を展開するコスメブランドが人気を集めています。
その一つが、インドネシアにおけるハラール、ヴィーガン、クルエルティフリー(無動物実験)コスメのリーディングブランド『ESQA Cosmetics』です。
ナチュラルメイクの流行
ESQA Cosmetics公式ホームページより(https://esqacosmetics.com/)
ESQA Cosmeticsは、上述のような社会意識の変化を受け、ナチュラルなメイクスタイルがインドネシアにおける2024年のメイクアップトレンドとなると予想しています。ナチュラルメイクは、単純な「薄化粧」とは異なり、多くの化粧品を使わずともテクニックを上手く駆使することで、自然さを残しつつ美しく仕上げるメイクです。
SNS上では、華やかな濃いメイクは既に「古い」とされ、濡れたようなツヤ肌を意味する「dewy dumpling(しっとり光沢のある水餃子)」や「glazed donut(シュガーシロップでコーティングしたドーナツ)」など、ナチュラルなメイクを前向きに表現するスラングが登場しています。具体的には、カバー力の強い重めのファンデーションから薄づきのベースへ、またはマットな質感の真っ赤な口紅から薄色のリップグロスで濡れたような光沢感を出す「Naked lips」へ、というようなものが流行しているようです。
インドネシアにおけるこうしたナチュラルメイクのトレンドは、SNSの拡散力の他にも、様々な肌色や肌のタイプに合わせて商品を幅広く展開する化粧品会社の企業努力によっても支えられています。
抖音(Douyin/ドウイン)メイク
インドネシアの2024年のメイクアップトレンドには、まさに現代のSNSの影響力を感じさせる「抖音(Douyin/ドウイン)メイク」というものがあります。中国発祥のこのメイクスタイルは、目を赤ちゃんのように丸く大きく見せ、唇をぷっくりと仕上げることで全体的にキュートな印象を与える、いわゆる「童顔」に見せるメイクアップのことです。
中国を拠点に世界的に展開するコスメブランド『Focallure』によると、抖音メイクは2023年初めにTikTokを中心に流行し始め、「網紅」と呼ばれる中国のインフルエンサーから世界中の多くのインフルエンサーまでがこのトレンドに便乗したため、インドネシアを含め世界的に認知されるようになりました。
また、同じ「抖音メイク」と言っても、以前はマットな質感の口紅が好まれていましたが、現在ではぷっくりと立体感のある唇に仕上げるグロッシーな口紅が主流となるなど、その内容はもう一つのトレンドであるナチュラルメイクの影響を受けながら、常に変化し続けています。
ストロベリーメイク/ピーチメイク
抖音メイクのほかにも、SNSや美容系インフルエンサーの影響で流行しているメイクがあります。それが「ストロベリーメイク」です。このトレンドは、元々2023年にヘイリー・ビーバーがTikTokに投稿した動画がきっかけとなり、欧米を中心に広まったものです。
ストロベリーメイクはその名の通りイチゴのように赤くツヤツヤとしたチークやリップに加え、薄づきのベースメイクでそばかすなどをあえて残し、フレッシュさ、みずみずしさを演出するのが特徴です。ここにもナチュラルメイク思考が見て取れますね。
また、ストロベリーメイクは一年を通して夏らしい気候の続くインドネシアに相応しい爽やかな雰囲気に仕上がることに加え、ピーチ・コーラルなどといった暖色系に寄せて仕上げると褐色系の肌トーンに良く似合うメイクアップであることから、インドネシアでも人気に火がつき、SNS上では多くのインドネシア人がこのメイクを真似したルックを投稿しています。インドネシアのメイクアップ業界では、このトレンドは2024年にも続くと言われています。
今回のコラムでは、2024年にインドネシアで流行が予想される代表的なメイクアップトレンドについてご紹介させていただきました。まとめると、キーワードは「ナチュラル」であり、インドネシア人の肌色や肌質に合わせた商品展開が鍵となります。
本コラムでは、インドネシアや中国のコスメブランドについても紹介させていただきましたが、インドネシア市場には、日本のコスメブランドもまだまだ参入の余地があります。インドネシア人が日本製品に抱く「高品質」や「安全」といったイメージは、現在高まっているナチュラル思考に上手くフィットすると言えるでしょう。
インドネシアでの商品販売にはBPOM(Badan Pengawas Obat dan Makanan)と呼ばれる国家医薬品食品監督庁の販売許可を得ることが必要となります。
弊社インドネシア総合研究所では、化粧品に限らずサプリメントや医薬品などのBPOMの取得サポートも承っております。過去のコラムでもBPOMについて詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。皆様のお問い合わせをお待ちしております。