【コラム】インドネシア国家医薬品食品監督庁BPOMの登録方法①化粧品編
近年、インドネシアでは日本製品の市場拡大が著しく進んでいます。インドネシアでは日本の製品は「高品質」「プレミア」等といったイメージがつきやすく、消費者の間では、多少値段が高くても日本の商品を買いたいという傾向が見られます。
中でも、化粧品やサプリメントなどの美容・ヘルスケアの分野は、特に日本の商品が人気が高くなる傾向のあるカテゴリです。日本製品へ寄せる信頼が厚いだけでなく、平均年齢が31.1歳(2023年時点、World Population Reviewより)と、48.6歳(同上)の日本と比較すると圧倒的に若者人口が多い点も、インドネシアの注目すべき特徴です。
これらの条件から、化粧品や健康食品の販売先として絶好の市場とも言えるインドネシアですが、商品を販売するためには、BPOM(Badan Pengawas Obat dan Makanan)と呼ばれる国家医薬品食品監督庁の販売許可を得ることが必要です。今回のコラムでは、BPOMとはどういうものなのか、そしてその具体的な登録方法について、連載でご紹介させて頂きます。
BPOMとは
BPOMは、インドネシアの加工食品、化粧品、医薬品などの流通における安全管理の役割を担う主要政府組織です。他の国における同様の組織としては、米国のFDA(Food and Drug Administration、アメリカ食品医薬品局)や、日本の厚生労働省があげられます。
かつてインドネシアでは、流通している食品の多くが安全基準を満たしておらず、食中毒等の健康被害が多数報告されていました。また医薬品分野では、不十分な品質管理、偽医薬品の流通、公的病院や保健所等での医薬品の杜撰な管理や不適切な投与等が度々告発されていました。こうした事態を改善するため、インドネシア政府は2001 年よりBPOMを設置し、医薬品、伝統医薬品、化粧品、健康補助食品、食品の5つのカテゴリを設けて、国内に流通する各製品の安全管理体制を強化しています。各カテゴリ内には調査センターなど更に細分化された組織が置かれ、全体を構成しています。
BPOMは、国内で製造された製品のみならず、外国から輸入された製品にも登録が義務付けられています。つまり日本から輸入する製品についてもこの登録が必要となります。BPOMの認証を通過した製品には其々英字表記が付されており、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で手に取る商品の包装ラベルを見れば、その製品のカテゴリや生産地、BPOM届出年等の製品情報が一目で分かるようになっています。
BPOMの登録に必要な書類が揃ってから登録完了までにかかる期間は、そのカテゴリによって異なります。食品と化粧品は比較的早く、何れも2~3ヶ月ほどです。サプリメントの場合は6~12ヶ月ほどです。一般用医薬品や伝統的な医薬品では6~12ヶ月ほど、医療用医薬品の場合は12ヶ月以上が登録のために平均的に要する期間となっています。
化粧品の登録方法
では、BPOM登録にはどのような書類が必要となるのでしょうか。本コラムでは、弊社にお寄せいただくBPOM登録のご相談の中で最も多い、化粧品のカテゴリを例にご紹介いたします。
■製造を担う(日本)企業が用意する書類
1.委任状(PoA)
2.自由販売証明書(CFS)
3.適正製造基準(GMP)証明書
4.化粧品処方
5.製品情報
6.原材料の品質データ
7.製造工程
8.化粧品の仕様及び分析方法
9.安定性報告書
10. ラベリング情報
11. 原材料の安全データ
12. 安全性評価
13. 製品の効能・販売文句の有効性を実証するデータ
※6(原材料の品質データ)と11(原材料の安全データ)の内容が重複する箇所に関しては、同じデータを使用して良いですが、別物として書類を其々作成し提出する必要があります。
■販売を担う(インドネシア)企業が用意する書類
1.事業者識別番号(NIB)
2.有害事象報告に関する代表取締役からのステートメントレター
3.代表取締役のインドネシアの身分証(KTP)のコピー
4.BPOM監査完了証明書
5.事業免許(SIUP)のコピー
6.会社の納税者番号(NPWP)
7.商品取扱管理者雇用契約書
上記の書類は、それぞれ記載しなければならない事項や、実験方法・条件等の規定が非常に細かく定められているほか、インドネシア大使館や公証役場にて認証を必要とするのもあり、また全て英語もしくはインドネシア語で作成することが求められています。
図1 化粧品のBPOMコード(弊社作成)
化粧品の場合、BPOM登録された商品には、2桁の英字と11桁の番号が割り当てられます。それぞれの英数字が示す情報は図1の通りです。実際にインドネシアのスーパーマーケットで販売されている下の写真の商品を例に取ると、この商品はアメリカ産であり、2020年にBPOMに登録されたと言うことが分かります。
化粧品のBPOMコードの例(弊社撮影)
弊社インドネシア総合研究所では、今回紹介させて頂いた化粧品に加え、食品・サプリメントのBPOM認可取得においても豊富な経験を有しております。弊社のBPOM申請サポートサービスでは、BPOM専門家でもある現地アドバイザーによるチェック及びフィードバックを介しながら、日本の企業の皆様の一つ一つの書類作成において、細かいフォローをさせて頂いております。
そして日本企業の皆様にとってはBPOM登録に必要な書類は、これが安全管理のものであるため規定が非常に細かく、更に外国語で作成する必要があることから、大変労力を要する作業となることは否めません。故に、インドネシア事情やBPOMに精通した弊社のサポートはスムーズな登録のために大きくプラスに働くことと存じます。
インドネシアへのBPOM登録を必要とする商品販売(輸出)をご検討中の日本企業の皆様、是非弊社インドネシア総合研究所へお気軽にお問い合わせくださいませ。また、次のコラムでは、サプリメントのBPOM申請方法についてご紹介させて頂きます。是非合わせてご覧いただけますと幸いです。
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