【コラム】インドネシアでハラル認証は必要?
全国民の約87%がイスラム教徒のインドネシアですが、インドネシア市場に進出する際に商品のハラル認証は必須なのでしょうか?
今回のコラムでは、弊社によく寄せられるお問い合わせの中から、ハラル認証についてのインドネシア市場の状況をご紹介いたします。
インドネシアでハラル認証は必須か
インドネシア市場への参入に、ハラル認証は必須ではありません。
インドネシアでは2014年にハラル製品保証法(ハラル製品保証に関するインドネシア共和国法2014年33号)が、2021年にハラル製品保証の実施に関する政令2021年第39号が公布されました。これらの法律によって、インドネシアでは分野別に順次ハラルの義務化が進むこととなっています。
ハラル義務化の第一弾は飲食料品で、2024年10月17日が対応期日です。その後、2026年10月17日に第二弾として化粧品、伝統医薬、医薬部外品、サプリメント、化学品、衣料品、文房具などが、最後に第三弾として2029年10月17日に市販薬のハラルが義務化する予定です。
ハラルの義務化以降も、パッケージに非ハラルの表示をすることで非ハラル品の流通・販売を行うことが出来ます。
ハラル認証新制度、進展するも運用は不透明(インドネシア) | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ (jetro.go.jp)
ハラル認証を取った場合と取らなかった場合のマーケットの違い
ハラル認証を取った場合と、取らなかった場合で、ターゲット層はどのように変わるのでしょうか?
まず第一にあげられるのが、市場規模の縮小です。
インドネシアの87.1%がイスラム教徒、12.9%が非イスラム教徒です。
インドネシアの全人口が2億7千万人なので、その12.9%となるインドネシアの非イスラム教徒の人口は約3480万人です。これは、首都圏(東京、埼玉、神奈川、千葉)の人口(約3500万人)と同程度の規模です。
次に挙げられるのが、ターゲット地域の縮小です。
インドネシアの宗教分布は地域によってかなり偏りがあります。リゾート地として有名なバリ島ではヒンドゥー教が、比較的フィリピンに近いスラウェシ島、マルク諸島、パプアではキリスト教(カトリックまたはプロテスタント)が、北スマトラではプロテスタントが多数派となります。
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/image/inv_indonesia01_02.pdf
インドネシアの地理的な宗教分布は以下の通りです。
なお、非ムスリムである場合が多い中華系の華僑は、インドネシア全体の人口比率では約1~3%ですが、インドネシアの様々なエリアに集住している点に特徴があります。
また、2023年にインドネシア・ムスリム学者協会(ICMI)が開催したハラルイベントでインドネシアの元副大統領のジュフス・カッラ氏がコメントしているように、華系の華僑人口は、インドネシアの経済の50%を握っているとも言われており、富裕層に限るとその割合が増えます。
また、首都ジャカルタ内でも、都心部と北部に非ムスリム人口が集中していることが分かります。このように、イスラム教徒が多数派となる地域で事業を展開する場合であっても、非ムスリム人口が集まるエリアを選ぶことで、売上向上のチャンスが高まります。
今回のコラムでは、インドネシアにおけるハラル認証の必要性についてご紹介いたしました。
インドネシアでイスラム圏やムスリム人口を避けてビジネス展開をしようとすると、市場は著しく縮小します。成長を続けるインドネシア市場の利点を最大限に活かして事業を展開するには、ハラル認証は必須ではないものの、可能であれば取得しておいた方が良いでしょう。
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