【コラム】おさえておきたいハラル基本情報
インドネシアは、世界最大のムスリム人口を抱える国です。
非イスラム国家ですが、インドネシア国民の約80%を超える2億人以上の人々がイスラム教を信仰しています。
ハラルは市場としても大きく、インドネシアに進出する企業は無視できない項目です。弊社の過去のコラムでもハラル市場の動向について過去にご紹介いたしました。
今年の秋には、インドネシアに流通する食品、薬品などへのハラル認証取得を義務付けるハラル製品保証法が施行される予定です。
また、訪日インドネシア人の増加に伴った日本国内でのハラル対応など、ハラル市場は今まで以上に日本でも注目を集めている「ハラル」ですが、そもそも「ハラル」とは一体どのようなものでしょうか?
今回のコラムでは、ハラルの基本情報をご紹介します。
ハラルとハラム
「ハラル」とは、イスラム法で「合法的」と認められているものです。
一方ハラムとはその逆で、「非合法的」とみなされ、口にすることが禁じられています。代表的なものですと、豚とアルコールがよく知られているのではないでしょうか。
また、ハラルとハラムがはっきり分かれているわけではなく、ハラルなのかハラムなのか曖昧なもの
も存在するのです。
では、具体的にそれぞれどのようなものがあるのでしょうか?
ハラム
・酒、その他中毒性があるもの
人を酔わせてしまうため。またそれを連想されるノンアルコールビールなどもハラルに属します。
このほか、厳格な人は例えばアルコール消毒や、アルコールが含まれる醤油やみりんなどの調味料などもNGになります。
・豚と犬、血や死肉
豚肉はもちろん、ゼラチンやラード、ショートニングといった豚由来の成分もNGであることが多いです。
日本のお菓子にはゼラチンやショートニングが入っていることが多いので、インドネシアのムスリムの方にお土産を渡す際には、購入時に原材料を確認した方が良いでしょう。
これらのものに触れてしまった場合は、イスラム法に則ったやり方で7回触れた部分を清める必要があります。あくまで「口にすること」が禁じられているため、皮、角、骨、毛などを使用することは禁じられていません。
また、犬は番犬として飼われることもあります。
・屠殺の際に神以外の名が唱えられたりしたもの
啓展の民(ムスリム)が屠殺したものは神以外の名が唱えられていない場合であればかまいません。
ハラルかどうか曖昧な飲食物
解釈の違いによって、ハラルなのかハラムなのか認識が異なってくる食品です。
・水陸2つの世界に生きるもの
カエルやカニなど。カエルは一般的に飲食禁止になっていることが多いようですが、カニは種類によって異なります。
・タペ・シンコン(甘く発酵させたキャッサバ)、タペ・クタン(甘く発酵させたもち米)
発酵させているためアルコールが含まれますが、断食明けや結婚式などで出されるような伝統的な食べ物であるため、多くの部分がハラムでははないという認識のようです。
・少量の酒(菓子に含まれるラム酒など)
原則禁止とされているが、富裕層の間では良しとされる場合もあります。
ハラル
野菜、牛乳、卵、海藻などは基本的にハラル(合法的と認められるもの)です。このほか、ハラムの項目に該当しないものもハラルとみなされます。
上記はあくまで指標であり、どこまで順守をするかは人によって個人差があります。
特にインドネシアは、ムスリムの人口は多いもののイスラム国家ではないため、他のイスラム国家と比較すると比較的柔軟な人が多いような印象です。
例えば、酒、アルコール類はハラムに分類されますが、海外旅行中であれば免除される、という考え方もあります。
上述の通り、インドネシアの人々はそこまで厳格なイスラム教ではないと一般的に言われていますが、その度合いも人によって様々ですし、中には厳格なムスリムもいます。
「ムスリムの人はこうだ」と決めつけずに、相手によって柔軟に対応することが重要です。
弊社では、ハラルセミナーの実績があり、社内研修なども承っております。
ご興味がある方ははぜひお気軽にお問合せください。
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