【コラム】インドネシア人の運動の習慣

インドネシア政府は国のスポーツ産業の発展のため、インドネシアをスポーツ文化のある国にしていくことを課題としています。
インドネシア政府は、2020年から2024年までの国家中期開発計画(RPJMN)において、健康的な生活社会運動(Gerakan Masyarakat Hidup Sehat/Germas)を推進しています。Germasは、健康な社会を実現するためのインドネシア政府の課題の一つです。その取り組みの一つが、スポーツをインドネシアの人々の文化に根付かせることです。

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しかし、昨今インドネシアの人々の間では健康ブームが起こりつつもまだまだ運動不足と言われており、特に急速な経済発展とライフスタイルの変化からインドネシアの人々の健康問題は社会的な課題の一つとなっています。
本コラムでは、インドネシアの人々の運動の習慣についてご紹介します。

以下は、インドネシアにおいて運動をしている人の割合を示すグラフと、運動の頻度を示すグラフです。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Sosial Budaya2021(社会文化に関する統計2021)」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/30/6a2dabc16d556ab9d075f918/statistik-sosial-budaya-2021.html
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Sosial Budaya2021(社会文化に関する統計2021)」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/30/6a2dabc16d556ab9d075f918/statistik-sosial-budaya-2021.html

2012年から2018年にかけてインドネシアで運動をしている人の割合は増加傾向にありますが、2021年は新型コロナウイルス感染拡大による外出規制・運動施設の休業などの影響から運動している人の割合は減少してしまっています。

現在は、インドネシアではおよそ4人に1人が日ごろ運動をしているという結果となっていますが、インドネシア政府は2020-2024年の国家中期開発計画(RPJMN)において、運動をする10歳以上の人口の割合が2024年までに40.0%に到達することを目標としています。

また、以下はカテゴリー別で見たインドネシアで日ごろ運動をする人の割合です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Sosial Budaya2021(社会文化に関する統計2021)」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/30/6a2dabc16d556ab9d075f918/statistik-sosial-budaya-2021.html

特に、居住エリア別で見た場合に、農村部より都市部在住の人、所得層別で見た場合上位20%以上の富裕層にあたる人々がより運動の習慣があり、カテゴリーで見ると大きな違いがあることがわかります。

インドネシアでは近年、特に上位中間層以上で健康ブームが起こっており、運動をする人が増加しました。特に都市部のジャカルタでは近年多くのジムが設立されています。

また、ジャカルタ中心部のスディルマン通りでは、毎週日曜日の午前中はカーフリーデー(歩行者天国)となり、多くの人がサイクリングや、ランニング、ウォーキングを行っています。

新型コロナウイルスのパンデミック以降、カーフリーデーは約2年間中止されていましたが、今年5月に再開されました。カーフリーデーでは元々は屋台が多く出店されていましたが、再開後は屋台の出店は制限付きとなっており、カーフリーデーは主に運動をする人が利用する場として再開されました。

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では、インドネシアの人々は日ごろどのような運動を行っているのでしょうか?

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Sosial Budaya2021(社会文化に関する統計2021)」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/30/6a2dabc16d556ab9d075f918/statistik-sosial-budaya-2021.html

インドネシアで日ごろ運動を行っている人の間では、ランニング/ウォーキングが最も人気のある運動の種類となりました。ランニング/ウォーキングは、特に道具や機器も必要なく、どんな環境でもできるため、だれでも実施しやすい運動の一つです。また、ランニング/ウォーキングは、心臓病や血圧の維持にも効果があると証明されており、大きな需要があると考えられています。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Sosial Budaya2021(社会文化に関する統計2021)」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/30/6a2dabc16d556ab9d075f918/statistik-sosial-budaya-2021.html

運動の目的は人さまざまですが、多くの人が「健康のため」と回答しています。特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、実際の運動の実施にはまだ制限があるものの、多くの人が自身の健康、免疫を高めることの重要性に気づいています。

また、インドネシア政府は、プロフェッショナルとして運動をするアスリートが少ないことも課題として見ています。プロのアスリートになることへの関心の低さは、今日インドネシアが直面しているスポーツ産業の課題の一つでもあります。

アスリートは収入や福利厚生が保証されていないため高齢者になっても安定した収入が得られる職業を選ぶ人が多いことや、アスリートの日々の練習へのニーズを満たすためのプロフェッショナルな組織がまだまだインドネシア国内に少ないことなどが課題となっています。

インドネシアでは全体的にみるとまだまだ日ごろ運動をする習慣が人々の生活に根付いているとはいいがたいですが、特に上位中間層以上の間で健康意識やフィットネスへの需要が高まっています。ジャカルタは富裕層が多く、今後フィットネスへの需要は更に高まっていくと考えられます。

インドネシアにおいて健康・医療分野は非常に重要な課題の一つであり、弊社の過去のコラムでも定期的に健康・医療分野に関するトピックをご紹介しております。
また、弊社では健康・医療分野での調査、専門家インタビューの実績が多数ございますので、ご興味がある方はぜひ弊社までお気軽にお問合せください。

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-6804-6702

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