【コラム】インドネシアにおける障害者の雇用 

障害者の雇用は、障害のある方が社会で安定して生きていくうえで非常に重要です。日本でも積極的に障害者を雇用する企業が増えてきました。インドネシアの障害者雇用はまだ少ないと言われていますが、どのくらいの割合の人が雇用されているのでしょうか。

今回のコラムでは、インドネシアにおける障害者の雇用についてご紹介します。

目次

インドネシアにおける障害者雇用にまつわるデータ

2020 年8月の全国労働調査のデータによると、インドネシアの障害者の労働人口は768万人で労働人口全体の5.98%に相当します。

以下は障害者雇用にまつわるデータです。

男女の割合

上図より男性が57.73%、女性が42.27%で男性の割合が多いことがわかります。

都市部と地方部の割合

上図より、都市部が44.26%、地方部が55.74%と地方部の割合が多いことがわかります。

事業別の割合

事業別に見ると、障害のある労働者の大半は農林水産業(47.9%)で働いており、卸売業・小売業(16.02%)、加工業(9.68%)と続きます。

職種別の割合

職種別で見ると、農林水産業の*熟練労働者(38.68%)、サービス業の販売員(22.23%)、*非熟練労働者(17.33%)が大半を占めている

*熟練労働者…専門的な知識や技術を持ち合わせた職業従事者
*非熟練労働者…専門的な知識や技術を持ち合わせていない職業従事者

(グラフ参照)LPEM FEB UI Pekerja Penyandang Disabilitas di Indonesiaを基に弊社作成(2024年8月18日)
参考URL、参考WEBサイト: https://lpem.org/wp-content/uploads/2021/10/Labor_Market_Brief-September_2021_v4.pdf

障害のない人と平均賃金や保障の違い

障害のある人とない人では雇用面でどのような違いがあるのでしょうか。

障害者の失業率(3.99%)は、障害のない人の失業率(7.26%)よりも失業率が低いことがわかっています。

しかし、障害者の平均賃金は障害のない人と比較して低いことがわかっており、また、公的部門で働く割合も障害者の方が低いです。

また、新型コロナウイルスの影響で失業した割合も障害者の方が多いことがわかっています。

障害者の失業は障害のない人に比べ再就職が難しいと言われていますが、障害者の多くがインフォーマルセクターで働いており、行政や国からの支援を受け取ることができません。

このように、障害のない人と平等でないのが現状です。

参考WEBサイト:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://lpem.org/wp-content/uploads/2021/10/Labor_Market_Brief-September_2021_v4.pdf

障害者が働く上での課題

2021年のBPSのデータによると、障害のある労働者のうち約3分の1の206万人が自分で事業を持ちたいと考えています。

これは、障害のある人がみんなと同じように企業で働く難しさ表しています。

インドネシアだけに言えることではないですが、障害者が働くうえで以下のような課題があります。

  • 障害に対する悪い偏見
  • バリアフリー化が進んでいないオフィスが多い
  • 違いを認識することが難しい
  • 障害者への雇用の機会を提供する際の企業のコンプライスに対する監視が弱い
  • 障害にも様々なかたちがある

このような課題を解決するために、企業の努力も必要ですがインドネシア政府の取り組みも重要となってきます。

参考WEBサイト:https://buletin.k-pin.org/index.php/arsip-artikel/1172-disabilitas-di-indonesia-akses-ke-pekerjaan-masih-mengalami-diskriminasi

インドネシア政府による障害者雇用の支援

インドネシアの商業省と社会省は、「3in1プログラム」と呼ばれる職業トレーニングプログラムを2019年に実施しました。

トレーニングに参加した人は、専門分野についてプロフェッショナル認定を受けることができ、就職を有利に進めることができます。

また、上記とは別にインドネシア政府は人材開発支援策して「雇用前プログラム」という施策を打ち出しています。

これは障害者限定ではないですが、失業者を対象にオンライン学習を通してスキル習得を目指すものです。

この施策について、2023年時点で33万人の障害者の方が参加しています。

このような取り組みによって障害者への支援は広がっていますが、経済発展とともに格差が広がると考えると、更なる支援策が必要であると言えます。

参考WEBサイト:https://www.liputan6.com/disabilitas/read/5196431/330-ribu-penyandang-disabilitas-ikut-program-kartu-prakerja-34-persen-difabel-kini-punya-kerjaan?page=3
https://www.kemdikbud.go.id/main/blog/2019/01/268-penyandang-disabilitas-ikuti-diklat-3-in-1-industri-garmen-dan-alas-kaki

今回のコラムでは、インドネシアにおける障害者の雇用についてご紹介しました。

インドネシアにおける障害者の雇用については、まだ課題が多くあることがわかりました。経済発展を続けているインドネシアにおいて、労働の平等性は非常に重要な問題です。今後の政府の取り組みにより、インドネシアの障害者の雇用がどのように動いていくか注目していきたいところです。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野の進出のサポートを行なっております。インドネシアにおける事業にご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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