【コラム】多民族国家インドネシアの代表的な民族について

インドネシアは非常に多くの島を持つ国として知られています。西はアチェ州ウェ島サバン(Sabang)から東は南パプア州メラウケ(Merauke)まで、少なくとも17,000もの島があると言われています。インドネシアが多民族国家であるのも、この地理的な要因が関係しています。2010年のインドネシア中央統計局(BPS)国勢調査によると、インドネシアには300以上の民族があり、より細かく正確に区別すると、1,340の民族グループがあると言われています。今回のコラムでは、インドネシアの代表的な民族について詳しくご紹介いたします。

目次

ジャワ族:Suku Jawa

ジャワ族はインドネシア最大の民族で、全人口の41%を占めています。中部ジャワ、東ジャワ、ジョグジャカルタ特別州を起源としている民族です。ジャワの人々は話すときに「medok」と言われる独特な訛りがあることで知られているため、インドネシア人の間ではジャワ族ジャワ出身である人を見分けることは容易であるそうです。

スンダ語:Suku Sunda

スンダ族はジャワ族に次いでインドネシアで2番目に大きな民族として知られており、主に西ジャワ州を起源としています。スンダ族はアンクルン(angklung)という竹製の打楽器でもよく知られています。

ベタウィ族:Suku Betawi

ベタウィ族は、ジャカルタ首都特別州周辺に位置する民族の一つです。ベタウィ族は、お祭りなどで使用され、ジャカルタのアイコンでもある大きな人形のフィギュア、オンデルオンデル(ondel-ondel)で知られています。

マドゥラ族:Suku Madura

マドゥラ族はインドネシアの東ジャワ地域に住む代表的な民族として知られています。東ジャワ地域には、マドゥラ族以外にもオシン族(Suku Osing)やテングル(Suku Tengger)などがありますが、マドゥラ族自体は、その中でも比較的人口の多い民族です。

バンジャール族:Suku Banjar

バンジャール族は南カリマンタン州の民族の一つです。南カリマンタン州のほか、シンガポールやマレーシアなど、同じボルネオ島内の隣国にも多くのバンジャール族が暮らしており、その数は中央カリマンタン州や東カリマンタン州に暮らすバンジャール族の人口を超えています。

ダヤック族

ダヤック族はボルネオ島を起源とする民族の一つであり、西カリマンタンを中心にカリマンタン地域に広く分布しています。ダヤック族以外にも西カリマンタンには様々な民族がありますが、ダヤック族はボルネオ島の内陸部全体を起源とする民族として知られています。ダヤック族は強い呪術的遺産を持つ民族として知られており、精神科学(スピリチュアル・サイエンス)に基づいた風習が色濃く残っています。

ミナンカバウ族:Suku Minangkabau

ミナンカバウ族は西スマトラ州に住む民族です。ミナンカバウ族はしばしばミナン族(Suku Minang)とも呼ばれ、現代文明では世界的にも珍しい母系制社会を持つことが最大の特徴として知られています。

マレー族:Suku Melayu

マレー系民族は、バンカ・ブリトゥン州地域に由来する民族の一つです。マレー族の名前はスマトラ島バタンハリ川周辺に栄えたマラヤ王国に由来すると言われています。

バタック族:Suku Batak

バタック族は、北スマトラ地域を起源とする民族の一つです。バタック族は更に多数の民族に分類することができ、一般的にはバタック・カロ(Batak Karo)、バタック・トバ(Batak Toba)、バタック・シマルングン(Batak Simalungun)、バタック・パクパク(Batak Pakpak)、バタック・アンコラ(Batak Angkola)、バタック・マンダイリン(Batak Mandailing)などを総称してバタック族と呼んでいます。

マカッサル族:Suku Makassar

マカッサル族はスラウェシ島の南海岸に主に暮らすマレー系民族として知られています。マカッサル族はかつて独自のマカッサル文字(Mangkasara)を持っていましたが、19世紀末までにはマカッサル文字に似通ったブギス文字に完全に置き換えられたと言われています。波型の字形が特徴的なこの文字は、お土産屋さんなどで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

ブギス族:Suku Bugis

ブギス族は南スラウェシ州を起源とする民族の一つです。南スラウェシ州には、その他にも前述のマカッサル族、トラジャ族(Suku Toraja)、マンダール族(Suku Mandar)、サダン族(Suku Sa’dan)などがあります。ブギス族は、アジア本土からマレーシアやインドネシア等の島々へ移住してきた、インド、イスラム、中国などの文明の影響を受けた新マレー人(Deutero-Malay)の子孫と言われています。

バリ族:Suku Bali

バリ族はその名の通りバリ島に多く居住する民族です。バリ族の中でも、バリ・アガ族(Bali Aga)とバリ・マジャパヒト族(Bali Majapahit)の2つの民族に分かれています。

ササック族:Suku Sasak

ササック族は西ヌサ・トゥンガラ州の民族の一つです。ササックとはカヌーを意味します。
一方、コミュニティで広く流布している口承伝承では、ササックという言葉は、Sasakではなく、一般的に「1つ」を意味するsa’saqという言葉から来ているとも信じられており、名前の由来には多説あるようです。

ブル族:Suku Buru

ブル族は主にブル島に住んでいる民族です。「ブル族」という呼び名とは別に、彼らは自分たちのことを「ゲブフカ(gebfuka)」または「ゲベミリア(gebemiliar)」と呼ぶことも多く、これらのニックネームには、「世界の人々」や「土地の人々」という意味があると言われています。

アスマット族:Suku Asmat

アスマット族は森での狩猟に長けた民族として知られています。アスマット族の生活はまだ外の世界からはかけ離れています。アスマット族は海岸に住む人々と内陸に住む人々に分かれており、それぞれ生活様式も方言も社会構造も異なることが分かっています。

今回のコラムでは、インドネシアを代表する15の民族についてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。冒頭でも述べたように、インドネシアにはこの他にもたくさんの民族があり、異なる言語や生活様式を持ちながら共生しています。多民族国家ではない日本では馴染みが薄いかもしれませんが、現地でビジネスを展開する上で、地域や民族による文化風習の違いを理解しておくことはとても大切です。弊社インドネシア総合研究所では、現地視察・調査に必要な諸手続きやアテンドなども承っており、インドネシアに不慣れな方でも安心してお過ごしいただけるよう最善のサポートを行っております。ご関心をお持ちの方は是非お気軽にお問い合わせくださいませ。

参考
https://www.liputan6.com/citizen6/read/5194121/mengenal-berbagai-suku-di-indonesia-mulai-dari-suku-jawa-hingga-asmat?page=4

株式会社インドネシア総合研究所
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