【コラム】インドネシアの伝統文化「Arisan アリサン」

インドネシアの伝統的な文化の中で、Arisan(アリサン)という文化があることをご存知でしょうか。
今回のコラムでは、インドネシアのArisan(アリサン)についてご紹介します。

Arisan(アリサン )とは

Arisanはコミュニティ内の金融互助の一種で近所の主婦メンバー、会社メンバー、中学生時代の友達など様々なArisanの集まりが存在します。
人数は10名〜30名程で構成されていることが多く、Arisan を始めようと誰かが言い出し参加メンバーが合意すると、Arisanが結成されます。

Arisanが結成されると、Arisanのメンバーで定期的に集まり、そこで一定額のお金を集めます。
そして、集まりに出席したメンバーがそれぞれ自分の名前を紙に書き、それを袋の中に紙を入れてくじ引きが行われます。
そのくじ引きで当たった人が、その日に集まったお金を全額貰える仕組みになっています。
一回くじ引きに当たってお金を貰った人は次の回からくじ引きには参加せず、みんながお金を貰うまでそのArisanの集まりが続きます。
「始めよう」と言い出した人がそのArisanのリーダーとなり、メンバーに開催を呼びかけます。
また会計担当を決め、会計担当となった人がお金を集金します。

日本で言う、頼母子や無尽会、沖縄の模合と少し似ています。
金額の設定も様々でお金に困っている人たちで集まるだけではなく、村の会もあれば、インドネシアでは富裕層の奥様仲間同士でもパーティー形式で友人やグループで集まるきっかけとして日常的に行われています。

集まる頻度
集まる頻度は各Arisanによって異なりますが、月に1回の頻度で開催されることが多いです。

集まる場所
Arisanが開催される場所は、主婦や友達であればメンバーの家、会社の仲間であればレストランなどに集まります。
家で集まる場合は、前の会でお金をもらった人の家で開催されることが多いです。

集める金額
集める金額もArisanごとに異なりますが、生活レベルが異なるメンバーが集まると出し合う金額の決定が難しいため、生活レベルが同じメンバーで形成されることが多いです。
また、Arisanが開催される日に参加できない場合は、メンバーにお金を託します。
しかし、この会に参加しないメンバーはくじ引きが当たることはない仕組みになっているため、Arisanがある日はできるだけ予定を開けて参加できるようにします。

Arisanの種類

上述のお金を集金する以外に以下のような Arisanも存在します。

Arisan logam mulia(貴金属を集めるArisan)
上述で紹介した Arisanと違い、質屋と契約を結びます。
6人以上のメンバーで最大36ヶ月一定額のお金を積み立て、支払いが終わると事前に決めた量の貴金属を受け取れる仕組みになっています。
事前に受け取れる貴金属の量は、メンバーと質屋の間で事前に決定します。

Arisan barang(物を集めるArisan)
物を集めるArisanは、村のメンバーのお祝いや結婚パーティーの際に召集されることが多いです。
それぞれ何を持っていくかは予め決められており、主催者はお祝いやパーティーにかかる費用を抑えることができます。

また、その他にはメンバー全員がテレビや冷蔵庫を買うためのArisanも存在します。

Arisanの目的

Arisanの目的は主に2つあります。
一つ目は、親睦の場をつくることです。
普段、仕事や、家のことなどで忙しくて皆が集まれないことも多いですが、お金を持ち合うことにより出席率が上がり、集まりやすくなります。
集まった際に自分の身の回りのことや、仕事のこと、主婦であれば子育てのことなど、様々な話題でコミュニケーションを取る場となっています。
また、そのコミュニケーションを通して、お互いの困りごとについて助け合うこともできます。

二つ目は、お金を援助し合うことです。
お金に困っている人がいるタイミングでArisanが開かれた場合、自分が今回はお金を貰いたいと申告すれば、くじ引きをせずに貰うことができます。
また、みんなで集まった際にお金を出し合うため、Arisanが貯蓄と同じ役割を果たすことにもなります。
このように、インドネシアの人々は助け合いながら生きているのです。

Arisanのメリット・デメリット

インドネシアで広く親しまれているArisanには以下のようなメリットとデメリットがあります。

■メリット
・人的交流の場となる
・互いの助け合いの場となる
・貯畜の手段になる
・無利子でお金を借りることができる

■デメリット
・お金を預けても利息が貰えない
・忙しい時でも集まるための時間を確保する必要がある
・法的な裏付けがないため、騙される可能性もある

お互いの助け合いの場や、交流の場としてのArisanは非常に良いものの様ですが、単にお金を一定期間預けるという観点では銀行預金の様に利息が付くものではないため、経済的なメリットはないようにも思えます。
そのためArisanは信頼し合っているひとたちと行う必要があり、その信頼関係のある人たちと更に絆や繋がりを深めるための文化であるとも言えます。

参考WEBサイト:https://www.gramedia.com/best-seller/fungsi-mengikuti-arisan/

インドネシアには、古くからゴトン・ロヨン(相互扶助)の精神が根付いており、Arisanという文化もインドネシアの人々の相互扶助精神の現れではないでしょうか。

インドネシアでのビジネスにおいても、相互扶助精神を忘れず、お互いの文化を尊重し合い信頼し合うことで、ビジネスを良い方向に導くきっかけになるのではないでしょうか。

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