【コラム】今日のバリ島文化を創り上げた人物とは?

インドネシアのバリ島はとても人気のあるリゾート地で、世界中から多くの観光客が集まっています。

ジャカルタを訪れたことは無くても、バリには行ったことがあるという方も多いのではないでしょうか。

しかし、私たちが目にするバリ島の絵画や伝統芸能といった魅力的で素晴らしい文化が、実は「創られた文化」であるということはご存知でしたでしょうか。

今日のバリの音楽や絵画、舞踏には、大きく影響を与えた一人の人物がいるのです。

1930年代のバリでは、オランダの植民地時代として、観光政策が推進されていました。

バリ島が世界でも有数の観光地として成功を収めている裏には、ドイツ人芸術家、ウォルター・スピーシュの貢献があったのです。

ウォルター・シュピース(Walter Spies)

Tropenmuseum, part of the National Museum of World Culturesより
https://www.tropenmuseum.nl/nl

ウォルターはドイツ人の画家であり、彼は初めてバリ島を訪れた後、その魅力にとりつかれ、バリに居住をすることとなります。

バリにて絵画の制作活動を行い、絵画を始め、舞踊、音楽の分野など、バリ島の芸術や文化に多大は影響を及ぼしました。

ウォルターはバリに移住後、生涯をバリで過ごしたと言われていますが、バリ島文化の発展には一体どのような貢献があったのでしょうか?

 

目次

絵画技法の発展〜二次元を三次元に

バリ島の絵画は二次元のものでしたが、画家であったウォルターは、西洋絵画の遠近法を絵画に取り入れました。ウォルターの作品はバリの風景が幻想的なタッチで描かれる作風が特徴です。

このようにウォルターの技法を取り入れ奥行きのある遠近法を取りいれたバリ独自のスタイルは“シュピース・スタイル”と呼ばれます。

Tropenmuseum, part of the National Museum of World Culturesより
https://www.tropenmuseum.nl/nl

伝統舞踊の商業化

バリ島では、宗教が人々の生活に深く根付いており、神々に捧げるための伝統舞踊・奉納舞踊も数多く存在します。ウォルターは絵画以外にも、バリの伝統舞踊の観光用アレンジにも貢献しています。

 

ケチャックダンス

バリ島を代表する伝統芸能であるケチャックダンス。バリ島を訪れた際、ケチャックダンスを観たことがある方も多いのではないでしょうか。

ケチャックダンスは、元々インドネシアの儀礼舞踊として執り行われている「サンヒャン・ドゥダリ」を観光客用にアレンジしたものです。

ウォルターはインドネシア人舞踊家とともにこのサンヒャン・ドゥダリを再構築し、こちらも西洋人の観光客向けに“見せる劇”としてケチャックダンスを生み出したのでした。

 

バロンダンス

バリ島でも有名な伝統演劇の一つ、バロンダンスは、チャロナラン劇を観光客用向けに短くして公演されているものです。

一般的に善と悪を比較したとき、善は良いもので悪が悪いものをみなされることが多いですが、バリ島では善悪双方のバランスが重要であると考えられています。

チャロナラン劇やバロンダンスも悪を退治するものではなく善と悪を祀る意味合いが込められています。

奉納劇であるチャロナランは宗教的な要素が強いですが、1930年代に観光客向けにバロンダンスとして商業化がなされました。

 

いかがでしょうか。この他、ウォルターはバリガムランをヨーロッパに広める活動にも貢献しました。

ウォルターは今日のバリ文化の形成者とも言えるでしょう。

過去にバリの文化についてご紹介したコラムもございますので、ぜひ併せてご覧ください。

【コラム】ビーチだけじゃない!バリの奥深い魅力

 

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弊社では、インドネシアの文化を理解するためのセミナーの開催実績があり、バリ島の文化についても詳しくご紹介したことがございます。ご興味がある方はぜひお気軽にご連絡ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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