【アルビー日記】インドネシアにおける日本語教師の課題

こんにちは、アルビーです。 今回の記事では、インドネシアにおける日本語教師の課題についてご紹介したいと思います。

近年、インドネシア国内における日本語の先生のレベルを上げるための取り組みとしては、国際交流基金が行う「日本語パートナーズ」が挙げられます。日本からインドネシアを含むアジア各国へ人員を派遣し、現地の日本語の先生をサポートし日本語の教育レベルを底上げするという取り組みです。インドネシアは日本語パートナーズの派遣数の多い国でもあり、毎年多くの方がこのプログラムを通じてインドネシアへ渡航されています。

日本語教育においては、日本語のみを用いて授業を行う「直説法」と、学習者の母語を使って教える「間接法」があります。

弊社が設立したインドネシアでの日本語学校でも、日本人ネイティブの先生によって授業を行う「直説法」と、インドネシア人の先生によって授業を行う「間接法」の両方を採択しています。弊社の現地の学校で日本語を教えるというケースで見た場合の、直説法と間接法のそれぞれのメリット・デメリットの一例は以下の通りです。

目次

直説法(日本人の先生がインドネシア人学生に日本語を教える):

メリット

  • 学習者は、リスニングやスピーキングの力が身に付きやすい
  • 教育者にとっては母語となるため、教えやすい

デメリット

  • 初学習者にとっては難易度が高い
  • インドネシア現地で日本人の先生を採用する必要がある

間接法(インドネシア人の先生がインドネシア人学生に日本語を教える):

メリット

  • 初心者にとっても学習のハードルが低い
  • インドネシア語での説明なので、短時間で効率的に学べる/教えられる

デメリット:

  • レベルの高い先生でないと、生徒の日本語能力をある一定のレベルに上げるのは難しい

日本における日本語学校の先生はすべて有資格で、外国人の生徒に対して直説法、つまり日本語で日本語を教えるのが一般的です。

一方インドネシア国内では日本語を教えるための資格はなく、また一般的には日本語で日本語を教えることはあまりありません。

弊社は数年前より、日系企業様から「インドネシア人の優秀な人材を採用したい」というお問合せを多数頂き、インドネシア現地で教育を行う学校を設立しています。しかし、いざ学校を設立してみたところ、日本語教育の面で大きな課題を発見しました。

それは、インドネシア人の日本語の先生でも、言語学のことまでは把握できていないという点です。つまり、日本語ではこう、インドネシア語ではこう、とそれぞれの言語で言葉の意味を理解している人がとても少ないのです。

また教案づくりまでできない方が多く、生徒に対して何を教えるか?どう評価するか?が苦手な先生が多いということを発見しました。

これから日本は人口が減少していきますので、今後外国人労働者を招き入れなければなりません。そうすると、外国人労働者に対する日本語の教育は必須になります。これは、上記に挙げた課題を考慮すると懸念すべき点とも言えます。

インドネシア現地にある学校では日本人ネイティブの先生の採用は難しく、インドネシア人の先生しか在籍していない学校はレベルとしては二流、三流とも思われることが多いのが現状です。やはり、インドネシア人学生が今後日本で働くための日本語レベルと考えると、インドネシア現地の学校で日本語を教える際には日本人の先生を置くことは非常に重要となってきます。

インドネシアには約1000の民族・約800の言語があると言われており、それぞれの民族が異なる言語を話します。インドネシアの人々は、統一言語としてインドネシア語を学校で学びますが、実際には家庭で話される地方言語の方が便利であるというのが一般的です。

現地の学校では、学生は様々なところから集まってきますので、一般的にはインドネシア語で授業が行われますが、インドネシア人の先生の多くにとってインドネシア語は学校で学んだ言語ということもあり、言語の構造や文法までは理解していないので、自国の言葉で表現、説明できないという課題があるのです。つまりインドネシア人の日本語の先生が、説明している日本語がインドネシア語では何にあたるかがよくわからないケースが多々あるのです。

弊社の日本語学校では、間接法と直接法の両方で授業を行っていますが、間接法でのインドネシア人の先生のレベルを上げていくのは課題の一つと考えています。実際に、先生たちへの日本語レッスンの補講も行っているのですが、現場の先生で何度も補講をやっていても上達しない方も時々おり、その方々を分析したところ、上述のような課題が出てきました。今後もトレーニングを続け、改善する必要があると考えています。

上述の通り、今後インドネシア人材を日本に受け入れていくにあたり、インドネシア人材への日本語教育は欠かせません。

インドネシアにおける日本語学校設立や日本語教育にご興味がある方はぜひお気軽にお問合せください。

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