【コラム】インドネシアにおける森林破壊の問題

インドネシアは世界的にみても森林破壊が多い国と言われています。

森林破壊により地球温暖化が進むことで、伝染病の発症や、自然災害の発生など人々の生活に大きな影響を及ぼします。

今回のコラムでは、インドネシアにおける森林破壊の問題についてご紹介します。

目次

インドネシアの森林破壊の現状

インドネシアは森林が国土の65.5%を占めており、インドネシアの森林総面積は1億2,570万ヘクタールに及びます。

このような森林大国のインドネシアでは、その分森林破壊も進んでおり2013年から2022年の間に450万ヘクタールの森林破壊が行われました。

また、2024年にはブラジルに次ぎインドネシアが世界で2番目に森林破壊が多い国になると予想されています。

インドネシアの森林破壊は非常に深刻であることがわかります。

参考WEBサイト:https://www.liputan6.com/lifestyle/read/5510719/indonesia-jadi-negara-ke-2-di-dunia-dengan-tingkat-deforestasi-terparah-pada-2024
https://esgnow.republika.co.id/berita/s8qvcj463/deforestasi-indonesia-masalah-besar-capai-45-juta-hektare-lahan-hutan-selama-20132022

インドネシアで森林破壊が多い地域

以下は、2001年から2019年の間にインドネシアの中でも森林伐採が多かった地域と、森林破壊が行われた面積です。

出典:Good Stats 10 Provinsi dengan Penurunan Luas Lahan Tutupan Pohon Terbesar di Indonesia (2001-2019)を基に弊社作成(2024年7月22日)
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/01/20/deforestasi-paling-banyak-terjadi-di-sumatera-dan-kalimantan

上図より、森林破壊が一番多かったのは、リアウ州であることがわかります。

また、インドネシア国内でも島面積が一番多く森林も多いカリマンタン島の州が多く入っていることがわかります。

また、カリマンタン島の次に面積が大きいスマトラ島の州も多く入っており、インドネシアの森林破壊の多くはカリマンタン島とスマトラ島で起きていることがわかります。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/01/20/deforestasi-paling-banyak-terjadi-di-sumatera-dan-kalimantan

インドネシアの森林伐採の原因

インドネシアにおける森林伐採の原因は以下の通りです。

パーム油産業

2011年〜2016年の間の森林破壊のうち、23%がパーム油を製造するためのアブラヤシの木の伐採でした。

パーム油は化粧品や洗剤などの製品に含まれており、インドネシアはパーム油の生産量が世界一です。また、近年バイオマス燃料として注目されています。

インドネシアの人々の生活を支えているパーム油ですが、森林伐採の原因となっています。

森林の低木化

森林の低木化は、上述のパーム油産業による森林伐採が原因の一つです。

また、その他の原因として森林火災によっても発生します。

小規模農業、プランテーション産業

農業を行うために畑を作る際、森林が伐採されこれも森林破壊につながります。

鉱山採掘

森林地域には、鉱山が眠っていることも多く、鉱山採掘のために山を切り開くことで森林伐採が行われます。

鉱山による自然破壊はインドネシア全土の2%に相当しています。

都市の拡大

経済発展による弊害とも言える、宅地開発やゴルフ場開設などの開発も森林破壊の原因となります。

このように、インドネシアの森林破壊は経済の発展や人々が生活を送ることの弊害として起きていることがわかります。

今後経済発展とともに、森林破壊が進んでいくことが予想できます。

参考WEBサイト:https://kbr.id/berita/nasional/10_penyebab_deforestasi_di_indonesia__dari_sawit_hingga_lapangan_golf

森林伐採を減らすためのインドネシア政府の取り組み

インドネシア政府は、気候変動の軽減するために2030年までに森林破壊の速度を下げることを約束しており、これはNDC*に記録されています。

*NDC 温室効果ガスの排出削減目標

具体的には、2021年〜2030年の間で森林伐採が行われる面積を年間35万9,000ヘクタールに減少することを目標として掲げています。

また、森林伐採を減らすだけでなく森林の回復も目標に掲げており、2030年までに1,200万ヘクタールの森林の回復を目指しています。

そのためにインドネシアの環境林業省は、森林伐採の新規事業の参入の抑制、泥炭・森林被害をなくすための対策、持続可能な森林管理など様々な取り組みを行いました。

こういった取り組みの成果もあり、2021年から2022年にかけて、実際に森林の減少率は8.4%下がっています。

今後もインドネシア政府は、2023年までこういった取り組みを続けていき、森林破壊の抑制を進めていくでしょう。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2022/11/10/pemerintah-indonesia-janji-kurangi-deforestasi-56-sampai-2030
https://ppid.menlhk.go.id/berita/siaran-pers/7594/pengendalian-deforestasi-dan-karhutla-di-indonesia

今回のコラムでは、インドネシアにおける森林破壊の問題についてご紹介しました。

広大な森林を持つインドネシアの森林破壊の問題は、インドネシアだけでなく世界の森林破壊問題に直結すると言えるでしょう。

インドネシア政府が今後も力をいれると予想される森林破壊抑制のための取り組みは、インドネシアでのビジネスとしても非常に注目が集まるでしょう。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。また、ジャカルタ州環境省とのネットワークもございます。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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