【コラム】インドネシアのアブラヤシ栽培とパーム油・パーム核油から製造される製品

皆さんの身近にある食品や化粧品、洗剤などの製品がパーム油から作られていることはご存じでしょうか。また、近年ではバイオマス燃料としてもパーム油の需要は高まっており、私たちの暮らしには欠かせない産物です。熱帯地域で盛んに栽培されるアブラヤシですが、インドネシアでもその栽培は盛んでその生産量は世界一です。最近ではウクライナ情勢の悪化からひまわり油の値段が高騰し、それに連動してパーム油の需要が急増しました。その急激な需要増に対応しきれなくなったインドネシア政府は今年4月に約1か月の禁輸措置を行いました。今回のコラムでは、このように製造業に欠かせないパーム油の栽培や日本における輸入事情を踏まえながら、パーム油から製造される主な製品に関してご紹介したいと思います。

インドネシアにおけるアブラヤシの栽培状況

アブラヤシの栽培は古くはマレーシアが世界をリードし、2006年まではマレーシアが世界最大のアブラヤシ生産国でした。インドネシアでは1960年代以降政府主導でアブラヤシ生産業の拡大が行われ、2006年以降は世界首位の座を守っています。2022年最新のアブラヤシの栽培状況は、世界第1位がインドネシア(59%)、第2位がマレーシア(25%)、第3位がタイ(4%)とインドネシアが断トツのトップとなっています。

(出典:「Statistik Kelapa Sawit Indonesia 2020」より弊社作成)

インドネシア全体で2020年はアブラヤシの生産は47,120,247トンでした。地域別ではリアウ州の割合が高いですが、中部カリマンタン州を筆頭にカリマンタン島での栽培の割合が非常に高いことがわかります。

http://reposit.sun.ac.jp/dspace/bitstream/10561/1245/1/v50n2p27_nakamura.pdf
https://www.bps.go.id/publication/2021/11/30/5a3d0448122bc6753c953533/statistik-kelapa-sawit-indonesia-2020.html
https://ipad.fas.usda.gov/cropexplorer/cropview/commodityView.aspx?cropid=4243000

日本におけるパーム油・パーム核油の輸入事情

日本ではパーム油・パーム核油は菜種油の次に消費される植物油脂で、2020年の財務省貿易統計によると、日本のパーム油(※1)の輸入量は68万1942トン(うちインドネシアからは28万964トン)、パーム核油(※2)の輸入量は7万2855トン(うちインドネシアからは5万1404トン)となっており、アブラヤシからとれる油は合わせて約75万トン輸入していることになります。パーム油、パーム核油ともにインドネシアが日本にとっての一番の輸入相手国となっています。

※1パーム油とは、アブラヤシの果肉部分から得られる油脂のことです。
※2パーム核油とは、アブラヤシの内果皮の核である種から得られる油脂のことです。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500100&tstat=000001018079&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000001018080&result_back=1&cycle_facet=tclass1%3Acycle&tclass2val=0

パーム油・パーム核油から製造される主な製品

【食用油】
パーム油は加熱や酸化に強く、天ぷら油やフライ用の油など、揚げ物用の油にはよくパーム油が使用されています。時間が経ってもサクッとした食感が残りやすいという特徴があるため揚げ物に適しています。

https://www.nisshin-oillio.com/products/gyoumu/goods/list/feature_palm.html
https://www.kompas.com/skola/read/2022/05/19/180000769/manfaat-minyak-kelapa-sawit-tidak-hanyak-untuk-memasak?page=all

【加工食品】
スーパーやコンビニの加工食品の多くにはパーム油が含まれています。例えばインスタント麺やポテトチップスを揚げる際にパーム油が使用されています。また、アイスクリームやチョコレート、コーヒーフレッシュなどの加工食品にもパーム油が使用されています。

https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2484.html

【洗剤・シャンプー】
洗剤やシャンプーなど汚れを落とす目的の製品に欠かせない界面活性剤もパーム油が原料となっています。パーム油には脂肪酸が豊富に含まれ、こうした脂肪酸は油になじみやすく、油性の汚れを落としやすくする成分として界面活性剤にパーム油が使用されています。

https://www.kompas.com/skola/read/2022/05/19/180000769/manfaat-minyak-kelapa-sawit-tidak-hanyak-untuk-memasak?page=all
https://jsda.org/w/06_clage/4clean_191-4.html

【化粧品】
安価で、植物由来であることから人の肌に対して比較的安全な傾向があるため、パーム油は多くの化粧品にも含まれています。パーム油を多く含む化粧品は、化粧下地、ファンデーション、口紅、アイライナー、アイシャドウなどです。

https://www.kompas.com/skola/read/2022/05/19/180000769/manfaat-minyak-kelapa-sawit-tidak-hanyak-untuk-memasak?page=all

【バイオマス燃料】
現在世界的な脱炭素の流れによるバイオマス燃料の需要増加により、インドネシアでもパーム油の栽培が増加しています。政府はなかでも「B30」と呼ばれる、脂肪酸メチルエステル(FAME)を30%軽油に混ぜることで製造されるバイオディーゼルに特に力を入れています。また、パーム油成分を100%配合している燃料「D100」も現在開発中です。

https://money.kompas.com/read/2020/09/10/115938126/program-b30-dan-nasib-petani-sawit?page=all
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2691S0W1A120C2000000/

今回のコラムでは、インドネシアのアブラヤシ栽培事情、そしてパーム油・パーム核油から製造される様々な製品をご紹介いたしました。アブラヤシから得られる油はそれらが持つ多くの利点から私たちの生活必需品に多く含まれており、私たちは朝から晩までパーム油製品に触れながら生活しています。

これらパーム油・パーム核油を世界最大の産出国であるインドネシアからの調達にご興味をお持ちの事業者の皆様、一度弊社インドネシア総合研究所までお問合せ下さいませ。弊社ではその他にもインドネシアの豊富な天然資源や特徴ある特産品の調達のお手伝いさせて頂きます。
皆様からのお問合せをお待ちしています。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次