【コラム】インドネシア・ジャカルタの『カーフリーデー』最新事情

皆様は毎年9月22日が『世界カーフリーデー』であることをご存知でしょうか。国土交通省によると、カーフリーデーとはヨーロッパを中心に行われている社会イベントで、この日、人々はマイカーを使う代わりに公共交通機関・徒歩・自転車などによって移動します。同時に都市の交通・環境問題に関するシンポジウムや展示会なども行われ、市民が交通や環境について考える一日となっています。世界的に見ても交通量の多いインドネシアでは、カーフリーデーの概念が上手く取り入れられており、毎週日曜日の午前中、ジャカルタの一部が歩行者天国となります。今回のコラムでは、そんなインドネシア・ジャカルタのカーフリーデーイベントについて、最新情報を交えながらご紹介いたします。

参考
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/carfreeday/carfreedayindex.html

目次

カーフリーデーの歴史

カーフリーデーは、自動車が環境へ及ぼす悪影響に対する危機意識が徐々に世界各地で高まる中、1997年9月9日フランス西部のラ・ロシェルと言う地域で都市政策の一環として始まりました。翌年1998年にフランス環境省が9月22日をカーフリーデーとして定めて以来、類似した啓発活動はヨーロッパを筆頭に世界中へ広まり、現在は多数の国や地域が同時期に同目的で開催する、世界レベルのイベントとなっています。2022年は世界51か国2,989都市が参加しています。
インドネシアでは、ジャカルタにて2007年よりカーフリーデーが始まりました。インドネシアのカーフリーデー導入はASEAN諸国の中でも比較的早く、マレーシアやブルネイなどの近隣諸国のモデルとなりました。現在、インドネシアのカーフリーデーは毎週日曜日の午前6時から午前11時までの5時間に渡り開催されています。天候や政府の都合により稀に中止となることもあり、直近ではジャカルタで開催された第43回ASEAN首脳会議の一連の活動に関連して、9月3日日曜日のカーフリーデーが中止となりました。

参考
https://cfdjapan.org/participation/

インドネシアのカーフリーデー規制

先にも述べたようにインドネシアの交通量は非常に多く、交通渋滞はインドネシア政府の悩みの種でもあります。首都ジャカルタでは、渋滞にはまり進まない車の傍を電動バイクがすり抜けていく光景が日常的に見られます。2023年上半期の交通量指数世界ランキングでも、インドネシアは第10位に入り、東南アジアでは1位となっています。そんな交通量の多い都市ジャカルタでカーフリーデーをどのように実施するのか、とても興味深いところです。実は、カーフリーデーと言ってもジャカルタのすべての地域が歩行者天国になるわけではありません。政府は実施区域を以下の2つのゾーンに定め、それぞれ飲み物や雑貨などを販売する露店商の活動に制限を設けています。

レッドゾーン:M.H. Thamrin像からスディルマン像まで(全ての販売活動が禁止)
グリーンゾーン:Jalan Sunda, Jalan Kebon Kacang, Jalan Pamekasan, Jalan Sumenep, Jalan Purworejo, Jalan Blora, Jalan Teluk Betung, Jalan Galunggung, Jalan Karet Pasar Baru Timur III, Jalan Keboh Sirih(販売活動可)

独立記念塔(Monas)南側に位置するM.H. Thamrin像からスディルマン像まで、縦に延びる大通りのおよそ5.3kmに渡る区間が、カーフリーデーの中心となる『レッドゾーン』とされ、全ての販売活動が禁止された完全歩行者天国となります。レッドゾーンに横に交わる10の通りは、『グリーンゾーン』とされ、あらゆる販売活動が許可されています。以前は『イエローゾーン』も設けられており、現レッドゾーンの一部において歩道上での販売活動が可能でしたが、レッドゾーンにおけるスポーツやその他娯楽活動促進のため、2023年2月に廃止されました。最新のゾーン分けは、同月10日、ジャカルタ首都特別州政府公式インスタグラム(@dinasppkukm)の投稿にて公開されました。

参考
https://www.numbeo.com/traffic/rankings_by_country.jsp
https://megapolitan.okezone.com/read/2023/02/10/338/2762831/ingat-pemprov-dki-larang-pedagang-berjualan-di-zona-merah-cfd-mulai-12-februari#google_vignette

カーフリーデーのゾーン分け最新版https://www.instagram.com/p/CoeRpj4JvGF/?hl=ja

インドネシアにおけるカーフリーデーの意義

当初、カーフリーデーは環境への配慮から始められたものでしたが、現在ではそれ以上のものへ進化し続けています。その一つが健康意識の向上です。インドネシアのカーフリーデーは上述の通りジャカルタの一部の区間のみで行われるため、人々はジャカルタ全土や周辺の都市から、汗を流すためにジャカルタ中心部を訪れます。またマラソン大会とは異なり、カーフリーデーは参加者がプレッシャーを感じることなく、それぞれが快適なペースで歩くことができるのも人気を集める理由の一つです。また、無料で開催される屋外エクササイズクラスなどのアクティビティもあり、カーフリーデーは年齢や性別の垣根を超えた交流の場ともなっています。更に、カーフリーデーがもたらす経済的効果は大きく、何千人もの地元の人々がカーフリーデーを収入源の一つとしています。グリーンゾーンでは何百もの露天商が道路沿いに出店しており、それらは軽食や飲み物だけでなく、衣料品、美術品、工芸品、電化製品まで多岐に渡ります。インドネシア政府はカーフリーデーを雇用機会の拡大や中小企業の成長に繋げるべく、これらの販売活動を積極的に後押ししています。

参考
https://jakartatravelguide.com/visiting-car-free-day-in-jakarta-2/

カーフリーデーでの禁止事項

インドネシアのカーフリーデーでは、以下の事項が禁止されています。カーフリーデーはインドネシアのローカルフードや音楽など、観光客にとって地元の人々の生活を実際に肌で感じることができる貴重なイベントですが、初めて訪れる際はこれらの禁止事項を事前に把握しておきましょう。

  1. レッドゾーンでの販売
  2. 喫煙(VAPE/電子タバコも含む)
  3. ゴミのポイ捨て
  4. 犯罪行為および不道徳な行為
  5. ペットの持ち込み
  6. 政治的または人種差別的な活動
  7. カーフリーデー来場者の移動を妨げる恐れのある行為
  8. 大気汚染の原因となる行為や道具の使用
  9. カーフリーデーエリアへの車両の乗り入れおよび駐車
  10. カーフリーデーエリア内での自動車運転
  11. 商品およびサービスの販売や購入(大道芸、物乞い、寄付を求める行為)
  12. 無許可の音楽演奏、トークショー、手品等の行為
  13. 無許可のスポンサーシップ、チラシ、リーフレット、パンフレット等の宣伝媒体を使用する行為
  14. 自動車産業、たばこ産業を支援する活動
  15. 自転車に搭載されたスピーカーで大音量の音楽を聴く行為

参考
https://www.suara.com/otomotif/2022/10/12/063013/selenggarakan-hari-bebas-kendaraan-bermotor-dinas-perhubungan-dki-jakarta-terbitkan-15-larangan

まとめ

今回のコラムでは、インドネシアのジャカルタで開催される『カーフリーデー』について、その概要及び最新情報をご紹介させていただきました。ジャカルタのカーフリーデーは開催日が日曜日のため、旅行以外でインドネシアへ行かれる方も、比較的足を運びやすいのではないでしょうか。カーフリーデーの開催有無や特別なイベントなどについては、カーフリーデーの公式インスタグラム(@infocarfreeday_)にて詳細情報が随時更新されておりますので、現地を訪れる際には是非ご覧ください。インドネシアは、日本へ入ってくる情報があまり多くないため、現地に行ってみて初めて知り得ることが非常に多くあります。


弊社インドネシア総合研究所では、現地視察のご手配やアテンドなど、ワンストップで全てサポートさせていただきます。ジャカルタに現地法人もございますため、初めての渡航でも安心してお任せいただけます。インドネシアへの事業展開にご関心をお持ちでしたら、是非お気軽にご相談くださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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