【コラム】東南アジア・インドネシアのデジタル経済

インターネットが誕生して以来、世界のネット利用人口は急増し、Eコマースやデジタルマネーなどのサービスの普及に伴い、デジタル経済が拡大するようになりました。デジタル経済とは、IT(情報技術)をもとにした財やサービスによって生み出された経済現象のことです。

経済協力開発機構(OECD)は、デジタル経済を「デジタル化やデータ利用によって向上する全ての経済活動」と定義しています。今回のコラムでは、最新の調査に基づき、インドネシアのデジタル経済の動向及び今後の展望についてご紹介いたします。

Google、Bain & Company、そしてシンガポール政府傘下の投資会社Temasekが今年10月下旬に発表した報告によると、東南アジアのデジタル経済は予想を上回る勢いで成長し、今年行われたデジタル取引総額は約2,000億米ドルに達し、2025年までに年間3,300億米ドルを超えると予測されています。この値は、東南アジアにおける大規模なデジタル化に比例していることが分かります。

調査では、過去3年間に東南アジアで更に1億人インターネットユーザーが増加したことが報告されています。調査対象となった東南アジアの国々は、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの主要6カ国です。ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、東ティモール、パプアニューギニアは対象外です。これら対象外の6カ国を除いてもここまでのデジタル経済成長が予測されることから、東南アジアのデジタル経済の規模がいかに大きいものであるかが伺えます。

東南アジア諸国のデジタル経済価値(2020-2030年)(単位: 億USD)

また同調査では、インドネシアのデジタル経済は、2030年までに東南アジアで最大規模になる見込であることも報告されました。インドネシアで今年行われたデジタル取引総額は、770億米ドルに達し、全体の約39%を占めることが予測されています。そしてこの金額は、年平均成長率19%で上昇し続け、2030年には2,200億〜2,360億米ドルに達すると予測されています。続くベトナムのデジタル経済は年平均成長率31%で、2030年には1,200億〜2,000億米ドルに達すると推定されています。続いて、タイやフィリピンのデジタル経済も、2030年までに1500億米ドル前後に達することが予測されています。

Eコマースは、東南アジアのデジタル経済に最も貢献しており、その規模は2022年時点で1310億米ドルと推定されています。東南アジアの都市部では、デジタルユーザーの間でEコマースの本格的な普及が進んでいます。一方、ネットスーパー、オン・デマンド動画、オン・デマンド音楽の導入については、パンデミック以前の様な、人々のオフラインでの活動割合が回復しつつあるため、ごく僅かなものに留まっています。

同調査結果から、Google、Bain & Company、Temasekは、社会面において同地域のデジタル経済がこれまでに16万人の高度人材を創出し、約3000万人の間接雇用、2000万以上の商店と600万軒のレストランのビジネスを支える役割を担っていると評価しています。それを踏まえ、東南アジアのデジタル経済は、低所得層の消費者や郊外のコミュニティなしには最適な成長を遂げることはできないとの見方を述べ、包括的なデジタル化を促進することが更なる成長の鍵となると位置づけています。

デジタル経済成長の持続可能性の明暗は、環境と社会に関する優れたガバナンスにかかっていることも忘れてはいけません。調査では、2030年までに、東南アジアのデジタル経済に起因するCO2排出量は2,000万トンに上るとも言われています。運輸部門等、一般的にCO2を多く排出する他の産業部門に比べるとこの数値は低いですが、一部のデジタルビジネスでは、既にCO2排出削減やリサイクルの取り組みを開始しているほか、環境保護により大きな効果をもたらすための企業努力が求められています。

今回のコラムでは、インドネシアのデジタル経済の動向と今後の予測について紹介させていただきました。デジタル経済の中でも注目が集まるEコマースについては、8月に掲載させていただきました「【コラム】インドネシアのEC市場(2020-2021)」や10月に掲載させていただきました「【コラム】GENY・GENX世代の利用が増加するインドネシアのEC」でも詳しくご紹介しておりますので、是非ご覧くださいませ。

弊社インドネシア総合研究所では、日本企業様のインドネシア展開に際し、Eコマースに対応した販売の他、SNS等を利用した現地でのプロモーション、ネットを利用した現地でのアンケート、マーケット調査等で皆様のインドネシアビジネスをご支援させていただいております。インドネシアの最新トレンドや消費者層別の傾向を踏まえ、日本製品の最適なマーケティングもご提案させていただきます。ご関心をお持ちの方は是非弊社インドネシア総合研究所へお問合せくださいませ。

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