【コラム】インドネシアのEC市場(2020-2021)

Electronic Commerce、ECはインターネット上で商品やサービスの売買を行う電子商取引、即ちネットショッピングのことです。日本語では「eコマース」とも呼ばれています。場所や時間の制約が無く、実店舗の維持管理が不要で、顧客データを活用したマーケティングなどが可能なことなど、ECビジネスには実店舗での販売にはないメリットがあります。

そしてその利便性の高さからEC市場は年々拡大を続けています。このEC市場はインドネシアでも存在感を発揮しており、主要な商取引方法のひとつとして、様々なサイトが続々と登場し、人々に商取引の場を提供しています。データ会社Katadata Insight Centre による2020-2021のデータから、インドネシアのECにはどのような特徴があるのか、以下で見ていきましょう。

この調査は、Katadata Insight Centreがインドネシアにおける電子商取引統合型決済サービスプロバイダーの一つであるKredivo社と共同し実施されたものです。同調査では、2021年1月から12月までにインドネシアの5大ECサイトにて行われた1,600万件以上の電子商取引をサンプルとした分析の他、2022年3月に3,500人を対象としたオンライン調査が用いられました。この5大ECサイトは「blibli.com」、「bukalapak」、「JD.ID」、「Lazada」、「tokopedia」です。

性別ごとの買い物傾向とその変化

インドネシアのECでは、男性は女性に比べて、オンラインショッピングで行う取引の数や金額がより多いことが報告されています。男女比は凡そ6:4です。また、この性別は製品カテゴリーの嗜好に強い影響を与えており、男女別の購入商品の傾向でみると、男性はスポーツや玩具、趣味、オフィスや勉強道具に、女性はコンピューター、ガジェット、電化製品のカテゴリーで多くの金額を使っている傾向にあることが明らかになりました。また男女共に2020年から2021年にかけてコンピューター、ガジェット、電化製品のカテゴリーにおける平均取引額は特に大きく増加したことが報告されています。

インドネシアのEC年齢層別取引割合
(https://katadata.co.id/perilaku-ecommerce-2022)

年齢層別取引割合の変化

インドネシアのEC市場においては、26歳以上35歳以下の年齢層の取引割合が48%と凡そ半分を占めています。この年齢層別割合については2020年から2021年にかけての変化は見られませんでした。一方で同時期に数字を大きく伸ばしたのは36歳以上45歳以下の年齢層で、取引割合は19%から23%への上昇が見られています。EC市場の拡大に反し取引割合が減少したのは18歳以上25歳以下の年齢層で、29%(2020)から23%(2021)へと6%も減少しました。

決済手段

インドネシアのEC取引では、決済手段として電子マネーが最も多く利用されています。インドネシアにおける主要な電子マネー会社には「GoPay」、「OVO」、「DANA」、「LinkAja」、「Jenius」などがあります。EC決済全体に占める電子マネーの利用割合は2020年には65%でしたが、2021年には79%へと上昇しました。次に多いのは銀行振込で、その割合は約50%です。そして意外にもカード決済の利用率は低く、デビットカード利用は2021年で14%、クレジットカードは2021年で僅か6%となりました。一方で、消費者の間ではBNPL(後払い決済)の人気も高まっています。BNPLは、「Buy Now, Pay Later(今買って後で払う)」決済方法のことです。BNPLは分割払いでも金利がかからない点や与信審査がない点から、EC市場を主戦場とし欧米で近年急速に拡大しています。インドネシアにおいても2020年から2021年にかけてBNPLによる決済割合は28%から38%に上昇しました。日本のECではまだクレジットカード決済が主流ですから、この決済手段の分析では日本とインドネシアの違いが顕著に表れたと言えます。

取引が盛んな季節

インドネシアにおけるECの月別の平均取引額を見ると、特に年末にかけて取引額が上昇していることが分かります。これは、年末が近づくと、オンラインショッピングフェスティバルとも呼ばれる全国的なECのプロモーションの実施によって、取引件数が増加するためです。日付別では、1年の内最も取引量が多かったのは12月12日(12.12)と11月11日(11.11)で、1日当たりの平均取引量と比較して最大で2倍もの取引を記録しました。インドネシアは日本と比較しても企業によるSNSやセールスプロモーションの運用が活発ですが、このオンラインフェスティバルでの売り上げの増加も、同様にSNSやECサイト・電子メール等を通じた大々的なマーケティング活動が功を奏したものとみられます。

以上、2020年から2021年におけるインドネシアEC市場の動向を見てきましたが、如何でしたでしょうか。弊社インドネシア総合研究所では、インドネシアのECサイトを通じたテストマーケティングから開始する日本製品のインドネシア市場への参入のサポート実績もございます。
このテストマーケティングに際して、日本企業様のインドネシアにおけるweb、SNSインフラの構築、インフルエンサーを活用しインドネシアで皆様の商品の露出度を上げる等、インドネシアのEC市場を通じた販路拡大を図る弊社独自のノウハウのご提供をさせて頂いております。
また、インドネシアで製品を販売するために必要なBPOM(国家食品医薬品監督庁)の許可取得も承っております。
インドネシアで自社製品の販路拡大をお考えの皆様、是非お気軽に弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせください。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6720

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