【コラム】インドネシアで松原みき「真夜中のドア – Stay With Me」が再ヒット

現在インドネシアなど海外の若者の間で、日本発祥のシティポップがSNSでの拡散やYouTubeを通じて人気を集めているのはご存じでしょうか。

グラミー賞受賞アーティストのThe Weekndが2022年に発表した「Out of Time」では、亜蘭知子の「Midnight Pretenders」のイントロが使用され、インドネシアでは松原みきの「真夜中のドア – Stay With Me」がカバーされるなど、海外でのシティポップ人気は驚くべきものです。

シティポップは1970~80年代に日本市場向けに売り出された古い楽曲ですが、リアルタイムのリスナーではない海外の若者からなぜ支持されているのでしょうか。

今回のコラムではインドネシアで松原みき「真夜中のドア – Stay With Me」が再ヒットした現象にスポットを当てて、日本のシティポップ人気についてご紹介いたします。

参考:https://www.nhk.jp/p/ts/1M3MYJGG6G/blog/bl/pp2BabPyzp/bp/pd7VEBYK0z/

目次

インドネシアなど海外の若者の間でシティポップが人気再燃

シティポップとは、1970~80年代に日本で生まれた音楽のジャンルのひとつです。ソウル、ファンク、AOR(Adult Oriented Rock)、R&B、ディスコなどの洋楽音楽の要素と日本の歌謡曲文化が結びつき独自の進化を遂げました。2010年代以降に海外でも再評価され、日本の若者の間でもサブカルチャーを担う音楽として再注目されています。

日本市場向けで日本人をターゲットに売り出された音楽が海外で人気を獲得した背景には、2000年代以降にインターネット上で流行した「ヴァイパーウェイヴ(Vaporwave)」という音楽ジャンルが大きく関係しています。

1980年代以降の大量消費社会への皮肉とノスタルジーが根底にあるメッセージ性のある音楽で、日本の古いポップスやアニメの楽曲が編曲のうえ「サンプリング」されて使用されました。

この「ヴァイパーウェイヴ(Vaporwave)」は昨今のシティポップ人気再燃とは切り離せないものなのです。そして、2017年にYouTubeに突如非公式にアップロードされた竹内まりやの「PLASTIC LOVE」の再生回数の急上昇とともに世界的なシティポップの再ヒットが始まったのです。

参考:https://nationalgeographic.grid.id/read/132507600/mengapa-orang-menggali-city-pop-jepang-dan-tergila-gila-olehnya?page=2
https://diamond.jp/articles/-/307796?page=2

インドネシアでTikTokをきっかけに「真夜中のドア – Stay With Me」がヒット

インドネシアでは、2020年12月にある女性がTikTok上で日本にルーツを持つ自身の母親が松原みき「真夜中のドア – Stay With Me」を口ずさむ動画(動画リンク:https://www.tiktok.com/@arisa.teo/video/6904762968899177733?lang=ja-JPをアップロードし、700万「いいね!」がつきました。

その動画をきっかけに、日本のシティポップに関心を持った人たちによって急速に「真夜中のドア – Stay With Me」の再生回数が伸びました。シティポップに詳しいインドネシア人、ヒューゴ・マッシー氏によると、シティポップはナイトディスコの華やかさに対する郷愁をもたらす不思議な音楽のジャンルだといいます。

インドネシア音楽や洋楽からは得られない「懐かしい」感覚を呼び起こすメロディーで、若い世代の感性にも響く音楽なのだそうです。

参考:https://nationalgeographic.grid.id/read/132507600/mengapa-orang-menggali-city-pop-jepang-dan-tergila-gila-olehnya?page=2

インドネシア人YouTuberのRainychが「真夜中のドア – Stay With Me」をカバー

TikTokユーザーによって「真夜中のドア – Stay With Me」という楽曲の認知度が高まりましたが、インドネシア人YouTuberのRainychのカバーによってさらに人気再燃が加速しました。

Rainychが「真夜中のドア – Stay With Me」発表すると、そのキュートな歌声と、懐かしさを呼び起こすようなグラフィックや映像効果を用いたビデオが人々の心をつかみ、890万回以上の再生回数(2024年2月現在)を記録しました。

この動画はインドネシアから始まり、タイ、マレーシアなど東南アジアから英語圏まで広く知れわたり、オリジナル楽曲も世界的にヒットすることになったのです。

動画:https://youtu.be/DHm9diEKlC0?si=u9YSvhPivieBzvOf

【Rainychのプロフィール】

インドネシアのスマトラ島にあるリアウ州に在住の女性歌手。

日本語の発音の美しさに心惹かれ、日本語を話すことはできないもののJ-POP楽曲のカバーを中心に動画をアップロードし始め、2016年から活動を開始しました。

80年代のシティポップから最新のアニメテーマ曲まで幅広い年代・ジャンルで選曲し、視聴者の心をつかみ、現在チャンネル登録者数238万人と、インドネシアの大注目YouTuberのひとりです。7インチのアナログCDもリリースしており、松原みきの「真夜中のドア~Stay With Me~」と菊池桃子の「BLIND CURVE」の2曲が収録されています。

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@Rainych

参考:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b2669559fbc1966e5520d00e0fbade74e722b239
https://www.sonymusic.co.jp/artist/rainych/profile/

インドネシアで人気のシティポップ3選

インドネシアで人気の日本のシティポップを3曲ご紹介いたします。

【竹内まりや・Plastic Love】

動画:https://youtu.be/T_lC2O1oIew?si=qM248juFPSuBeuos

1984年発売アルバム「VARIETY」に収録されている楽曲で、発売から36年後の2021年に日本で再発売されました。数々のアーティストにカバーされ、シティポップの名曲として今も愛されています。

参考:https://wmg.jp/mariya/discography/25074/

【山下達郎・Sparcle】

動画:https://www.youtube.com/watch?v=pqobRu9aR3M

1982年発売のアルバム「FOR YOU」に収録されている楽曲。40年の時を経ても世界中で愛され、2023年には「TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection」として再リリースされました。

参考:https://www.thefirsttimes.jp/news/0000273260/

【亜蘭知子・Midnight Pretenders】

動画:https://www.youtube.com/watch?v=7pPb5fmumNo

1983年に発売の「浮遊空間」に収録されている楽曲です。グラミー賞アーティストのThe Weekndがイントロ部分でサンプリングしたことで再ヒットしました。2022年にはこのアルバム「浮遊空間」から「Midnight Pretenders」と「I’m In Love」の2曲が7インチCDで再発売されました。

参考:https://www.hmv.co.jp/news/article/220406115/

今回のコラムでは、日本発祥のシティポップがインドネシアのTikTokやYouTuberの影響で急速に拡散され、人気再燃となった事例をご紹介いたしました。SNSは、その拡散力から社会での認知度を急速に高めるのに有効な手段です。

インドネシアは若年人口も多く、TikTokやInstagramなどのユーザーが多いことから、SNSでの拡散が非常に急速な国のひとつです。弊社もSNSを活用した事業・商材の認知度拡大や広告などを手掛けており、インフルエンサーの手配などもお手伝いできます。

インドネシア市場へ自社商品の販路拡大をご検討されている企業の皆様、またはその事前段階でのご相談につきましても、是非弊社インドネシア総合研究所へお気軽にお問い合わせくださいませ。

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