【コラム】インドネシアの少数先住民族

インドネシアには、約1300の民族が存在していると言われています。
ジャワ人やスンダ人はインドネシアで人口が多い民族であり、近代社会に文化を融合させながら生活をしていますが、古くからの伝統をそのまま受け継ぎ自然と共存して暮らす少数先住民族も存在しています。
今回のコラムでは、インドネシアの少数先住民族の種類とインドネシアにおける少数先住民族との共存の課題についてご紹介します。
インドネシアの民族構成
インドネシアの民族の中で、ジャワ人が一番多くインドネシアの人口全体の約40%を占めています。その次に多いのは、スンダ人で人口の約15.5%を占めています。
その他に、バタック族、ブギス族などの民族が人口の約2〜3%の割合を占めています。
そして、1%に満たない割合で、少数先住民族が存在しています。
彼らの特徴として、自然とともに暮らし先祖代々から受け継がれている伝統を厳格に守っている点が挙げられます。
参考WEBサイト:
https://www.detik.com/jabar/budaya/d-6515043/mengenal-21-suku-di-indonesia-dan-asal-daerahnnya
https://indonesiabaik.id/infografis/sebaran-jumlah-suku-di-indonesia
インドネシアの少数先住民族の種類と特徴
以下は、インドネシアの奥地に住む少数先住民族の種類と特徴です。
ポラヒ族 ゴロンタロ州
インドネシアのスラウェシ北部ゴロンタロ 州に住む先住民族で、民族の人口は300人程度です。
インドネシアの少数先住民族の中でも、特に外の世界から孤立して生活している部族のひとつとして知られており、彼らは読み書きの仕方を知りません。
森林の奥地に住み、自然と共に生活を送っています。
また、家族が亡くなるとその場所を離れ、拠点を変えて生活します。
カジャン族 南スラウェシ州
南スラウェシ州の州都から約200km離れたブルクンバ地区に住んでいます。
全身黒色の服を身に纏い、履物を履かないのが特徴です。
レンガと土で家を建てることはタブーとされており、高床式の木の家に住んでいます。
その他にもタブーがいくつかあり、乱暴な言葉を使うことや、腰に手を当てて話すこともタブーとされています。
ラウット族 リアウ諸島
ラウット(Laut)とは、インドネシア語で海という意味で、インドネシア語で「海の部族」と呼ばれている民族です。
リアウ諸島の海や川で生活しており、船やカヌーを住居として使用しています。
島から島へ移動しながら漁をして生計を立てています。
トグティル族 北マルク州
北マルク州にある、トトドク、トゥクルトゥクル、ロバタ、コベクロ、ブリのジャングルに住む民族です。壁がなく、屋根には乾いたヤシの葉で覆った住居に住んでいます。
先祖を敬い崇拝していますが、それに伴う礼拝の儀式は行いません。
また、村のほとんどの人はキリスト教を信仰しています。
トグティル(togutil)という言葉は、部外者という否定的な意味を持つため、使用する際は注意が必要です。
コンバイ族 パプア州
約30年前に発見されたばかりの部族です。コンバイ語が第一言語です。
パプアの森の奥地に住み、木の上の家に作った住居で生活をしています。
人口は約5,900人で、人口の60%がキリスト教を信仰しています。
中学校は1校存在しており、高校はありません。
参考WEBサイト:
https://radarmukomuko.disway.id/read/660616/mengenal-suku-kombai-suku-terakhir-zaman-batu
https://misi.sabda.org/kombai-di-indonesia
その他にも、リアウ諸島に住むサカイ族、アチェ州に住むマンテ族などの少数民族が存在しています。
また、少数先住民族は教育レベルが低く、インドネシア語を母国語としていないため、インドネシアの近代社会とは切り離された環境で暮らしています。
近年、インドネシアの経済発展に伴い、自然とともに暮らす少数先住民族との共存が難しくなってきています。
参考WEBサイト:
https://palembang.tribunnews.com/2021/09/13/8-suku-pedalaman-indonesia-yang-hampir-punah-no-2-paling-ditakuti-hingga-miliki-kekuatan-magis
https://blog.insanbumimandiri.org/suku-pedalaman-asing-indonesia/
少数先住民族と共存していくために
インドネシア経済の発展に伴い、少数民族の保護はインドネシア政府の課題のひとつです。
インドネシアのジャンビ地域の森林開拓と、少数先住民族オラン・リンバを例に挙げてご紹介します。
オラン・リンバは、インドネシアのスマトラ島のジャンビ州の熱帯雨林に住む狩猟採集民族です。狩猟や農業により食料を確保しており、人口は2,500人程度の先住民族です。
インドネシアでは1980年代頃から、パーム油の大規模なプランテーション開発が行われており、このプランテーション開発において、オラン・リンバが住んでいた周辺の森林が伐採され、居住地が奪われました。
そのため、オラン・リンバはプランテーション内に住むことを余儀なくされました。
これまで通りの食料の確保や住居の確保が難しくなった点に加え、インドネシアの現代社会で人々が利用しているバイクを利用するなど、これまでの文化の持続が難しくなっているのも事実です。
インドネシア全体の経済発展のためには、少数民族の生活スタイルの改革が必要になる一方で、少数民族の人権や文化を尊重することも非常に重要です。
解決するためには、双方の理解と寄り添いが必要となるでしょう。
このように、インドネシアの経済発展に伴う森林開拓と先住民族との共存は、今後もインドネシアにおいて注視すべき課題であると言えます。
参考WEBサイト:
https://sebijak.fkt.ugm.ac.id/2019/10/08/merangkul-orang-rimba-pilihan-strategi-pembangunan-berbasis-sosio-kultural/
https://www.fairplanet.org/story/orang-rimba-indonesia-indigenous-island/
インドネシアの経済発展の裏側に、少数先住民族との共存や、自然保護は切り離されない事実です。
こういったインドネシアの社会問題を知ることは、インドネシアでビジネスを展開していくうえで非常に重要であると言えます。
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