インドネシアにおける電子タバコVAPEについて①健康被害

💡3分でわかる!この記事のポイント
インドネシアではVAPE(電子タバコ)は禁止されていますか?

2026年9月現在、インドネシアではVAPEそのものが全面的に禁止されているわけではありません。ただし、「政府規則(PP)No.28/2024」により、21歳未満や妊婦への販売、販売場所、オンライン販売、広告などについて規制が設けられています。

インドネシアではVAPEを利用する人が増えていますか?

はい。インドネシア保健省とWHOによる「GATS 2021」では、電子タバコの利用率は2011年の0.3%から2021年には3.0%へ上昇しており、10年間で約10倍となっています。特に15~24歳では7.5%と、若い世代で高い利用率が報告されています。

インドネシアでは若年層にもVAPEが普及していますか?

はい。2023年の調査では、インドネシアの13~17歳の学生の12%以上が電子タバコを使用していることが報告されています。若年層へのVAPEの普及は、ニコチン依存や健康への影響などの観点からも問題視されています。

VAPEは紙タバコより安全ですか?

VAPEは紙タバコとは異なり、タバコの葉を燃焼させず、リキッドを加熱して発生したエアロゾルを吸引します。しかし、エアロゾルにはニコチンをはじめ、健康に悪影響を及ぼす可能性のある物質が含まれる場合があります。そのため、「タバコの葉を燃焼させない=安全」というわけではありません。

インドネシアのVAPEには税金がかかりますか?

はい。インドネシアでは2018年から電子タバコに物品税が導入されています。「財務大臣規則(PMK)No.96/2024」では、固形型、オープンシステム液体型、クローズドシステム液体型など、電子タバコの種類ごとに物品税率や最低小売価格が定められています。

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インドネシアは、世界でもたばこの利用率が高い国の一つです。

従来の紙タバコが広く普及している一方、近年ではVAPE(電子タバコ)の利用も拡大しており、特に若年層への普及が問題となっています。

こうした状況を受け、インドネシアでは電子タバコに対する規制も強化されています。

今回のコラムでは、インドネシアにおけるVAPEの普及状況や紙タバコとの違い、最新の規制、税制、健康への影響についてご紹介します。

インドネシアにおける喫煙人口についてのトピックスは「【コラム】インドネシアの喫煙事情と今後のコロナの影響」、更にインドネシアにおけるタバコの法規制については「【コラム】インドネシアのたばこ規制」にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非ご覧ください。

目次

 従来の紙タバコとVAPEの違い

VAPEは従来の紙タバコと比較されることが多いですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

一般に市販されている紙タバコは、タバコの葉を乾燥させ、紙で巻いたものです。

一方、VAPEなどの電子タバコは、主にバッテリー、リキッドを入れるカートリッジやタンク、発熱体などで構成されています。発熱体によってリキッドを加熱し、発生したエアロゾルを吸引する仕組みです。

VAPEのリキッドには、ニコチンを含むものと含まないものがあります。また、紙タバコのようにタバコの葉を燃焼させない点も大きな違いです。

こうした違いから、VAPEは紙タバコよりも健康への影響が少ないというイメージを持たれることがあります。

しかし、VAPEから発生するエアロゾルには、ニコチンをはじめ、健康に悪影響を及ぼす可能性のある物質が含まれる場合があります。

そのため、「タバコの葉を燃焼させない=安全」というわけではありません。

インドネシアにおけるVAPEの普及の歴史

インドネシアでは、以前からVAPE愛好者は一定数存在していましたが、広く普及し始めたのは2015年頃からです。

従来のタバコに比べ健康被害が少ないという宣伝文句と、従来のタバコに比べて比較的安価であったことから、全国で普及しました。

普及当初はVAPEの本体や中身の液体は輸入品しかありませんでしたが、徐々にインドネシア国内においても中小企業がVAPEに使用する液体の生産を拡大していきました。

比較的新しいVAPEには政府による明確な安全規制や流通規制が施行されていなかったため、VAPE産業は急成長を遂げたのです。

インドネシアのVAPE利用者は10年間で約10倍に

インドネシア保健省とWHOのインドネシアの喫煙調査の報告書(GATS 2021)によると、

インドネシアの電子タバコ利用率は、2011年の0.3%から2021年には3.0%まで増加しました。

つまり、10年間で電子たばこの利用率は約10倍になったことになります。

特に注目されているのが若い世代です。

GATS 2021によると、15~24歳の電子たばこ利用率は7.5%で、25~44歳の3.1%を大きく上回っています。

電子タバコの普及は、インドネシアのタバコ市場を見るうえで無視できない動きとなっています。

参考WEBサイト:WHOインドネシア公式サイト「保健省とWHOが世界成人喫煙調査インドネシア報告書2021を発表」
WHOインドネシア公式サイト「WHOはインドネシアの大胆な改革を称賛し、タバコのバッケージについて呼びかけ」

インドネシアの若年層に広がるVAPE利用

インドネシア政府やWHOが特に問題視しているのが、子どもや若年層へのVAPEの普及です。

2023年のWHOの調査によると、インドネシアの13~17歳の学生の12%以上が電子タバコを使用していることが報告されています。

WHOは若年層への普及の背景として、フルーツや菓子などのフレーバー、カラフルなパッケージ、洗練された製品デザインに加えて、SNSやインフルエンサーなどを通じたマーケティングの存在を指摘しています。

こうした若年層への普及は、健康面からも問題視されています。

WHOによると、電子タバコに使用されるニコチンには強い依存性があり、思春期にニコチンにさらされることで脳の発達に悪影響を及ぼし、長期的な依存につながる可能性があります。

また、電子タバコの使用から紙タバコの使用へ移行したり、電子タバコと紙タバコの両方を使用する「デュアルユース」につながったりする可能性についても指摘されています。

若年層によるVAPE利用が広がるインドネシアでは、単に利用者数の増加という問題だけではなく、若いうちからニコチンにさらされることによる健康への影響も重要な課題となっています。

こうした状況を背景に、インドネシアでは若年層が電子タバコにアクセスしにくい環境をつくるための規制が進められています。

参考WEBサイト:WHO公式サイト「Indonesia 2023 GSHS Fact Sheet」PDF
WHO公式サイト「WHOはタバコとニコチンから次世代を守るための対策を求めている」

2026年現在のインドネシアにおける規制

2026年9月現在、インドネシアではVAPEそのものが全面的に禁止されているわけではありません。

しかし、2024年7月に制定された「政府規則(PP)No.28/2024」によって、電子たばこを含むたばこ・ニコチン製品に対する規制が大幅に強化されました。

同規則では、電子たばこについても、主に以下のような規制が設けられています。

  • 21歳未満への販売禁止
  • 妊婦への販売禁止
  • 教育施設や子どもの遊び場から半径200m以内での販売禁止
  • オンライン販売に対する年齢確認などの規制
  • 広告・販売促進活動への規制
  • SNS上での広告規制
  • パッケージにおける健康警告表示の強化

例えばオンライン販売については、WebサイトやECアプリ、SNSを利用した販売が原則禁止されています。

ただし、WebサイトやECアプリについては、年齢確認を行う場合には例外が認められています。

また、広告についても子どもや若年層、妊婦を対象とした内容を禁止するなど、電子たばこへのアクセスや広告への接触を抑えるための規定が設けられています。

参考WEBサイト:インドネシア共和国財務監査委員会公式サイト「保健に関する2023年法律第17号の施行規則」

VAPEへの課税:物品税

インドネシア財務省がVAPEの流通に物品税を課したのは、2018年10月からでした。

税関を通じて、VAPEの液体に小売販売価格の57%の物品税が課されるようになり、その後僅か3カ月で、VAPEによる税収は9億5500万円にまで達しました。

電子タバコに対する物品税は2018年に導入され、その後も税率の見直しが行われてきました。

インドネシア財務省が2024年に公布した「財務大臣規則(PMK)No.96/2024」では、2025年1月1日から適用される電子タバコの物品税率が以下のように定められています。

電子タバコの種類物品税率
固形型電子タバコRp3,074/g
オープンシステム液体型Rp636/ml
クローズドシステム液体型Rp6,776/ml

また、同規則では電子タバコの種類ごとに最低小売価格も設定されています。

インドネシアで電子タバコ関連商品の製造や輸入、販売などを検討する場合は、物品税率だけでなく、最低小売価格を含む最新の税制を確認することが重要です。

VAPEの物品税の詳細については次回のコラム「【コラム】インドネシアにおける電子タバコVAPEについて②物品税率引き上げ」で詳しくご紹介させて頂きますので、こちらも是非ご覧ください。

参考WEBサイト:インドネシア共和国財務監査委員会公式サイト「電子たばこ等の物品税率に関する財務大臣規則(PMK)No.96/2024」

VAPEの健康被害

米国疾病対策センター(CDC)の報告によると、VAPEには、ニコチン、プロピレングリコール、植物性グリセリン、アセトアルデヒド、ニトロソアミン 、重金属、ケイ酸塩、ナノ粒子などの有害化学物質が含まれており、喫煙により肺癌、肺気腫、心臓病、内臓刺激や炎症、細胞損傷を発症する可能性が高いと言われています。

また、インドネシアでは、2019年に、あるVAPEの液体に大麻の成分が入っていたことが発覚し、国内メディアで大々的に報道されました。またVAPEに含まれる成分だけでなく、VAPE本体の構造上の危険性も懸念されています。
バッテリー駆動のVAPEはデバイスの過充電を主な原因として突如爆発することが多く、使用者が怪我をすることもあるので注意が必要であると警告されています。

こうしたVAPEの危険性や身体への影響から、世界保健機関(WHO)は、世界各国に「特に子供や妊婦の電子タバコの喫煙を禁止する」よう国民に警告する事を促しています。

まとめ

今回は、インドネシアにおけるVAPEの普及状況や健康への影響について、従来の紙タバコとの違いや最新の規制、税制などを交えながらご紹介しました。

インドネシアでは近年VAPEの利用が拡大しており、特に若年層への普及やニコチンによる健康への影響が問題視されています。

こうした状況を受け、インドネシア政府はVAPEに対する規制を強化しています。2024年に制定された「PP No.28/2024」では、21歳未満への販売禁止をはじめ、販売場所やオンライン販売、広告など幅広い規制が設けられました。

また、VAPEには物品税が課されており、製品の種類によって異なる税率が設定されています。VAPEの物品税については、「【コラム】インドネシアにおける電子タバコVAPEについて②(物品税率引き上げ)」でも詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

インドネシアでは、社会情勢や政府の方針などに伴って法規制や制度が変更されることがあります。VAPEについても、今後の規制や税制の動向を継続的に確認することが重要です。

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