【コラム】データから見る日本におけるインドネシア特定技能の受け入れ拡大

日本の労働市場は、少子高齢化や労働力不足によって変化を余儀なくされています。この中で、インドネシアは日本にとって重要な人材供給国として注目されており、今後の人材受け入れが期待されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37084.html

年に一度発表される厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によると、令和5年 10 月末時点で、全国の外国人労働者数は 2,048,675 人(前年比12.4%上昇)です。
外国人労働者数を国籍別にみると、ベトナムが最も多く 518,364 人(外国人労働者数全体の 25.3%)であり、次いで、中国 397,918 人(同19.4%)、フィリピン226,846 人(同11.1%)の順となっています。インドネシアは121,507人で(同5.9%)で6番目に入ります。
一方で、対前年増加率が大きい主な3か国をみると、インドネシアが最も多く56.0%(43,618 人)増加、ミャンマー49.9%(23,690 人)増加、ネパール 23.2%(27,391 人) 増加しています。つまり、ここ数年で日本におけるインドネシア人労働者数が大きく増加しているのです。

目次

特定技能の受け入れ拡大について

日本では、2024年3月に特定技能の受入れ見込数の再設定が行われ、2024年度から5年間の受け入れ見込み人数は34万5千人から82万人と、約2.4倍の引き上げとなりました。実際に、令和5年度の外国人労働者数を在留資格別にみると、話題の『特定技能』は未だ138,518 人と全体(2,048,675 人)の僅か6.7%にしか満ちませんが、これでも前年比で 59,464 人(75.2%)増加しており、特定技能はまさに拡大期にある在留資格なのです。
半年に一度発表される出入国在留管理庁の『特定技能在留外国人数』では、令和6年6月現在、日本に在留する特定技能外国人の総数は251,747人と、上記の令和5年度の数字と比較してもこの半年間だけで大幅に増加していることがわかります。令和6年度の『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』は未だ発表されていませんが、更なる上昇傾向の報告が予想されます。特定技能については先日掲載したコラム『特定技能2号とインドネシア人材の活用』も併せてご覧ください。

イダ・ファウジヤ労働相の来日と発表内容

今年9月、インドネシアのイダ・ファウジヤ労働相が来日し、今後5年で日本に25万人のインドネシア人労働者を送り出す目標を発表しました。この数は、これまでの目標の10万人から2.5倍に引き上げられたもので、上述の日本政府が特定技能の受け入れ見込み数を拡大したことを受けています。イダ氏は「日本は規律正しく、技術が非常に進んでいる国という強い印象を受けた」と述べ、インドネシア人労働者が日本で働く際には「自身の競争力を高める」ことを目指していると強調しました。また、日本政府が特定技能の受け入れ上限を82万人に引き上げたことにも言及し、今後もインドネシア人労働者の来日人数は高水準が続く見込みを示しました。

国籍別特定技能在留外国人数について

https://www.moj.go.jp/isa/content/001424793.pdf


出入国在留管理庁によると、2023年にインドネシアから新たに入国した就労目的の者(技能実習生を除く)は約2万人、そのうち特定技能は約1万5千人で、インドネシアはベトナムに次ぐ有数の対日特定技能送り出し国となっています。実際に、上述の出入国在留管理庁の『特定技能在留外国人数』を見ると、日本で特定技能に従事している外国人労働者数は251,747人(特定技能1号251,594、同2号153人)ですが、そのうち特定技能1号では、ベトナム126,740人に次いでインドネシアは44,298人と2番目に多い送り出し国であることが裏付けられています。

介護分野におけるインドネシア人の活躍


日本にいる特定技能1号のインドネシア人労働者を特定産業分野別に見ると、介護分野9,760人、飲食料品製造業分野9,134人、農業分野8,514人、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野7,028人、建設分野3,075人、漁業分野2,452人、造船・舶用工業分野1,641人、などに従事していることがわかります(その他の分野はいずれも3桁未満)。特に介護や製造業では、即戦力として期待されるため、特定技能ビザの取得が進んでいます。弊社の事例でも、北海道などの高齢者の多い地域で介護分野に従事するインドネシア人の送り出しをサポートしております。インドネシア人が介護や看護の分野で活躍するためには、特に資格問題が重要です。イダ氏は、インドネシアの大学や看護学校で取得した資格を日本で認定することについて「双方での資格認証を進める必要がある」と述べました。これにより、インドネシア人が持つ専門的な技能を日本の市場で正当に評価できる環境が整うと期待されています。

インドネシアは、日本における外国人労働者の受け入れにおいて重要な役割を果たしています。イダ・ファウジヤ労働相の来日と発表は、両国間の労働協力関係をより強化するうえでの大きな前進といえるでしょう。特定技能制度の拡大や教育制度の整備を通じて、インドネシア人材の受け入れを進めることで、日本の労働市場における多様性と競争力を高めることが期待されます。弊社インドネシア総合研究所でも、日本への特定技能受け入れ事業のサポートを承っております。受け入れだけでなく、質の高い人材育成のための日本語学校設立や資格取得の補助も行っております。今後ますます注目の高まるインドネシア人受け入れについて、ご関心をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

参考 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

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