【コラム】「特定技能」人材、受け入れ側に要求される7つの要件と10の義務~インドネシア人材受け入れのために~
「特定技能」制度は2019年にスタートした制度です。出入国在留管理庁のデータによると、「特定技能」人材として来日し日本で働くインドネシア人の数は、2023年6月末の時点で25,337人でした。「特定技能」での来日者数はコロナ禍に一度は減少したものの、2022年以降再び増加しています。
今回のコラムでは、「特定技能」人材を受け入れる際に満たさなければならない7つの要件と、受け入れ側に義務付けられている10の項目についてご紹介いたします。
「特定技能」以外の外国人材の受け入れについては、こちらの記事をご覧ください。
1.受け入れ機関になるための7つの要件
「特定技能」人材を受け入れるには、“外国人を支援する体制があるか”について、以下の7つの基準を満たすことが法律(法第2条の5第3項,特定技能基準省令第2条第2項)で定められています。
① 以下のいずれかに該当すること
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること
(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者を選任していること
② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
③ 支援状況に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
④ 支援責任者及び支援担当者が,支援計画の中立な実施を行うことができ,かつ,欠格事由に該当しないこと
⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
⑥ 支援責任者又は支援担当者が,外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施する
ことができる体制を有していること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001101375.pdf
受け入れ企業として上述の基準を満たしていなくても、次の章でご紹介する「支援計画」の実行を登録支援機関に全て委託すれば、「特定技能」人材の受け入れが可能になります。
https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001101375.pdf
2.「特定技能」人材、受け入れ側に要求される10の義務
「特定技能」人材を受け入れる際には、受け入れ機関で以下の10項目について計画し、提供、実施状況の届出を行うことが義務付けられています。
1 | 事前ガイダンス | ・雇用契約締結後,在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件、活動内容、入国手続、保証金徴収の有無等 について対面やテレビ電話等で説明 |
2 | 出入国する際の送迎 | ・入国時に空港等と事業所又は住居への送迎 ・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行 |
3 | 住居確保に・生活に必要な契約に係る支援 | ・賃貸物件契約時の連帯保証人になる、社宅を提供する等 ・銀行口座等の開設、携帯電話やライフラインの契約等を案内、各手続の補助 |
4 | 生活オリエンテーション | ・円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明 |
5 | 公的手続等への同行 | ・必要に応じ住居地、社会保障、税などの手続の同行 ・書類作成の補助 |
6 | 日本語学習の機会の提供 | ・日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等 |
7 | 相談・苦情への対応 | ・職場や生活上の相談・苦情等について外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等 |
8 | 日本人との交流促進 | ・自治会等の地域住民との交流の場や、地域のお祭りなどの行事の案内、参加の補助等 |
9 | 転職支援(人員整理等の場合) | ・受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の、転職先を探す手伝いや推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供 |
10 | 定期的な面談・行政機関への通報 | ・支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報 |
参考:
https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001101375.pdf
これらの項目は、「支援計画」(「1号特定技能外国人支援計画」)で指定された項目です。受け入れ機関は作成した「支援計画」に基づき、来日後の「特定技能」人材を支援し、定期的にその実施状況を出入国在留管理庁へ届け出る必要があります。
また、受け入れ企業での対応が難しい場合には、「支援計画」の一部または全部を、登録支援機関などに委託することが出来ます。
弊社インドネシア総研も、認定された登録支援機関です。ご興味のある方は、ご連絡ください。
3.その他、受け入れ後の届出業務について
「特定技能」人材の受け入れ機関は、人材受け入れ後、外国人材への支援だけでなく、出入国在留管理庁への諸々の届出業務も義務化されています。
「支援計画」の実行を登録支援機関に委託した場合でも、これらの届出は必要です。届出を怠った場合、指導や罰則の対象となりますので、ご注意ください。
受け入れ後の届出一覧(受け入れ機関)
・特定技能雇用計画の変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
・支援計画の変更に関する届出
・登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出
・特定技能外国人の受け入れ困難時の届出
・出入国または労働関係法令に関する不正行為等を知った時の届出
・特定技能外国人の受け入れ状況に関する定期的な届出
・特定技能外国人の活動状況に関する定期的な届出(報酬の支払い状況、離職者数、行方不明者数、受け入れに要した費用の額等)
・支援計画の実施状況に関する定期的な届出(相談内容及び対応結果等)
*支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託した場合は、受け入れ機関からの「支援計画の実施状況に関する定期的な届出」の届出は不要です。
受け入れ後の届出一覧(登録支援機関)
・登録の申請事項の変更の届出
・支援業務の休廃止の届出
・支援業務の実施状況等に関する定期的な届出(特定技能外国人の氏名、受け入れ機関の名称、特定技能外国人からの相談内容及び対応状況等)
今回のコラムでは、「特定技能」人材を受け入れる際の受け入れ側の義務と要件についてご紹介いたしました。弊社インドネシア総合研究所は、インドネシアの「特定技能」人材育成の学校運営は、日本でのインドネシア人材のサポートの経験と実績がございます。
インドネシア人材についてご興味のある方は、こちらのお問い合わせフォームからどうぞお気軽にご連絡ください。
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