【コラム】インドネシアの高い肥満率と広がる健康ブーム
インドネシアの肥満率は日本よりも高く、特に女性は約5分の2が肥満とされています。
この大きな要因の一つとして、インドネシア特有の食生活や、運動が難しい環境等が挙げられます。
しかし、最近インドネシアでも食生活を見直して健康を手に入れようとする動きが出始めています。
以前、弊社コラムにて、インドネシアの特に都市部を中心とした健康ブームについてご紹介いたしました。詳しくはこちら。
今回のコラムでは「高い肥満率」と「健康ブーム」についてお伝えします。
インドネシア人女性の5人に2人は太っている!?
2017年のインドネシア保健省の発表によると、インドネシア人の中で肥満(BMI数値が25以上)の割合が33.5%です。
BMI数値が27以上の割合で見ても20%と、過度に太っている人も意外と多いようです。
また男女別で肥満の割合を見ると、女性が41.4%、男性が24.0%と、女性の方が肥満率が高い傾向にあります。
出典:インドネシア保健省(2017)「Kementerian Kesehatan Republik Indonesia, Profil Kesehatan
Indonesia 2017(インドネシア保健省によるインドネシアの健康に関する統計)」
http://www.depkes.go.id/resources/download/pusdatin/profil-kesehatan-indonesia/Profil-Kesehatan-
Indonesia-tahun-2017.pdf
一方、日本はというと、2017年に厚生労働省が発表した「平成28年国民健康・栄養調査」によると、20歳以上のBMIが25以上の人の割合は男性が31.3%で、女性が20.6%です。
出典:厚生労働省(2016年)「平成28年国民健康・栄養調査」,
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-
Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf
男性のみで見ると、インドネシア人と日本人の差は7%ほどに留まっているものの、女性だと、インドネシア人の肥満率は日本の2倍以上にもなっています。
お米、甘いものが大好き!インドネシア人の食生活
なぜインドネシア人は日本人に比べて肥満の割合が多いのでしょうか。
その大きな理由の一つとして、ご飯と揚げ物に偏った食事や、おやつをよく食べる習慣が挙げられます。
インドネシアでよくある食事の例を挙げると、白米とお肉、豆腐やテンペ(大豆を発酵させたもの)を揚げたもの、そして少量の野菜を一枚の皿にまとめた盛り合わせのセットです。
インドネシア人の多くは、ご飯と油ものは多く摂取する一方で野菜はあまり食べないという食生活を送っています。
特にお米はインドネシアの食生活ではなくてはならない食材で、お米を食べないと食事をしたことにみなされない程です。
インドネシア保健省によると、インドネシア国民の1日あたりの平均摂取カロリーは、米が最も多く(831.57カロリー)、油が二番目(228.72カロリー)に多くなっています。一方で、十分な野菜量を摂取できていないとされる国民の割合は全体の93.5%にも上ります。
出典:インドネシア保健省・データ情報センター(2016)「Konsumsi Makanan Penduduk Indonesia 2016
(インドネシア国民の食糧消費について2016)」 ,
http://www.pusdatin.kemkes.go.id/download.php?file=download/pusdatin/infodatin/infoDatin-Makanan-2018.pdf
白米、唐揚げ、揚げ豆腐、揚げテンペ、揚げキャベツのセット
また、インドネシア人は甘いものも大好きです。デザートを食べるだけでなく、お茶やコーヒーにも大量の砂糖やシロップを使います。
砂糖や練乳、チョコレート、油などをふんだんに使用したマルタバック・マニスという料理も、道端の屋台でよく販売しており、定番の間食としてインドネシア国民に広く親しまれています。
マルタバック・マニス(チョコレート味)
糖質制限に対する関心の高まり
自分たちの食生活を見直そうとする動きがインドネシア人の間でも少しずつ増えてきています。
ジャカルタ中心部で自転車移動をする人、ランニングをする人たちも増えてきました。
中でも、近ごろ特にインドネシア人の注目を集めているのが、糖質制限による健康法です。
糖質制限とは、ご飯やパン、麺類など炭水化物の中でも糖分を多く含む食べ物や甘いお菓子の過剰な摂取を控えて、血糖値や体内の脂肪を減少させる食事法です。
糖分の摂取さえ抑えていれば、お酒やお肉の摂取を我慢しなくても良いという点で、比較的簡単な健康法
として知られています。
糖質制限を実践するインドネシア人たちが交流するフェイスブックグループには、2016年に開設されたばかりにもかかわらず、すでに9万2千人以上ものメンバーが集まっています。
糖質制限に励むインドネシア人のフェイスブックグループ
弊社代表も糖質制限により体重減!
弊社代表のアルビーも実はこのフェイスブックのグループに参加しています。
といいますのも、アルビーもこの健康法を実践した数多くのインドネシア人の内の一人で、400日間で30キロの減量に見事成功し、血圧も100ほど低下しました。
アルビーはこの経験を活かし、2018年11月にはジャカルタにて糖質制限セミナーも開催しています。
アルビーの開催した糖質制限セミナー
インドネシアでは、国民皆保険(BPJS)が2014年に導入されてから、医療社会保険機構が毎年赤字を出し続けていることについて、過去にコラムにてご紹介いたしました。
インドネシア保健省によると、糖尿病はインドネシア国民の死因となる病気のトップの1つとなっており、2015年時点でのインドネシア国民の糖尿病患者数は、なんと約1,000万人にのぼります。
出典: インドネシア保健省、「Menkes: Mari Kita Cegah Diabetes Dengan CERDIK (保健省大臣、“賢く糖尿病を予防しましょう”と呼びかける)」
http://www.depkes.go.id/article/view/16040700002/menkes-mari-kita-cegah-diabetes-dengan-cerdik.html
インドネシア保健省としては、今後は治療から予防にフォーカスをシフトする方針を発表しており、今後は国として予防医療に注力する政策や取り組みが積極的に行われていくと考えられます。
まだまだ肥満の割合が高いインドネシアではありますが、国民の健康への需要は確実に高まりつつあると言えるでしょう。
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