【コラム】ハラル市場の成長とインドネシア
インドネシアのスーパーマーケットやレストランで、「HALAL(ハラル)」と書かれた緑色の看板を見たことがありますか?
このマークは、製品がハラル認証を取得済みであることを示しています。
世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアにおいて「ハラル」は切っても切り離せない重要なキーワードです。今回のコラムでは、インドネシアのハラルとハラル産業についてご紹介いたします。
ハラルの基礎情報とインドネシアにおけるハラル
「ハラル」とは、伝統的なイスラム法で「合法的である」と見なされるものを指します。
イスラム法で禁じられている代表的なものとして豚肉やアルコールが挙げられますが、ここには豚肉油、豚肉エッセンス、アルコール飲料なども含まれます。
ハラルについての概要は以前弊社のコラムにてご紹介したことがございますのでこちらの記事もあわせてごらんください。
イスラム法では、全ての肉が食肉として容認されているわけではありません。
ハラル肉については、イスラムの教えに則った方法で処理・加工されたもののみハラルと認められます。
禁止されている動物は、他の動物を攻撃するための爪や牙を持つ陸上の肉食動物です。
その他、ねずみやゴキブリといった害獣・害虫、家畜のロバ、カエル、イスラム法を使用して屠殺されなかった動物などもまた摂取が禁止されています。一般的に許容されているものとしては牛肉、鶏肉、魚、子羊が挙げられます。
ハラル製品の対象となるものとしては、食品以外にも、飲み物、衣類、化粧品なども対象になり、化粧品や衣服に使用されている成分にも注意を払う必要があります。
他にも、イスラム教は動物実験や動物への残虐な行為を禁止しているため、原料の供給源や製品の製造過程において動物を傷つけてはいけません。
ハラル市場
今日、インドネシアのハラル産業は将来有望な市場として世界から注目を集めています。
これは世界のイスラム教徒の人口が多いためです。現在、世界には約18億人のイスラム教徒がおり、この人口は毎年増加傾向にあります。
では、どのような国がハラル製品を輸出・輸入しているのでしょうか。
ハラル食品の需要について上位5か国でみた場合、もちろん需要があるのはイスラム国家やムスリムの人口が多い国ですが、ハラル食品の輸出が多いのは非イスラム国家です。
出典:OIC, The OIC’s Current and Potential Role in the Global Halal Food Tradeより弊社作成(閲覧:2019年5月10日)
https://repository.salaamgateway.com/images/iep/galleries/documents/201702260610175356.pdf
また、世界的なハラル市場は、今後以下のように拡大していくと予測されています。
出典:Statistia, Market value of halal foods worldwide from 2017-2023より弊社作成(閲覧:2019年5月10日)
https://www.statista.com/statistics/562857/market-value-of-halal-products-worldwide/
日本国内で見ても、インドネシアの中間層が拡大したことによる訪日観光客の増加や2020年のオリンピックに向けて、ハラル認証の取得やムスリムフレンドリー対応を進める食品会社、飲食店などが増えてきました。
食品パッケージに印刷されたハラルマーク
インドネシア政府は、2014年に「インドネシアに流通する食品、化粧品、医薬品のハラル認証の取得を義務化する」とする新しい法律“ハラル製品保証法”を公布しており、2019年10月までに施行予定とされています。
また、近年食品や化粧品以外の製品のハラル認証の取得が広まってきています。最近では、冷蔵庫やヒジャブのハラル認証取得が話題になりました。その他、プラスチック容器やキャットフード、洗剤など様々な商品でハラル認証の取得が行われています。
現時点では適用範囲や実施の有無について確定しておらず議論がなされていますが、導入が確定した際にはインドネシアのハラル市場に大きなインパクトを与えるでしょう。また、最新の動向にも注意する必要があります。
いかがでしょうか。
日本とインドネシアに拠点を持つ弊社では、ハラルに関する様々な疑問をお持ちの企業様向け「
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