【コラム】ハラル市場の拡大とインドネシア国内の動き
2020年の東京オリンピックに向け、日本国内でもムスリム(イスラム教徒)の対応への関心が高まり、豚肉やアルコールを禁じる戒律に従った「ハラル」の食品の需要が高まっています。
また、インドネシア国内でも、2019年を目途に、インドネシア国内における生産販売品に対してハラル認証の取得義務を課す法律の施行が予定されています。
しかし、「ハラル」という言葉を最近よく耳にするけれども、いまいち理解ができていないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、インドネシアにおける「ハラル」市場の拡大についてご紹介します。
ハラルとは
「ハラル」は、イスラーム法(シャリーア)において「合法」であることを意味します。
ハラルに対し、逆にイスラム教徒として禁じられているものを「ハラム」といいます。
例えば豚やアルコール、犬などが「ハラム」にあたります。
インドネシアにおけるハラル認証
「ハラル認証」は、それぞれの国や地域の主要なイスラム団体が定める認定制度です。
対象物としては、食品や医薬品、化粧品等で、認証の基準や制度は国によって異なります。
インドネシアにおいては、ウラマー評議会(Majelis Ulama Indonesia)がハラル管理の主体となり、食品・医薬品および化粧品研究所(LPPOM-MUI:Lembaga Pengkajian Pangan, Obat-obatan, dan Kosmetika Majelis Ulama Indonesia)がハラル認証機関の役割を担ってきました。
今後は、新法律の施行に伴い、新たに設立されるハラル製品保証管理機関(BPJBH:Badan
Penyelenggara Jaminan Produk Halal)がハラル認証の発行を、ハラル検査機関(LPH:Lembaga Pemeriksa Halal)が検査業務などを担う予定となっています。
世界で二番目に厳しいといわれている隣国マレーシアのハラル基準と比べると、インドネシアのハラル認証はハードルが低いと言えますが、それでも認証取得のためには厳しい基準をクリアしなくてはなりません。
意外なものにもハラル認証はある
これまでハラル認証を取得する製品は、食品や薬、化粧品がほとんどでした。しかし近年は、様々な「もの」や「サービス」に対してハラル認証を取得する動きが盛んになっています。
例えば、インドネシアでは、日系企業がおむつや電化製品などもハラル認証を取得するなど、ムスリムに配慮した事業展開もすでに見られます。
ハラルマークは食の安心マーク
インドネシアにおいては、「ハラルマークがないものは完全に拒否する」といった厳格なムスリムはまれです。
多くのインドネシア人ムスリムは、特に旅行先などでは「豚肉やお酒が入っていなければとりあえずOK」と考えている方が多数いるのが現状です。
ただし、多くのムスリムにとって「ハラルマークがあると安心して購入したり口にしたりすることができる」というのもまた事実です。
ハラルマークは、ムスリムの食の安全に関わる重要な印である、ともいえるでしょう。
ハラールマークのある店舗
ハラル認証対応、進んでいますか?
前述の通り、インドネシアでは2019年を目途に、国内生産販売品にハラル認証取得義務を課す法律の施行が予定されています。
こういった動きを読み取り、日系企業もますますハラル認証に積極的に対応していくことが求められていくでしょう。
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