【コラム】MRT導入により渋滞解消が期待されるジャカルタ

ジャカルタで長い間待ち望まれたMRTが、先日ついに試乗を開始しました。

MRTの導入は区間ごとにフェーズで分けられており、区間ごとに徐々に開通していくことになりますが、世界的にも有名なジャカルタの渋滞を解決する手段になるのではないかと注目を集めています。

元々、MRT導入の話は1985年頃からありましたが、1997~1999年のアジア通貨危機により話が立ち消えてしまいまい、長年の構想がやっと実現されることになります。

先日のコラムにて、ジャカルタMRTの試乗レポートをご紹介いたしました。

今回のコラムではMRT導入の背景でもあるジャカルタの混雑についてご紹介いたします。

 

MRTのルートと運賃

高層ビルが立ち並ぶ都市、ジャカルタのひどい交通渋滞は、世界的にも有名です。

通常30分程度で移動できる距離が1~2時間かかってしまうということは珍しくありません。

移動にどのくらい時間がかかるのか全く読めないのですから、これは通勤時や人との約束があるときにはとてもストレスになってしまいます(弊社のスタッフも、30分もあれば移動できる距離で渋滞にはまってしまい、2,3時間以上かけて移動したことが何度もあります)。

画像引用:Jakartamrt WEBサイトより(https://www.jakartamrt.co.id/)

ジャカルタのMRTのルートについては、南北にLebak Bulus駅とBundaran HI駅をつないでいます。

Lebak Bulus駅からBundaran HI駅までは、車で約1時間半かかりますが、MRTでは約30分と、3分の1の時間で移動できるようになる見込みです。

第一区間は全部で13駅あり、うち7つが地上に、6つが地下にあります。

Bundaran HI駅から北のコタ地区までを結ぶ第二区間は2024年までに建設が完了し、2025年に運行が開始される予定となっています。

運賃については、つい先日ジャカルタ州アニス知事より、10キロにつき10,000ルピアとすることが発表されました。

初乗り運賃は3,000ルピアで、Lebak Bulus駅からBandaran HI駅まで移動をした場合の運賃は14,000ルピアとなるそうです。

画像引用:Jakartamrt WEBサイトより(https://bm.cari.com.my/portal.php?mod=view&aid=44800

 

渋滞の原因は?

「ジャカルタの交通事情で一番の問題は渋滞だ」と考える人も多いのではないでしょうか。

しかし、根本的な問題として、ジャカルタを始めとするインドネシア全体で公共交通機関がほとんど発達しておらず、自家用車に大きく依存せざるを得ない状況があります。渋滞はその結果にすぎないのです。

また、ジャカルタは、二輪を含む車両登録台数が非常に多い状態にあり、その数値は年々増加傾向にあります。

ジャカルタの渋滞には様々な要因が考えられますが、最も大きな要因として、そもそも車両の登録台数が大変多いということが挙げられるでしょう。

ジャカルタ州の人口は約1,000万人を超える大都市であり、道路には自動車や二輪などで溢れかえっています。

出典: インドネシア中央統計局「種類別車両台数の推移、1949-2017」より弊社作成
https://www.bps.go.id/linkTableDinamis/view/id/1133
  (閲覧日:2019年3月27日)

 

出典:インドネシア中央統計局「ジャカルタ州交通統計レポート2018」より弊社作成
https://jakarta.bps.go.id/publication/2018/10/03/cb1285d8dbe8be8754a5830d/statistik-transportasi-dki-jakarta-2017.html
(閲覧日:2019年3月27日)

 

では、なぜジャカルタの交通機関が人々の生活に浸透していないのか、もう少し考察して参りましょう。

なお、インドネシアでの移動手段については、過去に弊社コラムにてご紹介させて頂いたことがございますので、詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

ジャカルタには確かに公共交通機関は存在し、一定数の人々が日々利用しています。しかし、ジャカルタの渋滞緩和にはほとんど影響を与えていないに等しい状況です。

先日、カラ副大統領は、ジャカルタの住民の19%しか公共交通機関を利用していないと述べました。

ジャカルタの人々が公共交通機関をほとんど利用しない要因の一つとして、「他の公共交通機関との接続性の悪さ」が大きな要因として挙げられるでしょう。

通勤や通学で多くの人が集うジャカルタ中心部、スディルマン通りのスディルマン駅を例に挙げてみましょう。

駅の周りにオフィスビルが終結しているわけではなく、駅からオフィスに移動するために、Trasnjakarta(バス)といった他の公共交通機関を利用しなければならない人が多いと考えられますが、この公共交通機関間の乗り換えや移動が不便に感じるポイントではないでしょうか。

結果として、多くの人々が通勤に自家用車や最近ではGojekなどのバイクタクシーサービスを利用しています。

この他、以前より公共交通期間の安全性も指摘されています。公共交通機関内、駅や歩道橋などでスリなどの犯罪に巻き込まれるケースもあるため、MRTが安全で快適に利用できることが望まれています。

今後もMRTだけでなく、ジャカルタの渋滞を解決するために様々な取り組みが政府・民間によってなされるでしょう。

MRTの取り組み以外にも、LRT(軽量軌道交通)の導入も進められており、先日試乗が開始されました。

今現在、ジャカルタ政府のみでなくジャカルタの住民が、公共交通機関の導入によってどのくらい渋滞を削減できるのかを期待しています。

 

弊社は、インドネシアの運輸省やインドネシア自動車製造業者協会へのアプローチの実績などもございます。

ご興味、ご質問がある方はぜひお気軽にお問合せください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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