【コラム】ジャカルタMRT試乗レポート
長らく建設工事が行われてきたジャカルタ都市高速鉄道(Jakarta Mass Rapid Transit、以下MRT)ですが、3月12日より市民を対象とした試乗がスタートしました。
今回は弊社スタッフがMRTに試乗してきましたので、その様子をレポート致します!
背景
インドネシアの首都ジャカルタは、人口の急激な増加と公共交通機関の未整備が原因で、市民は世界でもトップレベルの渋滞に悩まされてきました。2時間から3時間、渋滞に巻き込まれることも稀ではないことから、「ジャカルタ=渋滞」と連想する方も多いのではないでしょうか。
このような背景を踏まえて、ジョコウィ政権ではインフラ開発に力を注いできました。ここ数年で首都圏においては高速道路の建設、MRTや軽量軌道鉄道(Light Rail Transit、LRT)の建設などが集中的に行われてきました。
ジャカルタのインフラ整備も着々と進行していますが、MRTはその中でも一足先に完成を目にすることができることとなりました。
MRTについて
ジャカルタのMRTは第一区間として南北線の建設の一部分を2013年10月に開始し、完成予定は遅れたものの、4月より本格的に運行開始予定です。
日本はこのMRT建設事業に大きく関わっており、資金面では国際協力銀行及びJICAが円借款で支援を行い、建設面では清水建設や大林組、三井住友建設が携わり、車両については住友商事と日本車両製造が製造しています。
今回建設が完了し、運行が間もなく開始される第一区間は、ジャカルタ中心部のホテル・インドネシア前ロータリーから南ジャカルタのルバック・ブルスまでの計15.7kmとなっています。
画像:MRT試乗申し込み用サイトより https://www.jakartamrt.co.id/ayocobamrtj/
ホテル・インドネシア前ロータリーから北のコタ地区までを結ぶ第二区間は2024年までに建設が完了し、2025年に運行が開始される予定となっています。
試乗の申し込み方法
ここからはいよいよ現地でMRTに試乗した際の様子をご紹介いたします。
画像:MRT試乗申し込み用サイトのトップ https://www.jakartamrt.co.id/ayocobamrtj/
【申し込み】
3月5日のジャカルタ時間10時より一般に試乗チケットの申し込みがスタートしました。ジャカルタのMRTの公式ホームページからMRT試乗用に作成されたウェブサイトにアクセスし、オンラインショッピングプラットフォームであるBukalapakを通して無料のチケットを入手することができました。
実際に入手したチケットがこちらです↓
チケット内のQRコードをかざすと入場できる仕組みとなっています。
試乗レポート
今回乗車した区間はBlok M駅(地上駅)から終点のBundaran HI駅(地下駅)までの7駅です。
Blok M駅入り口
Blok M駅は地上区間にあるため、駅へはこの入り口から上る必要があります。入り口付近は工事中で未完成の部分も多く見られました。
未使用の改札機
この日はまだ改札機が使用されておらず、カバーが掛けられていました。見る限り日本の
改札機と似ていますね。
駅構内の様子
改札を通ると広々とした空間が広がっています。構内は表示も多く、迷うことなくスムーズにホームまでたどり着くことができました。前方にはホームへと繋がる階段とエレベーターが見えます。構内は照明が完備されているため明るく、また広々とした印象です。
ホームの様子①
ホームには何本か列車が乗り入れ可能となっています。天井は高く、風通しの良い設計になっています。これから広告が掲載できる柱も多く見受けられました。
ホームの様子②
時刻表はカバーが掛けられており、まだ見ることができませんでしたが、ホーム番号が表示されているところには時計と電光掲示板があり、何時に電車が到着する予定か分かる仕組みとなっています。
当日は何のトラブルもなく、時間通りに電車が到着しました。
ホームの様子③
ホームドアが完備されており、利用者が表示に沿って整列できるような工夫もされていました。
これは、まだ電車に乗り慣れていないインドネシアの人々が表示に沿って整列できるようにするためのものだそうです。
ホームから見た線路の様子
MRTの地上区間はジャカルタの街並みが一望できるようになっているため、渋滞にはまらず快適に通勤しながら街の様子を見ることができればきっと気分もよいことでしょう!
では、いよいよMRTに乗車します。
MRT車内の様子
日本人にとってはなじみのある車内風景ですね。車両の形状から、座席の形、つり革まで日本で普段利用する電車にそっくりです。利用者が少ないせいもあるかもしれませんが、かなり広々しているようにも見えます。車内は非常に清潔感があり、冷房は強すぎるくらいに効いていました。もちろんスムーズに走ってくれるため、乗り心地も良かったです!
(隣の車両の様子)
日本の都市部で見られる電車と同様、隣の車両へも簡単に移動できる形となっています。
試乗した日は平日の昼間だったためかなり空いていましたが、朝MRTを利用した人の話によると、朝の時間帯は通勤途中の人で混みあっていたとのことです。ジャカルタ市民がMRTに期待を寄せている様子が窺えますね。
試乗を利用しているインドネシアの人々の乗車マナーについては非常に良く、これはMRTが開通した区間はビジネス街の中心地であるため試乗する人の教育レベルが比較的高く、またインドネシア国外で電車の利用をしたことがある人が多いといった事由も考えられます。
車両ドアと優先席の様子
各車両の端には優先席が設けられています。つり革や手すりが黄色くなっているため、一目で分かるようになっています。プラットフォームと車両の段差や大きな隙間はなく、安全に乗り降りできることができます。
車内電子パネル
ホームドアの内側上部には電子パネルが設置されており、現在、電車がどの区間を走っているかが表示されています。こちらも日本ではおなじみのシステムですが、ジャカルタで導入されると、便利だと思われる方も多いかもしれません。
Setiabudi駅の様子
途中のSetiabudi駅(地下駅)の様子です。駅はモダンな造りとなっており、近隣の東南アジア諸国の都市部で見られる交通機関と引けを取らないクオリティだと感じました。
以上、ジャカルタMRT試乗報告でした!
まとめ
4月には正式に運行が開始される予定ですので、今後ますますジャカルタの交通が便利になることが期待されます。MRTの導入をきっかけに、ジャカルタの悪名高い渋滞が解消することを願うばかりです。
試乗は簡単にできますので、直近にジャカルタを訪れる機会がある方はぜひ試乗をしていただければと思います。
弊社では調査やコンサルティングの他、現地視察のアレンジやアテンドを承ることも可能でございます。
最新のインドネシア事情やジャカルタ事情を直接ご自身の目で確かめたいという方は是非インドネシア総研までお問い合わせ下さい。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260