2025年からインドネシアで開始の無料健康診断PKG──国民の健康と経済成長の鍵とは?

インドネシアでは現在、脳卒中や心血管疾患による死亡率が増加傾向にあります。
これらの疾患の多くは、不健康な生活習慣が主な原因とされており、早期発見によって予防や治療が可能なケースも少なくありません。
こうした背景を受けて、インドネシア政府は国民の健康維持と病気の早期発見を目的に、2025年2月より全国規模の無料健康診断プログラム(PKG)を開始しました。
本コラムでは、このPKGプログラムの目的、対象、内容についてご紹介します。
インドネシアの無料健康診断プログラム(PKG)とは
インドネシア保健省の2023年のデータによると、20歳以上の国民のうち健康診断を受けた人の割合はわずか39.87%にとどまっています。
その主な理由として、「健康診断の費用が高額であること」、「症状が出るまで病院に行かない傾向があること」が挙げられます。
このような状況を改善するため、プラボウォ大統領は2025年2月10日から、全国規模の無料健康診断プログラム「PKG」を導入しました。
現在、インドネシア全土の9,346ヵ所のプスケスマス(地域保健所)で実施が進められています。
無料診断プログラム(PKG)の概要
目的
- 不健康な生活習慣の改善
- 生活習慣病などの早期発見
- 国民の死亡率の改善
対象と提供パッケージ
対象はすべての国民であり、年齢やライフステージに応じて3つのパッケージが用意されています。
バースデイパッケージ
対象:6歳までの乳幼児、18歳以上の成人
受診期間:誕生日から30日以内
※今後、年間を通じての利用が可能になる予定です。
スクールパッケージ
対象:7歳~17歳の子ども
受診期間:学校の新学期
特別パッケージ
対象:妊婦、乳児、6歳以下の子ども
受診期間:母子保健サービスの基準に準ずる時期
診察場所
- 地域保健所(プスケスマス)
- 学校(スクールパッケージのみ)
参考WEBサイト:https://www.voanews.com/a/indonesia-launches-183-million-free-health-screening-to-prevent-early-deaths/7969114.html
https://www.voanews.com/a/indonesia-launches-183-million-free-health-screening-to-prevent-early-deaths/7969114.html
https://ayosehat.kemkes.go.id/diet-sehat/pemeriksaan-kesehatan-gratis
https://setren.magetan.go.id/portal/berita/12411-cek-kesehatan-gratis-bupati-magetan-luncurkan-program-pemeriksaan-kesehatan-menyeluruh
無料診断プログラム(PKG)の診察内容
年齢別に実施され、以下のような内容で行われます。
- 先天異常の検査(幼児向け)
- 成長・発達測定(幼児向け)
- 血圧、血糖値、腎機能の測定
- 目と耳の感覚検査
- 歯、精神、その他の検査
一部幼児向けの診察内容も存在します。
無料診断プログラム(PKG)の登録豊富と普及状況
2025年4月末時点で、426万5,957人が無料診断プログラムに登録しています。
以下3つの方法で、登録が可能です。
- 保健省の公式アプリ「Satu Sehat」
- 保健省の公式WhatsApp アカウント
- 最寄りのプスケスマス(保健所)窓口
なお、インドネシアには現在約10,200のプスケスマスが存在し、誰でも身近な施設で受診することができます。
参考WEBサイト:https://satusehat.kemkes.go.id/mobile/faq/topic/a8f1f9ec-2c9e-4fc0-8e5d-38e490cd6ba8
https://mediakeuangan.kemenkeu.go.id/article/show/pemeriksaan-kesehatan-gratis-bagi-jutaan-warga-langkah-nyata-pemerintah-tingkatkan-kualitas-hidup-masyarakat-indonesia
無料診断プログラム(PKG)は国家の未来を支える健康投資
インドネシアでは、国民の健康意識の低さが、経済発展の大きな課題のひとつとされてきました。
そのため、政府による無料健診制度の導入は、国民の生産能力の維持・向上につながり、国家の経済政策の一環としても重要視されています。
また、疾患の早期発見・治療を受けることができれば、国家の医療保険費用の削減につながります。
そして、健康な労働人口が増えれば、購買力のある層が増え、経済成長を後押しすることができます。
無料診断プログラムは、2025年2月に開始されて以来、受診者が増えており、年内で6,000万人の受診者になると予想されています。今後は全国民を対象に毎年実施される予定です。
Indonesia Emas2045と健康政策の関係
インドネシアのジョコウィドド前大統領が掲げた「Indonesia Emas 2045」は、インドネシアが建国100周年を迎える2045年に先進国入りを目指す国家ビジョンです。
その達成のために、国民の健康が重要視され、以下のような目標が掲げられています。
健康面での主要目標
- 国民の健康を守る医療システムの整備
- 発育阻害率の5%未満へ低下
- 結核とハンセン病の根絶
- 健康寿命の延伸
これらの目標を達成するためにインドネシアの保健省では、以下のような取り組みを行なっています。
具体的な取り組み
- 医療従事者の育成・配置の強化
- 村・地区レベルでのプライマリ・ヘルスケアサービス整備
- 生後1,000日間の栄養管理による発育阻害対策
- 医師の教育機会の拡充と研修期間の短縮
- 有害食品・製品の流通規制と健康教育の推進
*プライマリ・ヘルスケアサービス:地域住民が身近な場所で受けられる、包括的で継続的なヘルスケア
健康な国民こそが、未来の経済成長を支える最も重要な資産であるという認識が、政府全体で高まっています。
今回のコラムでは、2025年にスタートしたインドネシアの無料健康診断プログラム「PKG」についてご紹介しました。
インドネシアの人々の健康意識は近年高まりつつありますが、日本と比較すると予防医療への意識はまだ低いのが現状です。
平均寿命が10年以上長い日本の予防医療の知見や制度は、インドネシアの健康づくりや国づくりにとって非常に有益であるといえるでしょう。
弊社インドネシア総研では、現地市場の動向調査からビジネス展開のご支援まで、幅広いサービスを提供しております。
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