インドネシアで16歳未満のSNS利用を制限へ:新デジタル政策の背景と制度内容

インドネシアでは近年スマートフォンやSNSの急速な普及により、子どものインターネット利用に関する問題が社会課題として注目されています。
こうした状況を受け、インドネシア政府は2026年、16歳未満のSNSアカウント所有を制限する新たな規制を導入しました。
本コラムでは、インドネシアにおけるSNS年齢制限制度の内容と背景、そしてデジタル政策の今後の方向性について解説します。
インドネシアの子供のスマホ依存
インドネシア中央統計局(BPS)のデータによると、2024年時点でインドネシアの幼児の39.71%が携帯電話を使用しており、35.57%がインターネットにアクセスしています。
年齢層別に見ると、1〜4歳児の37.02%、5〜6歳児の51.19%が携帯電話を使用しています。
また、インドネシアのインターネット利用者は2億2,100万人に達し、総人口の79.5%に相当します。そのうち9.17%は12歳未満であり、若い世代がサイバー脅威にさらされる可能性も高まっています。
通信・デジタル大臣ムティア・ハフィド氏によると、22%の子どもがインターネット利用に関する親のルールを守っていないことが明らかになっています。
さらに、インドネシアは現在、児童ポルノ事件の件数において世界第4位、ASEAN地域では第2位となっています。
このような状況を受け、プラボウォ大統領はインドネシアの子どもたちの将来を守るため、SNS利用の年齢制限に関する規制を策定するよう指示しました。
参考WEBサイト:KOMDIGI公式サイト「デジタル空間における子どもの保護に対する政府の取り組み」
SNS制限に関する規制「2026年通信・デジタル大臣令第9号」
ソーシャルメディアへのアクセスに関する規制は、2026年通信・デジタル大臣令第9号にて規定され、2026年3月28日より段階的に施行されます。
この規制の目的は、現代のデジタル社会において子どもたちを潜在的な危険から守ることです。
通信・デジタル省は、現在のデジタル空間が子どもの心理的発達にさまざまな脅威をもたらしていると指摘しています。
具体的な脅威として、以下が挙げられています。
ポルノへの接触
オンライン詐欺への接触
サイバーいじめ
電子機器への依存
SNS制限に関する具体的なフェーズは以下の通りです。
参考WEBサイト:BBC NEWS公式サイト「インドネシア政府は16歳未満の子どものSNSアカウント作成を禁止しているが、年齢確認や個人情報の保護はどうなっているのだろうか?」
Hallo!Sidoarjo公式サイト「インドネシア非欧米諸国で初めて年齢に基づいいて子どものSNS利用を制限する国となる」
第一フェーズ:SNSアカウント所有の禁止
2026年3月28日より、16歳未満の子どもによるSNSアカウントの所有に制限が課されます。
制限対象となる主なプラットフォームは以下の通りです。
- YouTube
- TikTok
- Threads
- X
- Bigo Live(ライブ配信アプリ)
- Roblox(ゲーミングプラットフォーム)
これらはインドネシアで利用率が高いサービスです。
SNSに加え、ライブ配信アプリやゲームプラットフォームも対象となっています。これらのサービスはチャット機能や共有機能などの交流機能を備えており、子どもが知らない人物と接触するリスクや危険なコンテンツに触れる可能性が高いと指摘されています。
参考WEBサイト:KUMPARAN公式サイト「16歳未満の子どもはSNS利用を許されていないのは本当か」
第二フェーズ:リスク指標に応じた公共サービスの評価
第二フェーズでは、以下のリスク指標に基づき、デジタルサービスの安全性評価が実施されます。
すべてのデジタル製品・サービス・機能は、子どもに対するリスク評価を行い、基準に適合しない場合は16歳未満の利用が制限または禁止されます。
<主なリスク評価指標>
- デジタルサービスのリスク評価
すべての製品・サービス・機能は、子どもに対するリスクレベルについて評価される必要があります。この評価は子ども向けサービスだけでなく、子どもがアクセスする可能性のあるプラットフォームにも適用されます。 - リスクレベルの分類
デジタルサービスは「高リスク」「低リスク」のカテゴリーに分類されます。 - プラットフォームリスクの評価項目
以下の評価項目が定められています。
・知らない人物との接触可能性
・ポルノコンテンツ
・暴力または危険なコンテンツへの接触
・子どもを対象とした消費者搾取
・個人情報流出のリスク
・依存症のリスク
・精神健康への影響 - リスクプロファイル
上記の評価項目のいずれかで高リスクと判断された場合、そのサービスは高リスクプロファイルとして分類されます。すべての項目で低リスクと評価された場合は、低リスクプロファイルとして分類されます。
参考WEBサイト:IDN TIMES公式サイト「通信デジタル大臣令第9号で規定されてる子供のプラットフォームリスク7つの側面」
SNS利用規制に関する課題
SNS利用規制において想定される課題として、子どもが年齢を偽ってアカウントを作成する可能性が挙げられます。
また、規制を回避するために、監視されていない別のプラットフォームへ移行するリスクも指摘されています。
こうした課題を解決するためには、親や教師が子どものデジタル利用状況を把握することが重要です。
さらに、保護者や教育関係者のデジタルリテラシー向上も不可欠とされています。
参考WEBサイト:SINDO SCOPE公式サイト「子どものSNS利用禁止は効果的か」
インドネシアが西洋諸国以外で初のSNS年齢制限導入国
利用者の年齢に応じてSNSアクセスを制限する制度は、西洋諸国以外ではインドネシアが初めての導入国とされています。
この取り組みは国際的にも注目されており、フランスのマクロン大統領はXにおいて、ニュース記事とともに「Thanks for joining the movement」と投稿し、この動きを支持しました。
フランスでも同様のSNS規制の導入が検討されています。
またASEAN地域では、マレーシア政府も子どものSNS規制導入を検討しており、今後同様の規制が広がる可能性があります。
参考WEBサイト:Hallo!Sidoarjo公式サイト「インドネシア非欧米諸国で初めて年齢に基づき子どものSNS利用を制限する国となる」
CNBC INDONESIA公式サイト「オーストラリアとマレーシアがインドネシアのルールを導入」
今回のコラムでは、インドネシアにおける16歳未満のSNS利用制限政策についてご紹介しました。
インドネシアではデジタル社会の発展とともに、プラットフォーム規制や個人データ保護など、デジタル政策の整備が急速に進んでいます。
こうした制度動向は、SNSやITサービス、デジタルビジネスを展開する企業にとって重要な事業環境の変化とも言えます。
弊社インドネシア総合研究所では、インドネシアのデジタル政策や規制動向に関する情報提供から、現地調査・市場レポートの作成まで幅広く対応しております。
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