【コラム】砂糖大国インドネシアにおける砂糖の生産・消費について

お菓子やコーヒーや紅茶にも入れることの多い砂糖。頭を使うときなどは特に甘いものを食べたくなったり、飲みたくなったりするでしょう。このように人間にとって重要なエネルギー源となっている砂糖ですが、国によって味の好みや文化が異なることから、その消費量には差がみられます。インドネシアは砂糖の生産・消費ともに世界でも常に上位に順位づけされる世界有数の砂糖大国です。今回のコラムではインドネシアの砂糖の歴史、生産と消費、そしてインドネシア独特の砂糖であるパームシュガーについてご紹介致します。

インドネシアの砂糖生産の歴史


インドネシアでの砂糖生産は、さかのぼること約1300年前のマジャパヒト王国時代に始まったとされています。当時は、シロップのようなものを作るためにサトウキビを栽培していました。その後、大航海時代を経てコーヒーや紅茶と共にヨーロッパで砂糖は絶大な人気となり、需要が増加しました。17世紀にオランダがインドネシアを植民地化すると、「強制栽培制度」によって砂糖生産を推進し、インドネシアの砂糖は世界的にも有名になりました。19世紀には、インドネシアの砂糖生産はピークに達し、世界の砂糖市場の4分の1を占めるまでに成長しました。しかし、第二次世界大戦中、日本の占領下にあった時代に砂糖生産は一時的に衰退しました。その後、インドネシアの独立後も、砂糖生産は重要な産業として残り、現在でもインドネシアは世界で7番目の生産量を誇る世界有数の砂糖生産国です。

参考:https://www.kompas.com/food/read/2020/10/15/181100375/sejarah-gula-di-dunia-sejak-kapan-dikonsumsi-oleh-manusia-?page=all
https://nationalgeographic.grid.id/read/133204677/gula-dari-suguhan-manis-sampai-industri-kolonial-belanda-di-jawa?page=all

インドネシアの砂糖生産は世界第7位

【2021年 世界のサトウキビの生産量10か国】

順位 国名 生産量(単位:トン)
1 ブラジル 715,659,212
2 インド 405,399,000
3 中国 107,258,724
4 パキスタン 88,650,593
5 タイ 66,278,506
6 メキシコ 55,485,309
7 インドネシア 32,200,000
8 オーストラリア 31,133,488
9 アメリカ 29,964,310
10 グアテマラ 27,755,313

(国連食糧農業機関データより弊社作成)


前述の通り、インドネシアの砂糖生産量は世界でも上位に位置し、全土で砂糖を生産しています。特にジャワ島とスマトラ島での砂糖生産はインドネシアの砂糖生産事業において大きな役割を果たしています。国全体の栽培面積に対してジャワ島58%、スマトラ島36%、スラウェシ島が6%を占めています。また、インドネシアの砂糖産業のうち、全体の約6割は個人農家の栽培が占めています。砂糖生産はその収益性の低さが課題であり、特に収穫作業は人手を要します。1ヘクタールあたりの生産コストは3700万~3900万ルピア(約34万4100-36万2700円)と推計されます。白糖の小売価格は1キログラムあたり1万800~1万5000ルピア(約100-140円)で推移しています。輸出に関しては、インドネシアの砂糖は、主に中国、インド、マレーシア、フィリピン、アラブ首長国連邦、アメリカ合衆国などの国々が主な輸出先です。政府は砂糖価格を安定させるために、輸入制限や輸出税などの政策を実施しています。これにより、砂糖の価格は政府によって統制されています。

参考:https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002663.html
https://www.fas.usda.gov/data/sugar-world-markets-and-trade

インドネシアは砂糖の輸入・消費大国です

【2021年 世界の砂糖の輸入量上位5か国】

順位 国名 輸入量(単位:千トン)
1 インドネシア 5,466
2 中国 5,380
3 アメリカ 3,307
4 バングラデシュ 2,806
5 アルジェリア 2,246

(出典:米国農務省データより弊社作成)

【2021年 世界の砂糖の消費量上位10か国】

順位 国名 消費量(単位:千トン)
1 インド 29,000
2 EU 17,000
3 中国 14,800
4 アメリカ 11,313
5 ブラジル 9,500
6 インドネシア 7,600
7 ロシア 6,350
8 パキスタン 6,000
9 メキシコ 4,342
10 エジプト 3,430

(出典:米国農務省データより弊社作成)

【アジア地域における1人あたりの砂糖消費量(単位:キログラム/年)】

(出典:https://landgeist.com/2023/04/11/sugar-consumption-in-asia/

インドネシアは砂糖の生産大国である一方で消費量も多く、人口増加を背景に年々消費量は増加傾向にあり、国内需要を賄うためには輸入に頼る必要もあります。砂糖の輸入量については世界第1位であり、主な輸入先は、ブラジル、タイ、オーストラリアなどです。2021年のインドネシアの砂糖消費量は約760万トンで、こちらは世界第6位です。また、インドネシア国民一人当たりの砂糖消費量は、2021年時点で年間約25キログラムと推定されています。ただし、地域によっては消費量に大きな差があり、都市部や観光地などで高い消費量が見られる傾向にあります。インドネシアでは、肥満人口が1000万人を超えると推計されることから、政府は糖類を含む飲料1リットル当たり1500 ~ 2500ルピア(約14-23円)の課税を検討しています。加糖飲料への課税に関する詳細は、関連記事「【コラム】インドネシアにおける加糖飲料の大量消費と規制動向」に記載しておりますのでご覧ください。

参考:https://www.alic.go.jp/content/001207301.pdf
https://www.fas.usda.gov/data/sugar-world-markets-and-trade

関連記事:

インドネシア独特の砂糖「パームシュガー」について

インドネシアにはサトウキビ原料の砂糖の他に、パームシュガーと呼ばれる砂糖があります。パームシュガーはヤシの花の蜜や樹液から採取することができ、色は赤茶色です。主に東南アジア、特にインドネシアやスリランカで製造されています。パームシュガーの味は後味に少し苦みがあり、ミネラルを豊富に含んでいます。パームシュガーの100グラムあたりのエネルギー量は366キロカロリーで、白糖の384キロカロリーと比べると低く、体内の血糖値の上昇も他の砂糖と比較すると緩やかです。

参考:https://www.kompas.com/sains/read/2023/03/02/080000223/apakah-perbedaan-gula-merah-dan-gula-kelapa-
https://kabarbanten.pikiran-rakyat.com/pariwisata/pr-595212807/ini-perbedaan-gula-merah-gula-kelapa-dan-gula-aren-simak-infonya?page=3
https://macaro-ni.jp/97400


本コラムではインドネシアの砂糖生産・消費そしてインドネシア独特のパームシュガーに関してご紹介致しました。古くは大航海時代からそして植民地時代を経てインドネシアは砂糖大国として世界で有名になりました。現在では消費量も世界トップレベルで、国内の生産ではその消費量に追いつかないほどです。インドネシアの人々がいかに甘い食べ物や飲料を好んでいるかということがお分かりいただけたと思います。

また、インドネシアは砂糖の他にもコメ、ピーナッツ、大豆などの生産も盛んな農業大国です。弊社インドネシア総合研究所はインドネシア全土に広大なネットワークを持つため、「はちみつ」「チョコレート」「コーヒー」などの食品や、インドネシアの豊富な「燃料」「紙・木材といった素材」をはじめとした天然資源、その他アブラヤシなどのインドネシアの天然産品の輸入等、皆様のビジネスをお手伝いさせて頂きます。
これらインドネシアビジネスに興味のある皆様、どうぞ弊社までお気軽にお問合せ下さいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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