【コラム】2024年ラマダンにおけるインドネシアの人々の購買動向
イスラム教徒が断食を行うラマダンが、今年 は3月10日(日)から、4月9日(火)で行われました。ラマダン期間中は、断食明けのレバランへ向けて買い物需要が高まり、インドネシア経済が活発になる時期です。
今回のコラムでは、2024年のラマダンにおけるインドネシアの人々の購買動向についてご紹介します。
2024年インドネシアにおけるラマダン期間中の支出の項目
以下は、インドネシアにおけるラマダン期間中の支出の項目について、オンライン調査会社Jakpatが1200人を対象に行った調査の結果です。
出典:Good Stats Alokasi Belanja masyarakat Indonesia Saat Ramadhanを基に弊社作成(2024年4月7日)https://goodstats.id/article/daya-beli-masyarakat-ri-saat-ramadhan-beli-pakaian-sekaligus-sedekah-ib7rn
上図より、衣服について回答者の92%が購入すると回答しています。
インドネシアでは、レバラン(断食開けの大祭)で家族や親戚と集まる際、新しい服を着るという習慣があります。そういった理由もあり、衣服の購入の割合が高い傾向にあります。
衣服の次に多いのは、礼拝用具で回答者の65%が購入すると回答しています。
また、女性はアクセサリーやメイク用品を購入する傾向にあり、男性はデジタル機器や家電を購入する傾向にあるようです。
ラマダン期間は、THRとよばれるラマダン手当が支給されるため、通常より購買意欲が高まる傾向にあります。
2024年ラマダン ・レバラン期間の特別な支出として充てる項目
下図も、オンライン調査会社Jakpatが1200人を対象に行った調査の結果です。
出典:Good StatsPengeluaran Masyarakat Indonesia Saat Ramadhanを基に弊社作成(2024年4月7日)https://goodstats.id/article/daya-beli-masyarakat-ri-saat-ramadhan-beli-pakaian-sekaligus-sedekah-ib7rn
上図より一番多いのが、「Zakat(ザカート)」であることがわかります。
Zakatとは貧乏な人への施し・喜捨のことを指し、イスラム教における第三の義務とされています。
また二番目に多い、「Buka bersama(ブカ ブルサマ)」は、ラマダン期間中の日没後、仲間と一緒に食事をとる習慣のことを指します。
インドネシアの人々はBuka bersamaの習慣を大切にしており、ラマダン期間中は日没に向けてレストランに集まり友人や家族と食事をとる人が多いため、ここに支出を充てる人の割合も多いようです。
その他には、ラマダンの際の食事代やレバランの家族との休暇や帰省に支出を当てたいと考えている人が多くなっています。
ラマダン期間中は、特別な支出があることが分かります。
2024年ラマダン期間中のオンラインショッピングのトレンド
2024年ラマダン 期間中にオンラインショッピングをした人の割合は、通常のセール時に比べて58%も増加していることがわかっています。
また、ラマダンがはじまった最初の週に商品を購入した割合が多いこともわかっています。
以下は、インドネシアで人気のECサイトTokopediaでラマダン期間中に売上が伸びた商品です。
- 自動車・バイク関連グッズ:通常の約3.5倍の売上
車のマットレス、枕、モーターオイル、バイクジャケット、車のセンサーとカメラなど - レディースファッション;通常の4倍の売上
ドレス、ローファー、ヒール - 食料品:通常の5倍
小包装、かごに入っているお菓子、ビスケット、ウエハース、プリン、ゼリー - 子供服、ベビー服:通常の5倍
ベビー服、子供用サンダル、お洒落着、ズボン、カーディガン - イスラム教徒用のファッション:通常の12.5倍
イスラム教徒の洋服(カフタン、ガミス)、レバランに家族で着る服
移動手段としてバイクを使用するインドネシアにおいて、バイクなどの関連グッズの売上が上がっていることがわかります。
また、イスラム教徒用のファッションの売上は通常時の12.5倍となっています。
新型コロナウイルスパンデミック以降、オンラインショップを利用する人の割合が増えているインドネシアでは、今後もラマダン期間中の消費において、ECサイトでの販売動向を注視していく必要があるでしょう。
ラマダン期間中のオンラインショッピングでの購入のタイミング
ラマダン期間中のオンラインショッピングにおいて、多くの消費者はラマダンが始まる数日前〜1週間前に買物の計画を立てていることがわかっています。
また、ラマダン開始後の最初の数週間は、家庭用品のニーズが高まり、その後にイスラム教徒のファッション用品へのニーズが高まります。
また、ラマダン期間中の商品の購入への流入経路としては、Google検索に加えYouTubeからの割合も多くなっており、YouTubeの影響力が高まっていると言えます。
インドネシアのECサイト運営側は、ラマダン期間より前からラマダン 割引の告知をしたり、YouTubeの広告を仕掛けていくことが大切になってくることがわかります。
参考WEBサイト:https://money.kompas.com/read/2024/04/05/151600626/google–orang-indonesia-yang-belanja-online-selama-ramadhan-naik-2-kali-lipat
https://pressrelease.kontan.co.id/news/tokopedia-dan-tiktok-ungkap-tren-belanja-online-jelang-lebaran-2024
今回のコラムでは、2024年のインドネシアのラマダンにおける購買動向をご紹介しました。
オンラインショッピングへの需要が高まっているインドネシアにおいて、ラマダン期間中のオンラインショッピングでの経済効果は非常に高いです。
インドネシアでビジネスを展開する際、ラマダン期間中の消費の傾向について知っておくことは非常に重要であると言えます。
弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。
インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。