【コラム】インドネシアにおける電子タバコVAPEについて②(物品税率引き上げ)

前回のコラムでは、喫煙大国インドネシアのVAPE事情について、VAPEがインドネシア国内にて普及した背景とそれに伴う健康被害についてお伝えいたしました。(詳しくは弊社コラム「【コラム】インドネシアにおける電子タバコVAPEについて①健康被害」をご覧ください。) インドネシアのVAPE事情について2回にわたる連載の2本目の本コラムでは、VAPEを含めたタバコ製品の物品税の観点から、インドネシアにおける電子タバコVAPEをめぐる状況についてご紹介いたします。


インドネシアのSri Mulyani Indrawati財務大臣は、2021年12月、タバコ、葉巻、Klobot(乾燥したトウモロコシの殻にタバコの葉を包んだもの)、TIS (Tembakau Iris:タバコの葉を細かく刻んだもの) 、そしてVAPEなどのタバコ製品の物品税率に関する新たな規制を正式に規定しました。そこでタバコ製品の物品税は平均12%引き上げられることになり、2022年1月1日から施行されました。同大臣によると、この決定はジョコ・ウィドド大統領による直接の要請であったとのことです。

Sri Mulyani Indrawati財務大臣

今回のタバコ製品の物品税率引き上げには、政府の4つの目的が込められています。それらは財務省傘下の政府機関である関税および物品税総局のAskolani 局長により公開された4つの目的とは以下の通りです。

①未成年のタバコ製品喫煙率を15%削減すること。
②2022年国家予算におけるタバコ製品の物品税収入を、前年比11.4%増の193兆ルピア(1兆7600万円)とすること。
③タバコ産業の労働者の生活を考慮し、タバコ産業の継続を確保すること。
④違法タバコ製品の蔓延を牽制すること。


インドネシアでは、2019年にタバコ製品の物品税率が見送られた際はタバコの消費量が7.4%増加し、翌2020年にタバコ製品の物品税率が引き上げられた際にはタバコの消費量が9.7%減少したという過去の事例があります。このことから、2022年のタバコ製品の物品税率上昇では、上述政府目的①の「タバコ製品の国内消費量の減少」が多いに期待されています。一方で、タバコの値上げに伴い国内で違法タバコの生産に拍車がかかる恐れがあるため、インドネシア政府は④の様に違法なタバコの生産に対する監視を強化する必要性も強調しています。


また、2022年のタバコ製品の物品税率増加に伴い、インドネシア政府は同物品税の税収の分配も変更すると発表しました。新たな計画では、税収のうち25%がヘルスケア分野に、50%が地域福祉分野に、そして25%が法執行機関の予算に充てられるとのことです。

前回のコラム「【コラム】インドネシアにおける電子タバコVAPEについて①(健康被害)」でご紹介した様に、VAPEを始めとするタバコ製品の普及により政府が頭を悩ませていた中、タバコ製品の物品税率引き上げを以てタバコ消費量への歯止めをかけただけでなく、インドネシア政府が重きを置く他分野の予算増額へと繋げました。

ヘルスケア分野や地域福祉分野は、人口の増加や新型コロナウイルス感染症等への対処として、今後更に成長を促進していく分野であるため、今回のタバコ製品の物品税率引き上げは、社会の健全性を重視したインドネシア政府の采配と言えるでしょう。一方、今回の政策が施行されてから未だ約7ヶ月しか経過していないことから、インドネシアにおけるVAPE事情の更なる変化については今後も注目していく必要がありそうです。

今回の2回にわたる連載では、健康被害及びタバコ製品の物品税の2つの観点からインドネシアのVAPE事情についてご紹介させていただきましたが、如何でしたでしょうか。弊社インドネシア総合研究所では、インドネシアにおける様々な産業分野について市場調査や情報提供を行っております。

タバコ製品を始め、東南アジアNo1の人口とそれに伴う巨大な個人消費量を背景としインドネシアのマーケットへの進出にご興味のある皆様、是非弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせください。

インドネシアに複数拠点を持つ強力なチームと国内外の充実したスタッフが皆様の商品特性に合わせた最適な進出方法をアドバイスさせて頂きます。

株式会社インドネシア総合研究所
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