【コラム】インドネシアにおける新型コロナウイルスワクチン接種状況
世界で猛威を奮っている新型コロナウイルスですが、インドネシアにおいても感染拡大が止まらず、今年7月にはインドネシアにおける1日の新規感染者数が5万人を超えています。
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるべく各国はワクチンの接種を進めていますが、インドネシアにおける新型コロナウイルスのワクチンの接種状況はどのようになっているのでしょうか。
今回のコラムでは、2021年8月時点でのインドネシアにおける新型コロナウイルスのワクチン接種状況やワクチンの今後の見通しについてご紹介していきます。
インドネシア国内のワクチン接種状況
2021年8月7日時点で、インドネシアにおけるワクチン接種状況は以下の通りです。
Data Vaksinasi COVID-19 (Update per 7 Agustus 2021)より弊社作成(2021年8月7日)
参考:https://covid19.go.id/berita/data-vaksinasi-covid-19-update-7-agustus-2021
インドネシアにおいて、ワクチンの1回目の接種が終了した人数は約5000万人で、2回目の接種が終了した人数は約2300万人となります。
接種目標人数の約2億800万人に対して、2回の接種が終了している人の割合は僅か11%となり、目標人数に到達するにはまだ時間が掛かりそうです。
また、地域別でみるとバリ、ジャカルタ、ジョグジャカルタなどの大都市においてワクチンの接種率が高いことが分かっています。
参考WEBサイト:https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/countries-and-territories/indonesia/
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/
https://www.kompas.com/tren/read/2021/06/01/170000265/vaksinasi-covid-19-capai-27-juta-ini-5-provinsi-cakupan-tertinggi?page=all
インドネシアで承認されている新型コロナウイルスのワクチンの種類
日本において新型コロナウイルスのワクチンとして薬事承認されているワクチンは、ファイザー社製、モデルナ社製、アストラゼネカ社製のワクチンとなっていますが、インドネシアではどうでしょうか。
インドネシアにおいて国内緊急使用が承認されているワクチンはシノバックス社製、アストラゼネカ社製、シノファーム社製、ファイザー社製の4種類です。
それぞれの特徴は以下の通りです。
シノバックス社製ワクチン
原産国:中国
成分:不活性ウイルス
副作用:接種部分のかゆみ・痛み、眠気等
有効性:65.3%
その他:-2℃〜-8℃の冷凍庫で保管することが可能なため、ワクチン保管設備を多くもたない発展途上国にとって、管理しやすい。インドネシアで一番最初に使用が許可されたワクチン
参考WEBサイト:https://www.kompas.com/sains/read/2021/05/03/190200023/3-vaksin-covid-19-di-indonesia-perbedaan-vaksin-sinovac-astrazeneca-dan?page=all
https://www.bbc.com/indonesia/dunia-57035338
アストラゼネカ社製ワクチン
原産国:イギリス
成分:ウイルスベクター
副作用:接種部分の腫れ・痛み、倦怠感、発熱、頭痛、吐き気等
有効性:70.4%(2回の接種完了後)
その他:日本より約100万回分のワクチンを無償提供
シノファーム社製ワクチン
原産国:中国
成分:不活性ウイルス
副作用:接種部分の腫れ・痛み、頭痛、下痢、筋肉痛、咳等
有効性:78%
その他:輸入先として一番多い国がインドネシアで、シノファーム社のワクチンシェア率13%を占める
参考WEBサイト:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/9678a868bdf7fbb7.html
ファイザー社製ワクチン
原産国:アメリカ・ドイツ
成分:mRNA
副作用:接種部分の腫れ・痛み、疲労、寒気、発熱等
有効性:95%
その他:インドネシアの保健所が今年7月に緊急使用許可を出したばかり。8月からワクチンが順次到着予定
参考WEBサイト:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%AE%E
7%A8%AE%E9%A1%9E,%E3%81%A0%E8%A3%BD%E5%89%A4%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
https://lifestyle.kompas.com/read/2021/07/15/155004420/kenali-6-jenis-vaksin-covid-19-yang-dipakai-di-indonesia?page=all
上記のワクチンのうち、インドネシア国内で一番多く打たれているワクチンはシノバック社製のワクチンとなります。
また、政府の接種プログラム(無料)では、シノバックス社・アストラゼネカ社・ファイザー社のワクチンが使用され、民間の接種プログラム(有料)では、シノファーム社のワクチンが使用されています。
インドネシアにおいて承認されているワクチンのうち、シノバックス社とワクチンとシノファーム社のワクチンは日本では薬事承認されていないワクチンとなります。
参考WEBサイト:https://carnegieendowment.org/2021/08/05/how-global-vaccine-divide-is-fueling-indonesia-s-coronavirus-catastrophe-pub-85107
https://www.kompas.com/sains/read/2021/05/03/190200023/3-vaksin-covid-19-di-indonesia-perbedaan-vaksin-sinovac-astrazeneca-dan?page=all
インドネシアにおけるワクチンの今後の見通し
インドネシア政府は、8月中に合計4億回分のワクチン(ファイザー社・アストラゼネカ社・シノバックス社・モデルナ社)の供給を受ける予定であることを発表しています。
政府はこのワクチンを使用し、2022年3月までに1億8100万人のワクチン接種を完了することを目標に掲げています。
また、インドネシア政府は2021年1月以降、ワクチン接種について接種対象を段階的に分けてワクチン接種を実施しています。
医療従事者と公務員が優先的に接種を行う第1フェーズから始まり、現在早い地域では第3フェーズに到達しています。
第3段階のフェーズのワクチン接種は、貧しいコミュニティにいる人々や、12歳〜17歳の子供などが対象となっています。
この第3フェーズのワクチン接種が完了すると目標の1億8100万人に達するとされています。
参考WEBサイト:https://carnegieendowment.org/2021/08/05/how-global-vaccine-divide-is-fueling-indonesia-s-coronavirus-catastrophe-pub-85107
https://www.biofarma.co.id/id/berita-terbaru/detail/bio-farma-terus-distribusikan-vaksin-covid19-ke-34-provinsi-di-indonesia-
https://www.kemkes.go.id/article/view/21070200001/vaksinasi-tahap-3-dimulai-sasar-masyarakat-rentan-dan-anak-usia-12-17-tahun.html
https://sehatnegeriku.kemkes.go.id/baca/umum/20201229/3036076/dimulai-januari-berikut-jumlah-sasaran-vaksinasi-covid-19-indonesia/
新型コロナウイルスの感染が拡大しているインドネシアにおいて、ワクチンを接種し集団免疫を獲得することは急務であり、世界人口第4位を占めるインドネシアのワクチン接種状況は今後も注目すべきトピックであると言えます。
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