【コラム】インドネシアの医療機関の数とその分類について

インドネシアの健康・医療事情については当コラムでも度々ご紹介してまいりましたが、インドネシアでは生活水準・購買力の高まりによって、中間層以上の特に富裕層の間で健康意識が高まっています。
弊社も非常に注目している分野であり、今後ビジネスのチャンスが大いにあると考えています。
インドネシアでは2014年に国民皆保険が導入されましたが導入以降赤字が続いており、インドネシア政府としても治療ではなく予防医療に力を入れていきたいという意向を示しています。
インドネシアは人口が増加し、また、経済的に豊かになっていることから、医療サービスの必要性が高まっており、病院やクリニックなどの数も増加傾向にあります。
では、インドネシアの病院やクリニックの数、種類は一体どのようになっているのでしょうか?
インドネシアの病院の数
インドネシアの病院、クリニックの種類は以下の通りです。
管轄は複数に分かれており、現在インドネシアで運営されている病院の半数以上が私立であることがわかります。
インドネシア国内の病院の管轄別件数(2018年)
管轄 | 政府 | 地方政府 | 私立 | 合計 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
保健省 | 警察 | 軍 | 保健省 以外の 省庁並 びに国 営企業 | 州政 府 | 県立 | 市立 | |||
合計 | 33 | 45 | 120 | 68 | 141 | 529 | 90 | 1,787 | 2,813 |
インドネシア国内のクリニック数(2018年)※州は抜粋
州 | 総合クリニック | 専門クリニック |
---|---|---|
ジャカルタ | 207 | 651 |
ジョグジャカルタ | 22 | 919 |
西ジャワ | 168 | 180 |
バリ | 24 | 152 |
パプア | 5 | 33 |
北カリマンタン | 0 | 1 |
インドネシア合計 | 924 | 7,917 |
インドネシア国内のプスケスマス(Puskesmas=保健センター)の数(2018年)※抜粋
プスケスマスとはインドネシアの県や市が運営する保健所で、検診、診療、出産や治療も
対応可能な機関です。プスケスマスの件数の推移は以下の通りです。
州 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
---|---|---|---|---|---|
ジャカルタ | 340 | 340 | 340 | 340 | 321 |
ジョグジャカルタ | 121 | 121 | 121 | 121 | 121 |
西ジャワ | 1,050 | 1,050 | 1,050 | 1,056 | 1,069 |
バリ | 120 | 120 | 120 | 120 | 120 |
パプア | 394 | 394 | 394 | 394 | 408 |
北カリマンタン | 48 | 49 | 49 | 49 | 56 |
インドネシア合計 | 9,731 | 9,754 | 9,767 | 9,825 | 9,993 |
出典:インドネシア保健省、「インドネシア健康プロフィールデータ2018」より弊社作成
https://www.depkes.go.id/resources/download/pusdatin/profil-kesehatan-indonesia/Data-dan-Informasi_Profil-Kesehatan-Indonesia-2018.pdf
公立病院の分類
インドネシアでは、公立病院は施設の規模や設備、専門医の有無や病棟の数、対処可能な疾病などに基づきランクが与えられます。
分類基準は以下の通りです。
カテゴリ | 提供サービス |
---|---|
クラスA | 広範囲にわたって、専門的な診療サービスの提供診療や 診療科横断での サービス提供が可能 |
クラスB | 広範囲にわたって、専門的な診療サービスと、限定的な診療科横断での サービス提供が可能 |
クラスC | 基礎的な4分野(外科、内科、小児科、産婦人科)において、 専門的な診療サービス提供が可能 |
クラスD | 最低限の基礎的な医療機器・施設が揃えられている |
Aクラスは多くの専門科を有し高度な診療を行う最高峰レベルの病院で、最も下のランクであるDクラスは総合診療科が中心の病院となります。
2次医療の提供が可能な医療機関はA、Bクラスに限定されており、更にジャカルタなどの都市部に集中しています。
クラス別の病院の件数は以下の通りです。
クラスA | クラスB | クラスC | クラスD | 未分類 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
病院の件数 | 63 | 411 | 1,451 | 799 | 89 | 2,813 |
出典:インドネシア保健省、「インドネシア健康プロフィールデータ2018」より弊社作成
https://www.depkes.go.id/resources/download/pusdatin/profil-kesehatan-indonesia/Data-dan-Informasi_Profil-Kesehatan-Indonesia-2018.pdf
上述の通り、インドネシア政府としては長期的な視点で治療から予防医療へのシフトを視野に入れてはいるものの、人口増加に対応するためには病院やクリニックの数の数の確保が必要となるでしょう。
また、インドネシアでは地域格差も大きく、地域によって医療機関の数や病院の種類などバラつきがあることも課題の一つと言えるでしょう。
弊社は、インドネシア医師会の役員を医療コンサルタントとして迎え、医療に関して幅広いサポートが可能です。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。



