【アルビー日記】面接10分でインドネシア人材の本質はわかるか?——「育成型採用」が変える外国人材採用の常識

近年、日本企業における外国人材採用では、依然として「面接中心主義」が主流となっています。しかし、わずか10分から30分の面接で、人材の本質や将来性を正しく見極めることは本当に可能なのでしょうか。インドネシアをはじめとする海外人材の採用・育成を専門とする現場からは、この問いに対して明確な問題提起がなされています。それが「面接不要論」という考え方です。
本コラムでは、インドネシア人材の育成・採用に深く携わってきた現場の知見をもとに、従来の面接中心主義が抱える本質的な課題と、これからの外国人材採用に必要な新しいアプローチについて解説します。インドネシアとの人材交流を検討されている企業の方々にとっても、重要な示唆を含む内容となっています。
面接では「本質」は見えない——インドネシア人材採用に潜む構造的な課題
従来の採用現場では、面接における日本語の流暢さ、その場での受け答えの巧みさ、面接官への印象、そして紹介者やマネージャーによる説明などを総合して合否が判断されることが一般的です。しかし、インドネシア人材の育成を長年にわたって行ってきた現場では、こうした評価要素が必ずしも「実力」や「職場での適性」と一致しないことが明らかになっています。
特にインドネシアをはじめとする海外人材の採用においては、次のような構造的な問題が顕著に現れます。まず、面接対策のための「練習」によって表面的な回答が洗練されてしまい、応募者の素の姿が見えにくくなるという問題があります。次に、送り出し機関や教師による説明がバイアスとなり、採用担当者の判断に影響を与えることがあります。さらに、短時間の面接ではポテンシャルの誤った判断につながりやすく、実際の職場文化とのミスマッチが入社後に発覚するケースも少なくありません。
つまり、面接という場は「演技の場」になりやすく、インドネシア人材の本質的な評価手段としては限界があるといわざるを得ません。このことは、インドネシアに限らず外国人材採用全般に共通する課題でもありますが、文化的・言語的な距離が大きい分、インドネシア人材においてはその影響がより顕著に現れると言えるでしょう。
評価すべきは「結果」ではなく「プロセス」——成長の軌跡こそが本質
では、面接に代わって何を評価すべきなのでしょうか。答えは明確です。日々の学習と行動の「プロセス」、すなわち成長の軌跡(Progress)こそが、人材の本質を映し出すものです。
インドネシア人材育成の実践現場では、以下のような指標が重視されています。毎日の学習態度と継続力、課題への取り組み方、改善のスピード、自己理解の深さ、そして目標に向かう本気度——これらは一度の面接では絶対に見えません。しかし、日々の積み重ねの中では明確に、そして正直に現れてきます。
インドネシアで人材育成に携わる教育機関「Soken School」では、こうした観点からカリキュラムが設計されており、育成期間を通じた成長の記録が採用判断の重要な資料となっています。短期間の面接だけでは見えない「人の深さ」を、継続的な観察によって引き出すアプローチが実践されています。
この考え方は、インドネシア人材の採用を検討している日本企業にとっても非常に示唆的です。採用の基準を「面接でのパフォーマンス」から「成長のプロセス」へとシフトすることで、より適切なマッチングが可能になるからです。
出発点は「母語での自己理解」——日本語能力よりも大切なこと
インドネシア人材の採用・育成において、見落とされがちな視点があります。それは、「言語能力」以前の問題として、応募者自身が自己を正確に理解しているかどうかという点です。
多くの教育現場では、日本語での受け答えの練習ばかりが重視される傾向があります。しかし本来問われるべきは、自分は何をしたいのか、なぜ日本に行きたいのか、なぜその職種を選ぶのか、自分の強みと弱みは何か——これらを、まず母語であるインドネシア語で明確に言語化できるかどうかです。
自己を深く理解し、それを言葉にできる人材こそが、異文化の職場においても芯を持って働くことができます。インドネシア人材の育成現場では、このプロセスを「自己の霧を言語化する作業」と表現しています。母語での自己理解なくして、日本語での自己表現は成立しません。インドネシア語という母国語でまず自分を知り、それを日本語という第二言語で伝えていく——この順序が、人材育成においては極めて重要なのです。
面接対策よりも「パーソナル・ブランディング教育」が必要

現在、インドネシア人材向けの日本語教育機関や送り出し機関の多くが「面接練習」を提供しています。模擬面接、想定問答集の暗記、礼儀作法のトレーニング——こうしたプログラムは確かに表面的な対応力を高めますが、本質的な課題の解決にはなっていません。
本当に必要なのは、「パーソナル・ブランディング教育」です。自分自身を深く理解し、それを一貫したストーリーとして語ることができる力——この力こそが、インドネシア人材が日本の職場で長く活躍するための根幹となります。
パーソナル・ブランディングの力が育まれて初めて、文化的な差異を正しく理解し、日本社会で受け入れられる表現を身につけ、実際の職場環境に適応していく段階へと進むことができます。インドネシア人材の採用・育成においては、この土台づくりが最も重要であり、それなくして面接の合否を議論しても、採用後のミスマッチを防ぐことはできません。
面接は「最終確認」に過ぎない——採用プロセスの再設計
以上の考え方を踏まえると、面接の位置づけは根本的に変わるべきです。従来は「面接=合否判断の場」とされてきましたが、これからは「面接=参考情報・最終確認の場」へと変化すべきでしょう。
具体的には、人柄の雰囲気の確認、コミュニケーションの最終チェック、文化適応の感触確認——こうした補助的な役割に面接を位置づけることが適切です。採用の主要な判断材料は、育成期間中のプロセスデータ、学習記録、行動の変化に置かれるべきです。
インドネシア人材の採用において、このような発想の転換を実践している企業や機関はまだ少ないのが現状です。しかし、採用後の定着率や職場でのパフォーマンスを考えると、このアプローチが中長期的に優れた成果をもたらすことは明らかです。
業界ごとに「求める人材像」は異なる——インドネシア人材の適性を正しく見極める
インドネシア人材を採用する際にもう一つ重要なのは、業界によって求められる資質が大きく異なるという点です。
たとえば、IT業界で求められるのは創造性、論理的思考力、スピード感であり、必ずしも厳格な規律よりもアウトプットの質が重視されます。一方、製造業においては、規律・安全意識・正確性が最優先とされ、これらの欠如は直接的に事故リスクや品質問題に直結します。
つまり、「誰が優秀か」という一元的な評価基準ではなく、「どの環境に適しているか」という多面的な視点でインドネシア人材を評価することが、採用の精度を高める上で欠かせません。インドネシアにはさまざまな特性・強みを持つ人材が豊富に存在します。その多様性を正しく理解し、業界・職種ごとの適性を丁寧に見極めることが、採用成功への鍵となります。
新しい採用モデル——「見て、育てる」という発想へ
これからの外国人材採用、とりわけインドネシア人材の採用は、次の根本的な考え方の転換を必要としています。「人を10分で判断するのではなく、時間をかけて成長を見て、未来を共につくる」という発想です。
Soken-Schoolが提唱するのは、「ゼロから育てる」育成型採用モデルです。このモデルでは、採用前の段階から人材育成が始まり、日々の学習記録・行動データが蓄積されていきます。採用企業は面接という一点の評価ではなく、数十日・数百日に及ぶ成長の軌跡を参照しながら採用判断を行うことができます。これにより、採用後のミスマッチが大幅に低減され、インドネシア人材と受け入れ企業の双方にとって納得感の高いマッチングが実現します。
インドネシア人材の採用を検討されている日本企業の方々にとって、このような育成型採用モデルは、単なる「人材確保」から「組織の未来を共に築くパートナーシップ」への転換を意味するものです。
まとめ——面接不要論が示す、インドネシア人材採用の未来
「面接不要論」とは、面接という手続きを完全に否定するものではありません。それはむしろ、評価の軸を変えること、人材を見る時間軸を変えること、そして教育と採用を一体化することを意味しています。
インドネシア人材の採用において、この三つの変革を実践することができた企業は、採用コストの削減・定着率の向上・職場環境の活性化という形で、具体的な成果を手にすることができるでしょう。
日本とインドネシアの間では、特定技能制度をはじめとするさまざまな人材交流の仕組みが整備されつつあります。その中で、採用の「質」を高めるための思想的な転換が、今まさに求められています。面接不要論が示す未来とは、「信じて、見て、育てる」採用——人を短時間のパフォーマンスで判断するのではなく、その人の成長の可能性に投資する採用のあり方です。
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