【コラム】インドネシア人の健康意識の向上とインターネットの活用について~後編~

前編では、インドネシア、特にジャカルタの人々の健康意識や、インドネシア全体の健康意識の高まりについてご紹介いたしました。

後編では、医療とインターネットの関係についてご紹介したいと思います。

インドネシアでは、医療へのアクセスはどのような状況なのでしょうか?

IHME(Institute for Health Metrics and Evaluation/米国ワシントン大学保健指標評価研究所)の報告によると、個人の医療サービスの利用とその質は1990年から2016年にかけて徐々に向上しているようです。

医療へのアクセスと質を評価する定量的指数「HAQ Index/Healthcare Access and Quality Index)」にて示されています。

2015年時点で世界195か国のうち第11位だった日本と比べると、インドネシアの方が数値はまだ低い状況にありますが、両国とも年々HAQ Indexが上昇していることがわかります。

 

インドネシアと日本における医療へのアクセスと質のインデックス(HAQ Index)

出典:IHME, http://www.healthdata.org/より弊社作成(閲覧:2019年3月6日)

2016年10月、インドネシアの12都市で実施されたKompasの研究開発調査の結果によると、97%近くが日常的な健康診断が有益であると気付いていると報告されました。

しかし、そのうち定期的に総合的な健康診断を実施しているのは実際には3人に1人だけでした。

更に、定期的に健康診断を受けている人のうち約72%が大学の卒業者でした。

健康診断を定期的に受けない人々のその理由としては、医療機関に行くことに慣れていない、悪い結果が出るのが怖い、健康診断の費用がもったいない、といった回答が多く挙がっているようです。

出典:Majalah Kartini (閲覧:2019年3月6日)
https://majalahkartini.co.id/keluarga-karier/kesehatan/rendahnya-kesadaran-masyarakat-untuk-cek-kesehatan-rutin/

 

目次

インターネットとネットヘルスケアの普及

インドネシアにおけるインターネットとスマートフォンの使用については急速な発展が見受けられます。

現在、デジタル技術やWEBサイト、アプリなどの導入は様々な種類の情報が健康分野にも導入されています。 デジタル技術の使用で健康サービスのユーザに対応することができます。2016年のインドネシアインターネット・プロバイダーサービス協会(APJII/Asosiasi Penyelenggara Jasa Internet Indonesia)の調査結果によると、インドネシアのインターネット利用人口は全人口の約52%に当たる約1.3億人に上ります。

また、そのうちスマートフォンを使用して情報にアクセスするインドネシアのインターネットユーザー数は約48%で、人口にして約6,310万人となります。

また、全インターネット利用者のうち、健康情報に関するコンテンツを利用したのは約1,830万人、つまり全インターネット人口の約13.8%であったと報告されています。

出典:Informatika Kesehatan, Akses Kesehatan di Genggaman Pasien Zaman Now
http://informatikakesehatan.net/akses-kesehatan-di-genggaman-pasien-zaman-now/ ( 閲覧:2019年3月6日)

 

健康に対する意識の高まりに伴い、質の高い医療情報へのアクセスできるサービスの提供も増えています。

例えば、健康関連のアプリやポータルサイトは増加傾向にあるようです。

今インドネシアで人気のある健康に関するコンテンツは以下の通りです。

出典:Indonesia’s Digital Healthcare Service Penetration Survey, DailySocial id , 2016より弊社作成
https://dailysocial.id/report/post/indonesias-digital-healthcare-services-penetration-survey (閲覧:2019年3月4日)

上記のサービスより一部をご紹介いたします。

 

Halo Doc

https://www.halodoc.com/aplikasi-halodoc

病院に行かなくても電話やテレビ電話で医師に病気の相談ができるアプリケーションです。

相談料は、6万~12万5千ルピア程度(日本円で500円〜1000円程度)に設定されています。

 

Alodokter

https://www.alodokter.com/landing

病気や薬、健康的なライフスタイルなど様々な記事載っています。

「Tanya Dokter(医師に相談)」という機能では相談を投稿でき、「Chat BersamaDokter(医師にチャット)」では医師とプライベートチャットができます。どちらも無料のサービスです。

 

Ovula

http://www.ovula.org/

妊娠や生理などに関する情報を管理することができます。

 

ATM Sehat (健康ATM)

最近、新たにインドネシアではATM Sehatという健康サービスが導入されました。

TeleSehat Indonesia社が始めたこのサービスは、お金を引き出すためのATMではなく、人々が簡単に健康状態をチェックするための機械です。

ATM SehatはAnjungan Telehealth Masyarakat Sehat(健康的な社会の遠隔医療パビリオン)の略となっています。

ATM Sehatは、利用する人が簡単に健康状況を知るための機械です。ATM Sehatは血圧、血糖値、コレステロール、体重などの健康状態をチェックする機能があります。

さらに、その場で専門家の指導が受けられるオンライン健康相談、医療用品を購入できるオンライン薬局、健康情報を自動記録できる機能があります。救急車の位置情報、またその他の健康情報に関するボタンも備わっており、わざわざ病院やクリニックに行かなくても気軽に健康管理の第一歩が踏み出せます。

病院で健康診断を受ける文化が根付いておらず、また渋滞なども深刻なインドネシアでは有効な手段なのではないでしょうか。

画像の引用:https://tsi.co.id/ より

 

いかかでしたか。

インターネットやスマートフォンの発達により、以前よりも圧倒的に健康に関する情報が手に入れやすくなりました。さらにインドネシアでは健康意識の高まりと相まって、病気や健康関連のインターネットサービスが次々と生まれています。

今後もインドネシアのネットヘルスケア市場には大きな成長が期待できそうです。

インドネシアの健康関連の情報については、併せて下記の記事もご覧ください。

 

■インドネシアの肥満率と健康ブーム
https://www.indonesiasoken.com/news/column-himanritsutokenkoubu-mu/

■インドネシアと野菜と果物の消費量
https://www.indonesiasoken.com/news/colume-yasaitokudamono/

インドネシアの健康事情

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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