【コラム】インドネシアが抱える健康問題と増える保健省予算

インドネシアでは近年、都市部を中心に健康に対する意識が高まりつつあり、弊社のコラムでも過去に何度かインドネシアの医療や健康事情についてご紹介しております。

インドネシアは、以前では感染症による死亡数が最も多かったのですが、近年ではいわゆる「生活習慣病」による死亡数が増加傾向にあります。

2014年に健康保険制度が導入されましたが、以降赤字が続いており、保健省の予算も年々増加しているのが現状で、肥満や生活習慣病の増加からインドネシアでは健康問題が深刻な問題として扱われています。

インドネシアで多い死因の順位は以下のように変化しています。

2007年 2017年
1 新生児障害 脳卒中
2 脳卒中 虚血性心疾患
3 虚血性心疾患 新生児障害
4 結核 糖尿病
5 下気道感染症 結核
6 下痢性疾患 肝硬変
7 肝硬変 下痢性疾患
8 交通事故 交通事故
9 先天性欠損 下気道感染症
10 糖尿病 慢性閉塞性肺疾患
11 慢性閉塞性肺疾患 先天性欠損

出典:Institute for Health Metrics and Evaluation WEBサイトより弊社作成 (閲覧日:2019年11月14日)
http://www.healthdata.org/indonesia

 

インドネシアではここ数年の目まぐるしい経済成長により、特に都市部に住む人々のライフスタイルが大きく変わりつつあります。

その結果、不健康な食生活や運動不足が大きな要因となり、生活習慣病に罹患する人が増加しました。

2017年、インドネシア人の5人に1人は脳卒中で死亡しております。また、患者の大半は都市部に集中しています。

 

肥満の割合

インドネシアでは近年、肥満の増加が問題視されています。

インドネシアの成人の肥満割合は以下の通りです。

出典:インドネシア保健省、国民健康基本調査(Riskesdas)より弊社作成 (閲覧日:2019年11月15日)
http://puldata.litbang.depkes.go.id/rkd2018/#home

 

また、インドネシア保健省の調査によると、インドネシアにおける肥満率を年齢別でみると15歳以上の肥満率は35.4%に上ります。成人の肥満の割合よりもさらに上がります。

また、性別で見ると、男性の肥満率が14.5%なのに対し、女性の肥満率は29.3%と倍近い数字になっています。

地域別でみると、都市部の肥満率が25.1%なのに対し、地方は17.8%と、都市部の方が肥満率が高くなっています。

なお、40歳から44歳の層が最も肥満率が高く「29.6%」に上ります。

 

国家予算に占める保健省予算の割合

インドネシアの国家予算に占める保健省予算の割合は、年々増加しています。

出典:インドネシア財務省WEBサイトより弊社作成 (閲覧日:2019年11月15日)
http://www.data-apbn.kemenkeu.go.id/Dataset/Details/1008

2014年にインドネシアで健康保険が導入されましたが、導入以降赤字が続いている状態です。

インドネシア財務省によると、その額は今年32兆ルピアに上る見込みだそうです。

現在はたばこの税収で赤字分を一部補填している状態ですが、インドネシア政府は先日、健康保険制度に関する大統領令の改正令を制定したことを発表し、これによりBPJSのメンバーシップの費用の値上げや、手数料の引き上げが行われることになります。

また、インドネシア政府としても、今までは病気にかかってから治療をするのが基本でしたが、今後は病気にかからないような取り組みを行う “予防医療”にも力を入れたい意向を
示しています。

近年、インドネシアでは健康を気にする人が増えており、ジムや健康的な食事などへの人
気が高まりつつあります。

過去のコラムでも、インドネシアの医療・健康事情についてご紹介しておりますので是非
ご覧ください。

 

弊社はインドネシアの医療関連の調査の実績や、インドネシア医師会とのネットワークもございます。

また、インドネシア医師会の会長であるTaufik Zaman先生にも、弊社の医療コンサルタントとして所属頂いております。

 

インドネシアの医療・健康ビジネスにご興味がある方はぜひお気軽にご連絡ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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