【コラム】インドネシアの教育事情
インドネシアの子供の人口は非常に多く、14歳以下の人口でも計7,000万人以上、19歳以下の人口でみると計9,000万人以上となっています。この数字は、インドネシアの14歳以下の人口がタイの人口に匹敵する規模です。
日本では少子化が非常に大きな問題となっており、学校が閉鎖されることも珍しくありませんが、インドネシアでは未成年の人口が年々増加しているのです。
今回のコラムでは、インドネシアの義務教育の期間や就学率の推移、高校の種類などについてご説明します。
義務教育の期間
インドネシアの学校教育制度は日本と同様6・3・3制で、中学校までが義務教育となっています。
また、2015年からジョコウィ大統領の下で義務教育を高等学校までの12年間に延長する計画が上がっていますが、具体的な政策はいまだ打ち出されていません。
日本とは異なり、インドネシアでは小学校から高等学校まで全ての段階で国家統一試験(Ujian National/UN)があり、それをパスできなければ卒業できないことになっています。
かなり珍しいケースではありますが、小学生や中学生でもこのUNをクリアできず、留年をしてしまう子供がいるようです。
就学率
インドネシアの子供たちの就学率はどのくらいなのでしょうか?
インドネシアの2018年の就学率は以下のようになっています。
インドネシアにおける就学率の内訳(2018)
年齢 | 7~12歳 | 13~15歳 | 16~18歳 | 19~23歳 | |
合計 | 99.22% | 95.36% | 71.99% | 27.92% | |
性別 | 男性 | 99.17% | 94.51% | 70.98% | 27.36% |
女性 | 99.27% | 96.26% | 73.04% | 28.50% | |
地域 | 都市部 | 99.62% | 96.46% | 76.05% | 34.83% |
農村部 | 98.78% | 94.13% | 67.16% | 18.29% | |
障碍の有無 | 健常者 | 97.64% | 79.10% | 18.70% | 21.08% |
障碍者 | 89.81% | 48.78% | 7.74% | 8.70% |
出典:インドネシア中央統計庁「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
2018年の義務教育機関(小学校~中学校)のおける就学率は97.96%でした。
最も割合が高かった地域はジョグジャカルタ特別州で99.85%、一方最も低かったのはパプア州で81.69%でした。
また、小学校から高等学校までの就学率は91.60%で、9割を越える子供が中等教育を修了しています。
しかし、インドネシアでは地域格差があるため地方ではその割合は低くなっています。
例えばパプアでは高等学校までの就学率は77.77%とインドネシア全体の平均よりも10%以上も低い状況となっています。
高校の種類
インドネシアインドネシアの高等学校は、一般高校(SMA)と職業高校(SMK)の2種類に大別することができます。
SMA…Sekolah Menengah Atas
SMK…Sekolah Menengah Kejuruan
観光、料理などの専門学科を持つ高校や工業高校などがSMKにあたり、SMKの多くの生徒は卒業後大学進学よりもそのまま就職するケースが多いです。
以下は過去5年のSMA・SMKの学校数です。
出典:インドネシア中央統計庁「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
2015/2016年度まではSMAの方が数が多かったのですが、2016/2017年度から逆転しSMKの方が多くなっています。
これはジョコウィ大統領政権のもと、労働者の質を底上げし、産業のさらなる発展を図るためにSMKが増設されたためです。
インドネシアの教師の質
インドネシアでは教師の学位に関しては、2007年のインドネシア教育省規定書第16号において、最低でも学士(S1)または高校卒業後に専門的教育を4年間(D4)修了した者が適当であるとしています。
そうした最低限の学位を持つ教員は年々増加しています。
出典:インドネシア中央統計庁「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
しかし、以下のように教育機関別に見てみると、小学校の教師のみ適切な学位を持つとされている教師の割合が90%に達していないことが分かります。
出典:インドネシア中央統計庁「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
なお、インドネシアの大学と大学生事情についてもっとお知りになりたい方は、以前コラムにてご紹介いたしましたのでこちらも併せてご覧ください。
いかがでしょうか。
弊社では過去に教育関連の調査などの実績が多数あり、現地の教育機関とのネットワークもございます。
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