【コラム】インドネシアの若者についてのデモグラフィックデータ最新情報
インドネシアは2020年時点で人口2億7000万人となりました。現在のインドネシアの平均年齢は30歳程度と言われており、平均年齢は少しずつ上昇しているものの、日本の平均年齢と比較してもまだまだ若い層が多いことが分かります。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Potret Sensus Penduduk 2020 menuju Satu Dana Kenpendudukan Indonesiaより弊社作成(閲覧日:2021年2月12日)https://www.bps.go.id/publication/2021/01/21/213995c881428fef20a18226/potret-sensus-penduduk-2020-menuju-satu-data-kependudukan-indonesia.html
この若い世代が今後のインドネシアの経済を牽引していくことになるため、インドネシア政府は若者世代の育成が国の発展のためには必要不可欠と考えています。
また、インドネシアの若い世代の多さは総人口に占める労働人口の割合が高い「人口ボーナス期」に当たることを意味し、この人口ボーナス期は2040年頃まで続くと見られているため、インドネシア国外の国々から見ても、様々なビジネスの市場の大きさやポテンシャル、更に労働力の面からも非常に魅力的と言えるでしょう。
今回のコラムでは、インドネシアの若者の居住エリア、教育などに関する最新デモグラフィックデータをご紹介します。
本コラム内の「若者」とは、インドネシアに居住する16歳~30歳の層を指します。
また、以下グラフや表の出典は全てインドネシア中央統計局(BPS)の報告書からとなります。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Pemuda Indonesia 2020(インドネシアの若者の統計2020)」より
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/21/4a39564b84a1c4e7a615f28b/statistik-pemuda-indonesia-2020.html
インドネシアの若者の人口と割合
インドネシアの若者の割合は徐々に減少傾向にはありますが、それでも2020年時点ではインドネシアの人口のおよそ4分の1、人口に換算すると合計約6400万人が16-30歳の若者となっています。
およそ6400万人のインドネシアの若者は、インドネシア国内のどのエリアに居住しているのでしょうか。
以下は、インドネシアの若者が居住する島とその割合を示すグラフです。
インドネシア中央統計局(BPS)の調査によると、インドネシアの若者の半数以上がジャワ島に居住しています。
インドネシア全体でみても、人口の約半分がジャワ島に居住していると言われており、若者のジャワ島居住が約55%になっているもの自然な割合と言えるでしょう。
経済的な視点からも、首都ジャカルタを抱えるジャワ島はインドネシアの中心的な島であり、ジャワ島はインドネシアの国内総生産(GDP)の半数以上を占めています。そのような背景から、ジャワ島は仕事の数も種類も他の島と比較すると特に多いため、働き盛りの若者にとっては魅力の一つともいえるでしょう。
ジャワ島に居住する若者の割合はここ10年で約10%減少していますが、インドネシア中央統計局(BPS)によると、これはインドネシア全体で行われている家族計画プログラムの結果としてインドネシアの人口構造が変化していることや、ジャワ島以外での地域開発への関心の高まりも背景として考えられるようです。
インドネシアの州別で見た場合、若者が多い州と少ない州上位3州は以下の通りです。
若者が多い州 上位3州
州 | 若者の割合 | |
1 | 西パプア州 | 26.14% |
2 | パプア州 | 25.97% |
3 | ゴロンタロ州 | 25.91% |
若者が少ない州 上位3州
州 | 若者の割合 | |
1 | リアウ諸島州 | 21.69% |
2 | 中部ジャワ州 | 22.23% |
3 | 東ジャワ州 | 22.30% |
インドネシア国内の各州に居住している全人口のうち若者の割合が最も高いのは西パプア州で26.14%、最も低いのはリアウ諸島州で21.69%でした。
インドネシア人の若者の結婚状況
インドネシアは日本と比べると結婚年齢が若いと言われますが、16-30歳の若者の既婚率/未婚率はどのくらいなのでしょうか。
上記のグラフから、インドネシアでは徐々に若者の既婚率が減少し、未婚率が上昇していることが分かります。これは、インドネシアの近年の経済発展に伴う、経済レベル、教育レベル、健康レベルの改善などが理由として挙げられるでしょう。
また、2019年にジョコウィ大統領によって婚姻法が改正され、以前は結婚年齢が男性は19歳、女性が16歳とされていましたが、現在は男女ともに19歳に引き上げられており、このことも未婚率の上昇に一部影響を及ぼす背景の一つとなっているとインドネシア中央統計局(BPS)は推測しています。
また、居住エリア、性別、年齢層で見たインドネシアの若者の既婚率/既婚率は以下の通りです。
未婚 | 既婚 | 離婚/死別 | ||
全体平均 | 59.82% | 38.85% | 1.33% | |
地域 | 都市部 | 64.02% | 34.77% | 1.21% |
農村部 | 54.06% | 44.44% | 1.50% | |
性別 | 男性 | 71.04% | 28.13% | 0.82% |
女性 | 48.24% | 49.90% | 1.86% | |
年齢層 | 16-18歳 | 96.74% | 3.08% | 0.18% |
19-24歳 | 71.45% | 27.58% | 0.98% | |
25-30歳 | 28.60% | 69.10% | 2.30% |
特にインドネシアは都市部より農村部の方が既婚率が高く、男性より女性の方が既婚率が高いことが分かります。これは、インドネシアは地域格差などから貧困層も多く存在するため、家族や親の経済的負担を軽減するために、女性が早く結婚するといった経済的な理由があるためです。
若者の最終学歴
インドネシアの今後の経済成長を大きく左右するのは若者の労働力と考えられますが、インドネシアの若者の最終学歴は現在どのような状況なのでしょうか。
上記のグラフから、若者の最終学歴は高等学校卒業が最も多く、次に中学校卒業もほぼ同じくらいの割合で多くいることが分かります。
以下は、インドネシアの若者の最終学歴を性別や居住エリアなどで分類したものです。
最終学歴とその割合
未就学 | 小学校未卒 | 小学校卒業 | 中学校 卒業 |
高等学 校卒業 |
大学 卒業 |
||
合計 | 0.71% | 2.77% | 11.97% | 35.41% | 38.77% | 10.36% | |
地域 | 都市部 | 0.17% | 1.75% | 8.46% | 32.76% | 44.01% | 12.75% |
農村部 | 1.31% | 4.17% | 16.78% | 39.04% | 31.60% | 7.09% | |
性別 | 男性 | 0.70% | 3.30% | 12.76% | 34.91% | 39.84% | 8.50% |
女性 | 0.72% | 2.22% | 11.17% | 35.92% | 37.68% | 12.29% | |
障害 | あり | 20.51% | 11.23% | 13.52% | 30.83% | 20.21% | 3.90% |
なし | 0.54% | 2.70% | 11.96% | 35.45% | 38.93% | 10.42% | |
所得層 | 下位40% | 1.04% | 4.39% | 17.91% | 41.59% | 31.07% | 4.00% |
中間 40% |
0.53% | 2.24% | 10.81% | 35.05% | 41.24% | 9.14% | |
上位 20% |
0.50% | 1.07% | 4.30% | 24.06% | 46.98% | 23.10% |
地域での差や障害の有無なども最終学歴に影響を与えますが、特に明確なのは家庭の経済状況でしょう。所得層上位20%以上は、半数近くが高等学校を卒業しており、また大学卒
業率も最も高くなっています。
平均就学年数
全体平均 | 10.78年 | |
地域 | 都市部 | 11.37年 |
農村部 | 9.97年 | |
性別 | 男性 | 10.63年 |
女性 | 10.94年 | |
障害 | 障害あり | 7.11年 |
障害なし | 10.81年 | |
所得層 | 下位40%以下 | 9.69年 |
中間40% | 10.84年 | |
上位20%以上 | 12.47年 |
平均就学年数で見ると、特に差が見られたのは、性別や地域よりも、障碍の有無と、所得層でした。
なお、インドネシアの学校教育制度は日本と同じ6・3・3制度で、義務教育は中学校までとなっているため、平均就学年数が9年程度だと中学校卒業、12年程度だと高校卒業ということになります。
参考コラム:
今後インドネシアの若者の平均就学年数の改善はもちろん、恐らく平均就学年数が短い層と長い層では教育の質にも格差があると考えられるため、教育面での格差の解消も重要な課題の一つを考えられるでしょう。
いかがでしょうか。
若者の人口が多いということは、今後インドネシアの更なる経済発展のためには、若者の教育や健康の質がインドネシアの将来を左右するといっても過言ではありません。
また、インドネシア国外の企業がインドネシアへの進出やサービス展開を考える際、インドネシアの若者はサービスの対象として、そして現地での労働力としても非常に重要な層となってきます。
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参考コラム:
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